友人・知人インタビューのススメ
くいしんさんが出した記事が、駆け出しのライターにとって、非常に実用的な内容だった。
昨年11月に独立し、6月末に編集ブティック「QED」を立ち上げたくいしんさん。「QED」のメンバー募集を行ったところ、たくさんの応募があったそうだ。同記事はその選考に漏れてしまった人たちへ向けて書かれたもので、僕自身も駆け出しの身として参考になること、共感できることが多くあった。
その中でも特に共感したのは、「友人・知人に取材した記事をつくろう」という項目。これは僕も経験のあることなので、ぜひおすすめしたい。
友人・知人への取材は、「距離」を無視できる
友人・知人への取材の良さは、「距離」を無視できるところにある。
通常の取材では、初対面の人を相手に小一時間ほど話を聞くのが一般的だ。この場合、単純に項目通りに質問をしていくだけでなく、相手との距離感を測りながら、話しやすい雰囲気づくりもしなければならない。
しかし、友人・知人への取材にはその必要がない。既に関係性が築かれているため、アイスブレイクもウィットもなくていい。相手の顔色を伺うことなく、純粋に話に集中することができる。
そのため、的はずれな質問や脱線をしても雰囲気が悪くなることもないし、あまり緊張することもない。商業メディアで書くわけでもないので、失敗しても謝れば済む話だ。
普段見ている側面から「あれ、なんで?」を引き出せる
また親しい友人であるならば、その人柄もある程度把握できているはずだ。彼・彼女らの行動や態度、言葉において、感心したことや不思議に思ったことなどを掘り下げていくと、案外話が盛り上がったりもする。
それこそ、くいしんさんの著書『隠居系男子的』は、Wasei代表の鳥井弘文さんに対して気づいたことをきっかけに作られたもの。
隠居系男子と灯台もと暮らしはもちろん、それに関連するイベントでも鳥井弘文は自分のことを語らないのである。常に、「他者を的確に世の中に紹介する」というスタンスで、自らの想いは、その裏に隠されている。
あるとき「あれ、鳥井弘文は自分のことを語らないんだ」と気づいた瞬間、どうしても2015年のこのタイミングで「第三者視点で語られる鳥井弘文の想い」を記録しておく必要があると考えた僕は、すぐさま本人にそれを打診し、今に至る。
引用:隠居系男子的。〜灯台もと暮らし運営会社Wasei代表の鳥井弘文が初めて語る自分のこと〜
こういう気づきや疑問は、初対面の相手だと念入りに調べないと出てこない。しかし、友人・知人であれば、普段見ている側面から気づきを得ることは難しくない。ぜひ彼・彼女らの一面にスポットライトを当てて、「あれ、なんで?」をぶつけてみてほしい。
身近な人も、掘り下げてみれば面白い
取材というと、どうしても「すごい人」を対象とするものというイメージがつきまとう。確かに有名人はユニークな特徴を持っていたりするし、読者に対する引きも強い。
しかし、しっかり掘り下げていけば、自分の周りにも有名人と同じか、それ以上に面白い人がいることだってある。世界に対する解像度を上げていくことは、ライターにとって重要なことでもあるので、ぜひ身の回りの面白いを発見してもらえたらなと思う。
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