映画「殿、利息でござる!」に学ぶ人と会社のあり方

本日のミッションは、映画「殿、利息でござる!」から学ぶこと。
2時間の映画から人として、企業人として必要な3つのことを学び得ました。

あらすじ

この物語は江戸中期の小さな宿場町が舞台。
貧しさを極める庶民たちが「殿様」にお金を貸し、利子を受け取ろうという物語です。

この舞台となった仙台藩はお金がなく、そこに住む百姓や町人に重税を課してしのいでいます。
そのような藩の「自分勝手」な行動は住む人を一人、またひとりと減らします。そして残されたものはより負担を強いられる。

そんな悪循環が続いていました。

貧しい宿場町、このままでは現在はもちろん、自分の子孫にまでこの辛さを味合わせることになる。
町の将来を憂えた主人公がひょんなことをきっかけに一念発起。

思いついた策は「自分たちで3億円をあつめ、藩に対して利息10%でお金を貸し付けること」でした。

そして主人公は同志を募り、作戦実行に必要なお金(現在の価値にして約3億)を集めることに成功。

そこから七転八倒、様々な壁が襲いかかるものの、「人のため」に立ち返りながら困難を乗り越える主人公。物語はハッピーエンドを迎えます。

タイトルからは読み取れない「世の理」

時代劇を元にすると、フィクションノンフィクション問わずどうしても派手なシーンをイメージします。しかし、この映画は「The 庶民」が生活のために一致団結して動くというストーリー。

時代設定こそ江戸なのに、設定を令和に変えても何の問題もないくらい、わたしたちの生活に即した親しみのあるお話です。

この物語は人情味にあふれ心温まる話ですが、人や会社、社会について学ぶことも多いものです。

今回は映画のフレーズや人々の行動から読み取れる「3つの学び」を考察します。


1.「あんたはどっちを向いて仕事をしているんだ」

物語の中盤で出てくるセリフ「「あんたはどっちを向いて仕事をしているんだ」。
ここには働くうえでの本質が詰まっています。

普段仕事をする際「誰のために」仕事をしていますか。

家で待つ家族のため?
会社の上司のため?
「広告代理店で働いているんだ!かっこいいね」って言ってくれる女友達への見栄?

違います。仕事はお客さまの方を見据えてするものです。

サービスや商品を購入してくれるお客さまはどう思うだろうか。どうあってほしいと考えるだろうか。

これを仕事の中で忘れてしまうと「どっちを向いて仕事をしているんだ」につながります。

お客さまの方を向いて仕事をしていなければ、少しずつほつれが生じ、そしてやがては形がなくなります。お客さまのために仕事をしなければ、会社は潰れます。

長く続いている会社はどうか。
やはりお客さま目線を非常に大切にしている。
パナソニックの基本方針にある「お客様大事」。
トヨタ自動車の「もっといいクルマづくり」。

いずれもお客さまの声を反映し、改善、革新につながる特徴があります。
長く続く会社はいずれもお客さまを心のそこから大切にし、それを商品やサービスに反映させています。

お客様の声を反映させるには時間がかかるかもしれない。
初期投資にとんでもないお金がかかるかもしれない。
痛みを生むかもしれない。

しかし、その痛みや辛さは十年、二十年先の明るい未来をもたらします。


2.「なかったら買えば良い」「借りればいい」ではない

劇中に出てくる「なかったら買えば良い」「借りればいい」。
これも人としていけないこと。
「いま自分で用意できないなら人の助けを借りたら良い」ではものごとは根本的に解決しません。そして成長にもつながりません。

目の前の対処療法をしていると、確かにすっきりとした気持ちになります。しかし、それは一時的なものであり「借り」は必ず「つけ」としてやってきます。

大切なのは「なぜ(お金が)なくなったのか」「なぜこのトラブルが起こったのか」の大元を探ること。根本から改善することで現状の打破だけでなく、明るい見通しも立ちます。


3.みんなよりもお金を出す=手柄を独り占めだという闇

劇中で、主人公がお金集めに奔走する最中、たびたび出資する金額の話になります。

そこで、見栄が大事!お金に対して意地汚い人!というは「みんな一緒の金額を」「自分より上の人を立てるためにみんなと同じ金額を」というフレーズを。

そして、好意から高いお金を出資した人に対しては「手柄を独り占めか」という始末。これが人間そのものをあらわしているなと感じます。

お金を出すことが尊敬されること、「自分が上位にたつ」という考えをどうしても持ってしまいます。なぜならお金は権力の象徴だから。だからこそ、お金は汚いものと言われてしまうのでしょう。

しかし、この物語にあるきっかけは町民の「町の将来を憂える気持ち」です。
自分が威張りたいからでない。将来ここに住み続ける子ども、孫、連綿と続く未来のため、身を呈して立ち向かっている。

その気持ちが最後まで消えなかったからこそ、行動として表れていたからこそ、お金に対して異常なまでに執着していた人も改心したのでしょう。

劇中では出資した人々に対して、

何を言われても堪忍してください
口外を慎み、自分が出資者として話してはいけない
往来を歩く際は礼を欠くのはいけない
集まりでは末席に座る。子々孫々にいたるまで
お金を出したことを鼻にかけるのはいけない

と「慎みの掟」が読み上げられます。

出資し、自分の華々しい活躍を自慢したくて仕方がない人たちが、この掟を聞いた時の顔と言ったらもう…。

あとは「人に施すと気持ちよくなる人間がいる」これも注意したいこと。
本当に偉いのは上に立ってふんぞり返っている人じゃない、実際に現場を駆け巡り世の中を綺麗にしようと思っている人たちだ、ということがまさに現代の世情を表しているといえるでしょう。

現代において、ゆとりのなさから「今起きていること」に、目を向ける人が多くなっています。しかし、目の前ばかり見ていると、少し先にある壁に気がつかない。そして壁にぶつかり、怪我をするでしょう。

そうならないようにどうするか?
視線を30°上に向けることから始めましょう。

そして、周りを見てみましょう。
どんな人がいますか、誰があなたに何を求めていますか。
仕事なら、お客さまはあなたに何を求めていますか。

ちょっと視線を変えるだけで、見えるものが変わります。
そして、少しずつ先を見通し、周りの人を気にしながら行動できるようになります。

この心掛けが、まさに人を思い働く姿勢、誰かのために働くこと、長く続く会社とつながります。

「自分のためでなく人のため」

映画を通じて人のために動くことの正しさ、それがもたらす未来を学びました。


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