7/15(月)みんつく定例スペース&YouTube Live(9回目)のテーマは有馬哲夫先生とのセッションで「NHK問題・スクランブル化はなぜ出来ないのか」でした。
NHK問題において度々上がるスクランブル化が進まない原因は何なのか、有馬先生に解説して頂きました。
注)話し言葉以外の説明も有馬先生によるものです。
❐スクランブル化とは
❐受信料を払う義務と受信する権利
●直接、放送法によって受信料を払えとはなっていない。
●歴史的に言うと、支払い義務を何回も義務化しようとしてきた。
●それが3回ぐらいあって、その都度国会で成立しなかった。
●世界的に受信の権利という考え方がある。
●我々は公共の電波を事業者に使わせる代わりに受信する権利がある。
●受信することによって色々な情報を得る、知る権利がある。
●スクランブルは受信の権利を阻害する事になる。
例)ドイツでは知る権利に(放送を)結び付けている。
放送によって色々な情報に触れて、選挙に参加するための情報を得る、国政に参加するための情報を得る、それがないと国政に参加できないので知る権利にも繋がっている。
ドイツの場合は受信料を取ってもいいけど、知る権利は守るという考え方である。
❐BBCの受信料
❐視聴者からのコメントを交えて考える
<コメント>
スクランブルをかけないと世界中で見られてしまって日本だけで受信料を取ることが不公平になってしまうのは最大の問題である。
<有馬先生からの回答>
●BBCではどうしているかというと、BBCはニュースとかすごく早くてパレスチナ情勢・ウクライナ情勢などいい報道をするが、BBCにアクセスするとコマーシャルが入っている。
●国内は許可料(受信料)を取り、海外には代わりに広告を入れて広告収入を得るという方法を取っている。
<コメント>
災害報道や国の政策制度などの発信のみに絞れば国営でもいいと思う。
<有馬先生の回答>
●現在、受信料を払いたくないから、テレビを買わない人がいる。
チューナーレステレビを買って電波を受信できないテレビを選んで買っている。携帯電話の会社がそういったチューナーレステレビを売って売り上げをあげている。
●そういう人たちはNHKの受信料を払いたくないから実際そうしている。
理由を聞くとそういう理由を上げる。
●国営化すると6300憶のNHKの予算に見合う税金を投入しなくてはいけない。チューナーレステレビで受信料を払わない人達は税金で払う事になってくる。NHKは喜ぶと思う。受信料を取る為に民間に委託してトラブルになっているので税金で取ってもらえれば1番いい。
●問題は、国営にしたらNHKは事業規模を小さくし人員削減して、税金の負担を少なくする努力をするのかということ。
<有馬先生の回答>
●最近水俣病の認定の話が問題になったが、例えば社会問題である水俣病のドキュメンタリーは必要。これは伝えていかなくてはいけないが、これに広告を入れる企業があるかということがある。
●こういう社会派のドキュメンタリーであれば、アメリカだとフォードファウンデーション(フォード財団)とか色々なファウンデーションが寄付金を出す。環境問題とかグリーンエネルギーなど、そういったものは企業イメージが良くなるので企業もそこに投資するということをやっている。
●普通の商業広告は付きにくいが、他の健康・環境保護・地球温暖化などに取り組んでいる企業であれば、こういった公害問題や地球環境問題についてのドキュメンタリーとかにお金を出すということはあると思う。
●日本でも今はそういう意識が高くなってきている。
<有馬先生の回答>
●アメリカにPBS(※2)という番組がある。
ネットワークは持っていないが、良い番組制作はする。
寄付金を集めて番組制作をして、ローカル局に提供して番組を流してもらうということをしている。
●国営がどうしても駄目だという理由がもう一つある。
スクランブルの話でも同じだが世界的に見て国営放送をそのまましている国は無い。かつては90%以上国営だったが全部国営では無くなった。
その理由は、テレビ局放送局は言論機関であるが、その言論機関が国からのコントロールを受けやすくなってしまうということである。
今でもNHKの経営委員は内閣総理大臣が選ぶ(自民党が選ぶということになる)ので、そういう人達がNHKにコントロールをかけている。
国営化になるともっと直接的に国が口出しをしてくるようになるので、他の国も国営化は避けている。民営化が一番良い。
※2公共放送サービス(Public Broadcasting Service、PBS)は、アメリカ合衆国で会員数349のテレビ放送局を有する、非営利・公共放送ネットワークである。
<コメント>
NHKのラジオ収入はどうなっていますか。
<有馬先生の回答>
●NHKのラジオ収入はゼロである。
●60年代自民党にスキャンダルが起きて不人気になり、どうしても選挙で勝たなくてはいけないということで、佐藤栄作がラジオ受信料をタダにすると言った。公約にして、NHKにそれを守らせた。
●NHKは国から自由だと言うが、この例を見てもコントロールされている。もっとまずいことになるので国営は駄目である。
<有馬先生の回答>
携帯の料金を下げさせたので、菅元総理大臣を評価している。
コモンキャリア同士でなるべく値下げしないようにしていたが、下げろと命令した。
実は菅元総理大臣の時からNHKに値下げさせ始めた。
値下げさせていけばどうしても人員削減・事業規模も削減していかざるを得ないのではないかと想像している。
実際、人員削減は少しだがしており、BSは2つだったものが1つになった。
このまま続けていけば小さくなり受信料もずっと下がるだろうが、時間はかかる。時間がかかるというのが問題。
今後ネットに移っていくが、現在ネットの契約をした人からお金を取っている。契約義務ではないが、ネットで受信していて自分で払いたいという人から取っている。
要するにネット業務必須にしたので、ダウンサイジングしていってそのまま任せればいいが、NHK側も嫌だろうからいずれかの段階で抵抗するだろう。
ネットからもお金を取る、人員削減も嫌だし、給料が下がるのも嫌だしということで総務省や自民党に圧力をかけるということもあり得る。
<コメント>
各都道府県のニュースが凄くありがたい。
地元のことが分かるのが大事。
<有馬先生の回答>
私自身も東日本大震災の被災者である。
結論から言えば、電波を出力する電力がダウンしてしまうので放送は役に立たない。
必要なのはネットである。
台湾の公共放送の会長が、災害放送とその際のネットワークを調べに来日。
NTTより電力がダウンしてしまうので放送は役に立たないと論文を発表している。
現在ローカルラジオ局もネットにより全国放送になっている。
❐視聴者からの意見
<視聴者>
スクランブル化は今の法律の趣旨からいくと、みんなに見てもらいましょうという趣旨だと思うので、そこが矛盾してしまうということだと思うので、法律自体、放送法自体を変えたらいいのだろうが、特に自分の親もそうだがNHKを見ると落ち着くというか、一番信頼はできるし、CMも入らないので見やすいというのもあり、年齢が高い人は多分そういう傾向が普通にあると思う。なので慣れた慣習みたいなところもあるので、急に明日からスクランブル化で払う人払わない人が出て、今でも質は落ちているとは思うが、更に落ちるというのはどうなのかとも思う。
公共放送という役割なので、単純に面白いだけという役目でもないところもあると思う。
地震が起きた場所は確かにテレビを見れなくてネットの情報が入るとは思うが、例えば全国的にはテレビの情報の方が正確性があったり、ネットの情報も嘘が入っていたりするので、その辺りのネットの信憑性という意味では、まだテレビの放送はあった方が落ち着き感があるかなと思っている。
個人的にはNHKの大河ドラマが結構好きなのだが、だいぶ前からつまらなくなってきて、予算が多分ないのだろう。
昔は映画並みと言ったら言い過ぎかも知れないが、戦国時代の戦のシーンも迫力があって面白かったが、今はCG使っているのも丸見えだし人数も少ない。結構見ごたえがあったのだが、お金がないのでできないという事もあるだろうが、つまらなくなり悪循環ではないか。
給料が高いという問題もあるが、そこはちゃんと適正な給料にすべきだと思うが、番組は良いものを作って欲しいというのが個人的な希望である。
<視聴者>
なので逆にチャレンジとして、まだ名が売れていない有能な作家の作品を取り上げてみたり頑張って欲しいところはある。
<視聴者>
受信料を徴収するという事の意味は、企業からの広告収入、スポンサー契約をしないことによって公平な放送ができるという趣旨だったはず。
問題だと思うのは、ジャニーズについての意見がありましたよね。
他の民放だとジャニーズ事務所に忖度して、報道できなかったのですが、公共料金として徴収していたNHKであるならば、忖度せずにジャニー喜多川の性加害を報道できたはず。
そういうことを考えると、国民から受信料を徴収していた資格は失ったと思う。
<視聴者>
BBCがイギリスにおけるNHKみたいな立場ですが、ジョンソン前首相の時に受信料の徴収というのはどんどん縮小して最後にはゼロにしていく方向に進めているみたいなんですね。
スポンサーから今の民放と同じような感じに移行していく方向にしたみたいです。あのジャニー喜多川の性加害を世に知らしめ、NHKなんかよりもよっぽど社会的な行動をしたBBCでさえそっちの方向に行って、社員の給料も減らす方向に行っているそうです。
日本は参考になるのではないかと思います。
イギリスも性加害をした男性司会者がいまして、一歩先を行っているというか日本と同じような社会問題があるイギリスは、かなり参考になるのではないかと思っています。
<視聴者>
スクランブル化はあまり良くないという目の付け所はすごく良いと思っているので、NHK党に対して誹謗中傷やスクランブル化は良くないという方向で私は行くということを、応援もしているので、対立軸としてビシッと言った方が良いと思う。
<視聴者>
問題意識としてかなり持っており、論文でも書いている途中。
ネットの誹謗中傷は日本ではまだ始まったばかりの社会問題としては成りかけで、どんどん大きくなってくる話だと思う。
先駆けとして、大津さんには頑張って頂きたい。
<視聴者>
私が思っているのは、性的な誹謗中傷やネットによるサイバーハラスメントがあり、いくつかの事件などもSNSが絡んでいるので広い意味でサイバーハラスメントだと言える。
アメリカなど本当に多く、日本もそのような方向に進んでいる。
私も一年以上ネットでの誹謗中傷にあっている。
大津さんにいち早くサイバーハラスメントを取り上げた国会議員の第一人者となってもらいたい。
❐みんおう感想
●見たいものを選択する自由があるにも関わらず、NHKが受信料を徴収することは、憲法で保障されている「国家権力による制約を受けずに自由に考え行動する権利」を阻害しており憲法違反だと思っている。であるので、受信料徴収は即刻止めるべきであると考える。
●スクランブル化が、知る権利の侵害に繋がるというのはなるほどなと思った。公共放送として生き残るのであれば、収入源は受信料という形ではなく、負担額をもっと少なくした上で税収として徴収した方が公平なのではないか。
●例えばドラマには広告を入れるなど、臨機応変な収入形態をしても良いと思う。
●NHKのドラマで子供の時に『大地の子』を観て感動し原作を手にしたことがある。確かにNHKのドラマやドキュメンタリー、教育番組は良いものが多いと思うので、そういう良さは出来れば残して欲しいと思う。
●最後は少し話がずれたが、誹謗中傷に対してはもう少し踏み込んだ対策が必要だと感じた。
❐おわりに
皆さまはNHKの番組がお好きですか、嫌いですか。
筆者は割と好きなのですが、受信料の問題と番組の在り方は時代の流れに合わせて、検討しなくてはならない課題だと考えます。
皆さまの感想を是非コメント欄に書いて教えてください。