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異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

あらすじ

ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど、成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに…。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなる!?』
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
※このお話は他サイトにて連載が完了しているお話です。作家名は違いますがみんみん。と同一人物でございます。

ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。みんみん。



生まれ変わり。

ーーーーー

(ここ…どこ…?)
ぼやける視界に、自分の目が悪くなってしまったのではないかと思った。
寝てるっぽい身体を起こそうとするも、自分の身体は起きてくれそうにない。
(なんで起きれないの…?金縛り…?)
どうして起きれないのか、私は目が覚める前がどんな状況だったのかを考えた。
朧げな記憶の糸を手繰り寄せると、どうもおかしい。
(あれ…私…生きてる?)
記憶の糸の先にあったのは私が『駅のホームから落ちた』というものだった。
一緒に住んでる彼氏が働いてくれず、私は事務員の仕事のほかに夜間のバイトもしていた。
毎日最終の電車で帰るのが当たり前で…あの日も最終の電車がホームに入ってくるのを待っていた。
『座りたい』一心で最前列で電車を待ってると、構内にアナウンスが流れたのだ。
『電車が参ります。』
それを聞いた瞬間、私は眩暈がした。
倒れるとわかっていても踏ん張ることができず、私はそのままホームから落ちたのだ。
(生きてるなら…病院とか?)
そう考えたとき、真っ先に浮かんだのが『医療費』のことだった。
生活は火の車状態だ。
そんななかで自分の入院費なんて、払える余裕はない。
(すぐに帰ったら安く済むかな…。)
1泊なんてもってのほかだと思い、私は帰ることを決めた。
とりあえず起きて、自分の状態を確認しようと身体を捻る。
右に左に…何度も身体を揺すってみるけど起きれそうにない。
(だれか来てくれないかな…。)
そう思ったとき、ぼやけた視界のなかに影が現れた。
そして、男の人の声が聞こえてきたのだ。
「こんなところに赤ん坊って…捨てられたのか?」
(…え?赤ちゃん?)
視界がぼやけているからか、周りに赤ちゃんがいるのかどうかはわからない。
鳴き声は聞こえないし、何より『捨てられたのか?』という言葉から、その赤ちゃんは一人でいることになる。
(お母さんが席を外してるのかな?)
そう思っていると、私の視界のなかに映った影が大きくなった。
そして次の瞬間、私の身体がふわっと浮いたのだ。
(!?)
「このままだったら死ぬし…とりあえずうちに来い。」
そう言ってこの人はタオルのような布を私にかけ、くるくるっと包んだ。
そして私を抱き上げ、歩き始めたのだ。
ゆらゆらと揺れる私の身体は、この人の腕のなかにある。
(待って…赤ちゃんって私のこと!?)
私は自分の手を視界に入るように持って来た。
視点を合わせるようにしてじーっと見つめる。
するとぼやけていた視界がだんだんピントが合い始めて…自分の手が見えた。
指は短くむちむちとしていて、手首は手首と呼べないくらい肉肉しくて…どう見ても『大人』ではない。
(う…嘘…私、赤ちゃんになってるの…!?)
視点が合ったことで周りもよく見えるようになった。
病院だと思っていた場所は、木がたくさん生い茂っている森のような場所だったのだ。
青々しい木の葉は風に揺られて、その隙間から太陽の光がちらちらと見えてる。
(一体ここはどこなの…!?)
私を抱きかかえてる人を見ると、赤い髪の毛がつんつんしていた。
頬にまだ新しい切り傷があり、瞳が水色。
どう見ても『日本人』じゃない顔立ちだ。
(どこの国の人だろう・・・。)
ガチャガチャと金具がぶつかり合う音が聞こえ、布が擦れる音も聞こえる。
じっと見つめているからか、この男の人は私を目を合わせてきた。
「泣くなよ?赤ん坊なんて抱くの初めてだし…居心地悪くても勘弁な。」
にこっと笑うこの人は、見た目20代半ばくらいだ。
(居心地…悪くはないけど…。)
がっしりと抱かれていて、落とされるような不安感はない。
そもそも自分が赤ちゃんになってしまってる時点で居心地がどうとか思ってる暇もないのだ。
これが夢ならば、どうにかして起きないといけない。
起きて…家に帰って彼のご飯作って、洗濯して、洗い物して、仕事の用意して…やることは山のようにある。
終わりはない。
(私…起きなきゃダメかな…。)
嫌になってきてた自分の生活を思い出してしまった。
予定では同棲してる彼と共働きみたいになってて…ゆくゆくは結婚して?そうなったら家事は分担しながらで…休みの日はホームセンターとか行ったり、どこかでランチ食べたり…。
出掛けない日は朝から二人でごろごろするのもいいと思っていた。
(でも現実は…)
私という『家政婦』がいる彼は家事なんてしないし、家でゲーム三昧か寝てる。
『社会が俺のことを認めない』とか『俺の価値をわかってない』だの言って就職活動すらしない。
そんな彼を追い出す勇気もなく、別れる踏ん切りもつかなかった。
私は彼のために働くしか道が無いのだ。
(人生…やり直したいな。)
そう思ったとき、私の頭の中で声が聞こえてきたのだ。
『…やり直しますか?』
空耳かと思った。
自分が赤ちゃんになってる時点で、ここは夢だと思っていたのだ。
(…え?)
『やり直しますか?』
だれの…何の声なのかはわからない。
でも、考えるより先に答えがでていた。
(…やり直します!!やり直させてください!!)
そう心の中で叫んだ。
夢でもいい、やり直せるものならやり直したいと思って出た言葉だ。
すると、急に私の身体が光を放った。
「うわっ…!?なんだ!?」
私を抱きかかえていた人は足を止めた。
私の身体から出る光は眩しく、目をぎゅっと閉じてしまうほどだ。
(眩しい…!!)
とんでもない光に驚いた私だったけど、その光はものの数秒で消えていった。
そっと目を開けると私を抱きかかえてる人がじっと私を見てる。
「お前…なんなんだ…?」
(いや…私もわかんないんですけど…。)
光が終息したことで、私の願いが聞き入れられたのかどうかはわからなかった。
頭のなかで聞こえた声は『やり直しますか』だけだったのだ。
(でもなんか光ったし…やり直せる…のかな?)
そんなことを考えてるあいだに、私を抱えてる人はまた歩き始めた。
「…このままだったら家に着く前に日が暮れちまうな…。ちょっと飛ばすぞ。」
(…へ?)
その言葉を聞いたあと、私の身体がふわっと浮いた。
身体全体が浮いたというより、『内臓が浮いた』感じだ。
(!?)
「よっと…!」
なにが起こったのかわからず見える景色を目で追う。
するとさっきまで見えていた木や木の葉が消え、代わりに地面が見えた。
地面が見えたと思ったらすぐに木が見え、空も見える。
くるくると目まぐるしく変わる景色に、私に何が起きてるのか直感でわかった。
(待って…!回ってる…!?それか落ちてる!?)

保護?

「よっ…!ほっ…!」
(ひぃーーっ…!)
男の人は片手で私を抱いて、もう片手で太い木の枝を掴みながらひょいひょいと駆け飛んでいく。
あまりの動きの速さに目を回してるといつの間にか意識が遠のいていったのだった…。
ーーーーーーーーーー
(なんか…声する…。)
目が覚めた私は耳に聞こえる声に集中した。
すると、さっきの男の人の声とは違う声が聞こえてきたのだ。
「お前…狼の退治に出かけて赤ん坊拾ってくるか?フツー…。それも女の子って…」
「見つけちまったもんは仕方ないだろ?ほっといたら獣に食われるかそのまま死ぬし…。」
「いや…だからってどうすんだ?」
赤い髪の毛の人は私を抱いたままのようで、ゆらゆらと揺らされていた。
目線をもう一人の声の主にやると、その人は深い青色の髪の毛の人だった。辺りには椅子らしきものはなく、二人とも床に座ってるようだ。
でも、絨毯なんてものはなく、板張りの床に木でできた小さなテーブルが見える。
そのテーブルを挟んで、赤い髪の人と青い髪の人が座ってるのだ。
(誰だろう…友達…とかかな。)
会話の内容から考えたら、『私』をどうするか悩んでいるらしい。
自分で動くことすらできない私はこのまま放置されたら確実に死んでしまう。
できれば保護施設にでも送ってもらいたいところだ。
でも、この赤い髪の人はとんでもないことを言ったのだ。
「俺が…育てる。」
「はぁ!?」
(えぇ!?)
「なんか…育てなきゃいけない気がする。」
そう言って赤い髪の人は、私を高く抱き上げた。
「俺は『シャガ』。こっちは腐れ縁の『ニゲラ』。それでお前の名前は…『アイビー』だ。」
(『アイビー』って…確か植物の名前…。)
『アイビー』は有名だから、だれもが名前こそは聞いたことがあるだろう。
思い返せば『シャガ』も植物の名前だったハズだ。
(この国の人って…もしかして植物の名前が人の名前なのかな。)
そんなことを思ってると、ニゲラが怒ってるような感じで言った。
「育てれるわけないだろ!?女の子だぞ!?」
「…『ダリア』に聞く。昔とはいえ10人、子供を産んだんだ。」
「ダリアが産んだのは男だろ!?女じゃない!それに産んだのはだいぶ昔の話だぞ!?」
「それでも…赤ん坊は赤ん坊だ。」
そう言って、シャガは私を抱えて立ち上がった。
「!?…今から行くのか!?」
「アイビーのメシがわからんからな。」
そう言ってスタスタと歩き、家の外に出た。
私を大事そうに抱えてくれ、時折顔を覗き込んでくる。
「アイビー、腹減ってるか?」
(空いてるっちゃ空いてるけど…)
「ダリアにメシはどうするのか聞くからそれまで待てよ?」
(いや、フツーは粉ミルクとかじゃ…。)
色々言いたいことはあったけど、どれも『あー』とか『うー』とかしか言葉は出ない。
まだ舌が発達してないからか、ちゃんと言葉の発音ができないみたいだ。
(まぁでも…育ててくれるって言ってくれてるし…。)
どうなるのかわからなかったけど、私の身はこの人に預けるしかなかった。
ーーーーー

おばあちゃん。

「ダリア!居るか!?」
そう言ってシャガは一軒の家のドアをバーンっ!…と開けた。
(いや、ノックは!?)
ノックをせずにドアを開けたことに驚いたけど、さらに驚いたのはこの家の住人の態度だった。
「おや、シャガじゃないか。なんの用だい?」
(フツーだ…。)
驚くこともなく、住人はテーブルを拭いていた。
ここの家は椅子があって、足の長いテーブルがあった。
家の中は細かく区切りがあるわけじゃなく、一つの大きな部屋しかないようだ。
背面キッチンが一つに、テーブルと椅子。
それに暖炉が見えた。
キョロキョロと目だけで家の中を見ていると、階段が奥にある。
おそらく2階があるんだろう。
「ダリア、赤ん坊の育て方を教えてくれ!」
「赤ん坊?」
シャガは『ダリア』と呼んだ人に私を差し出した。
布一枚で身体を包まれてる私をダリアは受け取り、そっと覗き込んできた。
「あれまぁ…この子、どうしたんだい?」
「実はーーーーー」
シャガは私を拾った経緯をダリアに話し始めた。
そんな会話はどうでもよかった私は、違うことを考えていたのだ。
(この人…抱くの上手い…。)
シャガと違って無駄のない抱き方をしてるのが体でわかった。
シャガの抱き方は何と言うか…『がっちり守ってます!!』みたいな感じだけど、ダリアは優しくて、ほっとするような感じだったのだ。
しわしわの手に、少し曲がった腰。どう見ても『おばあちゃん』だ。
赤ちゃんを抱く経験が多いのか、思わずうとうとと眠ってしまいそうになるくらい心地がよかった。
「で、俺が育てようと思うんだけどメシもわかんないしどうしたらいいのかと思って…。」
「シャガ…育てるのはいいとして仕事はどうするんだい?」
「そりゃもちろん連れて行くさ。」
シャガの言葉にダリアは呆れながらため息をついた。
「はぁー…こんな赤ん坊を連れて熊退治や狼退治に行くのかい?どうやって?山にこの子を置いて行くのかい?その間に獣に食われちまうよ?」
「あ…。」
「獲物に近づいて行ってもこの子が泣いたら?一発でバレちまうよ。」
「…。」
シャガはダリアの言葉に『確かにそうだ』と思ったようだった。
それくらいのこと、私でもわかるのに、気が付かなかったことが不思議だ。
「でも…赤ん坊から出た光が…『育てろ』って言ったみたいな気がして…。」
「うーん…。」
うなりながら、二人は示し合わせたかのように私を見た。
(これは…笑ったといた方がいい?)
『育てる』って言ってくれたけど『やっぱ無理だから山に戻す』とか言われたら困るから私はとりあえず笑ってみることにした。
顔の筋肉が上手く動いてくれるかどうかわからなかったけど、口角を上げるようにして口を開く。
「あぅー。」
「!!」
「!!…おやおやなんて可愛いんだい?」
上手く笑えたかどうかはわからなかったけど、シャガがダリアの肩をがしっと掴んだ。
そして、目を輝かせながらこう言ったのだ。
「俺、いいこと思いついた…!」

ダリア倒れる。

「?…いいこと?」
ダリアが首を傾げたと同時にシャガはニヤッと笑って言った。
「俺が仕事行ってる間、ダリア…面倒見てくれないか…!?」
「…へ!?」
「世話賃は払う!仕事も少し減らすから…アイビーの面倒見てくれ…!」
ダリアはシャガを見て…私を見て…シャガを見て…私を見た。
迷ってるような…そんな感じだった。
「私はもう80歳を回ってる…。赤ん坊の面倒は見れないよ。」
「大丈夫だって!アイビーは大人しいし、ここに来ても泣いてないし…。とりあえず1回預かってくれないか!?」
シャガの言葉に、ダリアは私をじっと見た。
「そうだねぇ…。」
ダリアは私を抱いたまま、右に左に揺らした。
悩んでるからなのか…はたまた赤ちゃんを抱くと揺れる癖でもあるのか…ゆらゆらと揺れた。
(あ…この揺れ…気持ちいい…。)
うとうとと眠たくなっていく中で必死に耐えてると、ダリアは決心したかのように口を開いた。
「…わかったよ。1回だけ。それでやっていけそうなら…時々預かるよ。」
「!!…よっし!!」
「もう寝そうだけど…白い実とご飯の用意の仕方とやり方を教えるよ。」
ダリアは私を抱いたまま、シャガに白い実の作り方を教えていた。
なんでもこの町では『白い実』というものが山にあるらしく、その実から取れる液体が栄養価の高い『赤ちゃん用のごはん』になるらしい。
それを人肌に温めて、スプーンでちまちまと飲ませていくらしいのだ。
(哺乳瓶とかないんだ。)
他にも重湯のようなものを作ってうわずみをスプーンで飲ませて腹持ちをよくさせたりとか…そんな説明をシャガは真剣に聞いていた。
おむつらしき布を腰に巻くために、一生懸命してくれたり…。
申し訳なさもあったけど仕方ないものは割り切ることにした。
ーーーーー
「とりあえずうちにある白い実をやるから家でしてみな。次の仕事はいつだい?」
「明日。昼には帰ってくる。」
「じゃあ行く前に寄るんだよ。」
「あぁ。ありがとな。」
私の身体はダリアの腕からシャガの腕に移った。
がっしりと抱かれて、これはこれで安心する。
「アイビー、帰ってメシにしような。」
私とシャガはダリアの家をあとにし、シャガの家に向かった。
もう夜なのか真っ暗な道をシャガが歩いて行く。
「結婚もしてないのに娘ができるなんてな…。
人生何があるかわかんないもんだな。」
シャガは空を見上げて…私を見た。
「俺がアイビーの父親だ。立派に育ててやるから…しっかり大きくなれよ?」
「…あぅ。」
家に戻ると、シャガは白い実から液体を取り出して火にかけた。
くつくつと煮立った液体を冷まして、スプーンで飲ませてくれる。
「どうだ?飲めたか?」
自分の力で飲むのは難しく、むせてしまうことも多かったけどシャガは背中を叩いてくれたりして何度も何度も飲ませてくれた。
寝るのも私の横で添い寝してくれて…時々起きては様子を見てくれた。
ーーーーー
次の日…
「じゃあすぐに戻ってくるから頼んだ、ダリア。」
「気をつけるんだよ。」
私はダリアに預けられた。
ダリアはシャガを見送って、腕の中にいる私を見た。
「さて…アイビー?」
「?」
ダリアは私を抱いたまま、部屋の中を歩いて行き、タンスのような場所で屈んだ。
一番下の引き出しをすー…っと開けて、いくつかの服のような束を手に取った。
「これ、昨日の夜に慌てて縫ったんだけど…アイビーに合うかねぇ?」
そう言って私をクッションのようなところに寝かせた。
ダリアは私を包んでる布を剥がしていき、『縫った』と言ってたものを着せていった。
(これ…服だ。)
黄色と白でできたベビー服。
前で紐で止められてるのか、きゅっきゅっとダリアは結んでいった。
「ぴったりだねぇ。よく似合ってるよ?アイビー。」
ダリアは私の両脇を抱えてだき、ゆっくりと鏡に向かって歩いた。
そして姿鏡ほど大きくはない鏡に、私を映した。
(わ…かわいい…。)
初めて知った自分の髪の毛の色。
シャガとダリアは赤。
ニゲラは青。
私は…金色だった。
着せられた服は胸の辺りが黄色い布を使われていて、袖やスカートのようなところは白色。
赤ちゃんになる前にお店で売ってるのを見たことあったけど…それと大差ない。
一晩で縫ったとは思えないクオリティに私の目が輝く。
「おやおや、気に入ったようだね。」
ダリアは喋れない赤ちゃんの感情を読むのが上手いようだ。
服を着替えさせてもらったあとはミルクを飲ませてもらい、トントンされて私は寝かされていった。
抱き方が上手いダリアは私を瞬時に寝かし、平たいクッションの上に置いた。
「かわいいねぇ…。」
ダリアは私を寝かした後、家事をし始めたのか色んな音が聞こえ始めた。
眠ってはいるけど耳から音は聞こえてくる。
それは食器を洗う音だったり、洗濯を干す音だったり…どれも心地のいい音で、私はそれを聞きながら深い眠りに落ちていった。
ーーーーーー
「アイビー?めっちゃ寝てるけど…そろそろ起きろー?」
シャガの声で私は目が覚めた。辺りを見回すとダリアの姿は無い。
それどころか私がいるところはダリアの家じゃなかった。
(シャガの家だ…。いつの間に帰ってきたんだろ。)
あくびをしながら目を擦ると、シャガが重湯のうわずみを用意していたようでスプーンで唇をつんつんされた。
とりあえず口を開けて重湯をいただく。
「ぁむ…」
「お前、ずっと寝てたってダリアが言ってたぞ?疲れたのか?」
(疲れたっていうか…なんか常に眠い感じ…。)
口の中に重湯を入れられる度に飲み込んでいき、私のお腹が膨れていく。
それに伴ってまた眠気が襲ってきた。
「ダリアがアイビーの面倒見てくれるって言ってたぞ?仕事も減らすけど…金もいるし、もうちょっと大きくなるまでダリアのとこに通おうな。」
こうして私は、シャガの仕事がある日はダリアのとこに預けられることになった。
朝から夕方まではダリアのところ、夕方から朝まではシャガのところ。
二人は私をかいがいしくお世話してくれ、日に日に成長していった。
寝返りを打てるようになり、這えるようになり…歩けるように。
それと同時に言葉も話せるようになっていき、シャガを父のように慕って大きくなった。
そしてこの町のこともだいぶわかってきた。
(私が住んでた時代よりちょっと昔みたいな感じだなー。)
機械が発達してない世界。
町の中心部ではヨーロッパじみた建物が軒を連ねていた。
食べ物は野菜を炒めたり茹でたりするものが多くて『素材の味そのもの』を味わうような感じだ。
服は、男の人はシャツに長ズボン。
女の人はブラウスにロングスカートが主流のようで、歩き始めた赤ちゃんからお年寄りまでみんな同じような格好をしていた。
違うのは色や、刺繍くらいなものだ。
(ケータイとか車とか便利だったけど…ないのもいいかも。)
新しい情報が日々発信される世の中にいた私。
友達がどこかに旅行に行った情報が上がってきたら『イイね』をしないといけないし、彼からは『今どこ』『いつ帰る』『飯は』って常に監視されてるような毎日だった。
こうして何にも縛られない子供の生活を送りながら月日は流れ…私が5歳になったある日、事件は起こった。
「ダリアおばーちゃんがたおれたの…!?」

みんみん。からのお知らせ。

ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。
みんみん。はこちらのサイトを利用し始めてまだ日が浅く、いろんな機能の使い方がまだわかっていません(笑)
そこで、いろいろ調べたところ、長編の小説投稿には不向きだということがわかってしまいました…。
困ったことに、ここまでの文字数は約6000文字程度なのですが、完結までの文字数は15万8827文字あるのです…。
と、いうことで!
ここから先はリンクを貼っておきます!(笑)
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アルファポリスさんという無料サイトになりますので、続きを読みたい!と思ったくださる方がもし、いらっしゃったらそちらでお願いいたします!
こちらではショートストーリーを投稿したいと思います!
勝手で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします!
みんみん。https://www.alphapolis.co.jp/novel/762756703/952432083


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