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中国人のマナーが悪いのはなぜ?
こんにちは!中国アナリストのminminです。今日は、「中国人のマナーが悪いのはなぜ?」という主語の大きなテーマに挑戦してみたいと思います。
まず、皆さんは中国に行かれたことがありますか?私は現在、上海で生活しています。日常生活の中で、店員さんや配達員さん、近所の住民、職場や学校などで出会う人たちを見ていると、「マナーが悪い」と感じる人にはほとんど出会いません。自己中心的な態度を取る人に出会うことは少なく、むしろ、皆さんとても親切で、時にはおせっかいなくらいです。例えば、カタコトの中国語で話す私に対しても、丁寧にゆっくりと言い直してくれる人が多いです。こうした経験は私だけではなく、日本から短期滞在で上海に来た私の友人や夫も同様の感想を持っています。
では、なぜ日本では「中国人はマナーが悪い」という印象が広まっているのでしょうか?
冒頭でも触れた通り、このテーマは非常に主語が大きい話です。それでも、日常的に接する中国人の印象と、日本のSNSや一般的な意見として耳にするイメージの間に大きなギャップがあるのは事実です。このギャップに対して、社会学や人類学を学んでいる身としていくつか仮説を立ててみたいと思います。以下はあくまで私個人の考えですので、一つの参考として読んでいただければ幸いです。
1.教育や環境の格差が大きい
まず、中国ではマナーが良い人とそうでない人の差が、日本よりも大きいと言えます。特に年齢層や地域によってこの差が顕著です。
たとえば、大都市で教育を受けた若者と、地方の農村部で育った人では、言葉遣いや公共の場での態度に明らかな違いが見られることがあります。都市部では学校教育や社会のルールに触れる機会が多いため、公共マナーが身についている人が多い一方、地方ではこうした機会が限られる場合もあります。
また、中国では一人っ子政策の影響を受けた世代が多く存在します。この政策のもとで育った子どもたちは、家族全体から多くの注目と資源を注がれた一方、兄弟姉妹と競争したり協力したりする機会が少なかったため、自己中心的に見える行動を取ることがあるとも言われています。こうした背景が、他者との接し方や公共の場での行動に影響を与えているのではないでしょうか。
2.「内」と「外」を区別する文化
中国には、「家」制度を基盤とする社会的な価値観があります。伝統的に、「内」と「外」を明確に区別する文化があり、自分が「内」と認識した人にはとても親切で親身になります。一方、「外」と見なした人には、それほど丁寧に接する必要がないと考えられることがあります。
この価値観は、中国人の行動にも反映されています。例えば、友人や家族にはとても親切でおせっかいですが、見知らぬ他人に対しては無関心だったり、時には無礼に見えることもあります。
これに対して、日本では「恥」の文化が根付いています。知らない相手であっても公共の場で失礼な行動をすることは、自分の「恥」につながると考えられています。そのため、日本人は見知らぬ相手にも礼儀を尽くすことが多いです。このような文化的な違いが、「中国人はマナーが悪い」と感じられる一因かもしれません。
3.効率重視と合理的な判断
中国人の多くは、行動の基準に「メリットがあるかどうか」を強く意識します。この考え方は、社会的・文化的な背景から来ており、日常生活やビジネスの場面で特に顕著です。
たとえば、列に割り込む、信号を守らないといった行動も、「時間を節約したい」「周りに迷惑をかけても自分が得をする方が重要だ」という合理的な判断の結果である場合が少なくありません。一見マナーが悪く見えるこれらの行動も、中国社会においては「自分にとって利益があるならやる」という価値観が反映されていると考えられます。
この価値観の根底には、中国の歴史的な社会構造が影響していると考えられます。長い間、家族や自分の小さなコミュニティの中で生き残ることが最優先だったため、公共の利益よりも個人や「内」の利益を重視する傾向が強いのです。そのため、「礼儀正しいこと」や「マナーを守ること」が、自分に直接的なメリットを生まないと判断されれば、それを優先しない人が多いのかもしれません。
一方で、日本では「恥」の文化が根付いており、他人からの評価や世間体を重視します。このため、自分のメリットを追求する行動が、社会的に見て恥ずかしいことだと考えられる場合は控える傾向があります。
こうした文化の違いが、中国人の行動に対する日本人の「マナーが悪い」という印象につながっているのではないでしょうか。もちろん、全ての中国人がこのような価値観を持っているわけではなく、地域や個人の違いもありますが、大きな文化的背景の一つとして挙げられる点だと思います。
今回は、かなり触りの内容となりますが、私の考察を記載させていただきました。
今後、より深ぼった内容をどんどん増やしていきたいと思います。
より中国の文化に興味がある方は、この書籍が非常に詳細に中国の文化が考察されており、おすすめです。