シジュウカラとの出会い
仕事の面接に行くのが憂鬱だった。
前日まで行くか行かないかで迷ってた。
当日になってとりあえず行っておこうと思って
頑張って電車に乗った。
面接地に向かう途中
コンクリートに何か小さな物体が見えた。
近づくと鳥だった。
逃げない鳥。
初めて見る鳥。
可愛い鳥。
怪我をしているのか分からないが飛べなくなっていた。
私は物心ついた頃からセキセイインコが家にいたため、鳥の扱いには慣れていた。
ただ、野生の鳥は別だ。
とりあえず野生鳥獣保護センターに電話した。
何回もしたけど出なかった。
面接の時間が迫ってる。
けど、このままでは人通りが増えて
大変な目に遭いそうだったため
私は手に掴んで目立たない緑が生えている土にそっと置いてあげた。
土に降ろす時、なかなか私の手から降りてくれなかった。
この足の感じ、このボディの感じ、
私が抱えたその鳥は
昨年亡くなった12年生きた私の大切なセキセイインコに似ていた。ハッとした。
鳥の種類は違うけど
似ていた。
生まれ変わりかどうかは分からないけど
なんとなく嬉しい気持ちだった。
喉が渇いているかもしれない。
時間がなかったから
水を買って面接に向かった。
面接が終わったら急いであの場所に行こう。
そしたら水をあげよう。
面接後、その場所へ急いで向かったけど
どこを見てもいなかった。
その時、上の木の方からさっきの鳥の鳴き声が聞こえた。目には見えなかったけど確かに木にいるんだなと思った。
良かった、自然で柔らかく自由に生きていってほしい。
面倒な面接に行かなかったら会えなかった鳥。
そして助けることができなかった鳥。
面接に行っておいて良かった。
面接の結果は不合格だった。
最高な人生だ。