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システム思考 雪かきから

 年初めに、大きな喜びを得た。それは以下のような構造に気付くことができたからだ。

 もとになる理論はすでにドネラ・メドウズ氏がシステムダイナミクスとして世界に広げた理論だ。私はその構造を、今日、雪かきの中にも見出した。

 私が気付いたことをざっくり言えば、「効果的な雪かきとは、フィードバック効果を利用して雪が溶けていくような道路状態を作ってやること」である。効果的な雪かきは、単に積もったものをどかすだけの行為ではない、ということだ。
 要点は以下の3つのフィードバック構造だ。

① 積雪(の有無)と地温の自己強化型フィードバック
 これは、ストックが白い積雪で、ループが熱と雪の関係だ。地球全体のアルベドと同じように、白い雪は反射率が高いため地面による太陽熱の吸収を阻害するので寒冷化や積雪を助長する。逆に黒い地面は太陽熱を吸収するので地温が上がり、雪を溶かす。だから、このループを働かせるのに必要なことは地表熱で雪が溶けるよう、黒い路面を露出させておくことだ。


② 積雪(の少なさ)と車両通行の自己強化型フィードバック
 これは、ストックがやはり白い積雪で、ループは積雪深と車が選ぶコースの関係だ。車は積雪深の浅い方を選んで走る。黒い路面ならなおさらだ。そうするとそこを走る車のタイヤと路面の摩擦熱により、雪が解ける。だから、このループを働かせるのに必要なことは、①と同じく黒い路面を露出させておくことだ。

 私はこの2つを発見して、その効果を確認するために、さっき雪をかいた道路を見に行った。期待通り、いや予想以上に、雪が降り続けているにも関わらず、黒い路面がしっかり出ている。私はすでに満足だった。
 その時、なんと第3のフィードバックループが発生しているのを発見してしまった。それは、


③ 雪かきの有無(ギャップ)と社会的監視による自己抑制型フィードバック
 これは、ストックが「隣の黒い路面と自分側の10cm以上の積雪」という「ギャップ」で、ループはギャップとそれに対する住人の社会的義務感の関係だ。
 今回、私の体力の制約から道路の片側車線しか雪をかけなかった。そのため片側車線は黒い地面だがもう片側車線は10cm以上の積雪のまま、という状態であった。この状態は、積雪の残った側の住人に「こちらもやらないとまずい」という義務感を生ぜしめたらしい。それにより、私が①②のフィードバック効果を確認しに行ったその時、あちら側の住人がギャップを打ち消すべく雪かきを始めていたのだ。
 つまり、今回は①②のみを狙ってやったはずで、たまたま制約から半分しかやらなかったことが奏功して、3つ目のフィードバックが機能した、ということだ。

 いわば、効果的な雪かきには、①自然、②人為、③社会の3段階のフィードバック構造を利用すればよいということ。もちろん、うまく機能するには日光が道路に当たるとか、向かいの住人の人間性とか、いろいろ条件もあるでしょうけど。

●まとめ:
 道路全体に積雪しない仕組みを維持するために、自然・人為・社会の3段階のフィードバックループを機能させるのに必要な唯一の初期アクションとは、「黒い地面を露出させるよう道路の片側だけ雪をかく」ということだ。

 長文となりましたが最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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