【SEA】再建トレード総括①
■初めに
今までに投稿した記事の中で、マリナーズが2018年のオフから再建モードに切り替えたこと、そして今年から本格的な勝負期が始まることは繰り返し述べてきました。再建トレードで獲得したプロスペクトたちが、戦力になれたのかなれなかったのか、ある程度評価ができるだけの時間が既に経過しています。そこでこのシリーズ投稿では、マリナーズが行った再建トレードの内容を振り返り、現時点でどのような結果になっているのかを紹介したいと思います。
一応、そのトレードの結果に対して個人的にどれくらい満足しているかの目安としてE(大いに不満足)、D(不満足)、C(普通)、B(満足)、A(大いに満足)の5段階の評価を付しています。
また当記事の中で言及されているジェシー・ウィンカー&エウヘニオ・スアレスのトレードについては、下記の記事をご参照ください。
※カッコ内の年月日は現地時間のもの
■正捕手ズニーノの放出(18/11/8)
保有期間が残り2年となっていたズニーノを放出し、代わりに2024年まで保有することのできる韋駄天スミスを再建のコアとするために獲得したこのトレードは、マリナーズにとっては得る物があまりありませんでした。2018年にレイズで.296/.367/.406/.773、40盗塁を記録したスミスは翌2019年、46盗塁で盗塁王のタイトルこそ獲得したものの、.227/.300/.335/.635と打撃成績が大幅に低下。2020年は14試合に出場したのみでマイナーにオプションされ、その後FAとなりチームを去っています。
フレーリーはマリナーズ在籍の3年間に97試合に出場した後、昨オフにウィンカー&スアレス獲得のための見返りの一人としてレッズに移籍しています。
キューバ出身のヘレディアはその後チームを転々とし、昨季からはブレーブスで主に第4の外野手としてプレーしています。プラスメイヤーは2018年ドラフト4巡目で指名された選手で、現在はレイズの3Aでプレーしています。ロングリリーフとしてメジャーでプレーできるかもしれません。
評価:E
■左腕エースパクストンの放出(18/11/19)
ズニーノ同様FAまであと2年となっていたパクストンは、ヤンキースへ移籍後、2019年こそ防御率3.82、150.2投球回とまずまずの活躍を見せましたが、2020年は怪我の影響で20.1投球回に終わります。2021年に1年契約でマリナーズに復帰しますが、僅か1.1投球回のみで負傷降板、トミー・ジョン手術を受け全休となりました。現在はレッドソックスと契約しています。
見返りの目玉であるシェフィールドは2014年ドラフト1巡目(全体31位)指名。2020年に10先発で防御率3.58、被本塁打率0.3と適応の兆しを見せますが、2021年は防御率6.83と大きく後退。現在はブルペンに転向しています。
スワンソンは一時期先発としても起用されましたが、現在は安定感のある投球で離脱者の多いブルペンを支える存在となっています。
トンプソンウィリアムズは2018年に.299/.363/.546/.909、22本塁打、20盗塁の抜群の成績をマイナーで残したものの、2019年は初の2AにOPS.689と苦戦。その上2020年は怪我で全休を余儀なくされ、2021年もOPS.564と調子を取り戻すことはできず、今年の4月にリリースされています。
評価:C
■セットアッパーコロメの放出(18/11/30)
同年夏のクリエイティブなトレード(余談ですが最近デビューしたトミー・ロメロはこの時レイズに移籍しています)でレイズから獲得したセットアッパーのコロメも、残りの保有期間が2年だったためホワイトソックスへ放出されています。代わりに獲得したのは攻撃型捕手のナルバエス。
マリナーズでは正捕手として安定した出場機会を与えられ、
.278/.353/.460/.813、22本塁打のキャリアイヤーを送りました。捕手としては傑出した打撃力の一方で、守備面への評価が低かったためチームの長期的な構想には入れられず、2019年のオフにはブリュワーズに放出されています。
ヒルはニューヨーク・メッツの2018年4巡目指名選手です。2021年はマイナーで防御率5.44と苦しんでおり、それほど期待されている選手ではありません。
このトレードで獲得した2020年2巡目補完指名権でマリナーズが指名したのが、コナー・フィリップス(RHP)です。最速98マイルのパワフルなファストボールが武器であるフィリップスは、前述のウィンカー&スアレスのトレードの後日指名選手としてレッズに移籍しています。
評価:B
画像:Mariners