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『街の上で』公開を控えて / 髭野純プロデューサー ※一部抜粋

みなさま、こんにちわ

 先日「ミニシアタークラブ」内で実施された、髭野純プロデューサーを迎えておこないました、「『街の上で』公開を控えて 」 の回についての一部内容を公開します。今回は、髭野プロデューサーがどのようにして、映画作りを考えているのか、そして4月9日(金)より公開となった今泉力哉監督の映画「街の上で」の製作の裏側をお聞きします。

映画「街の上で」

映画『愛がなんだ』『mellow』『his』『あの頃。』と話題作を立て続けに発表する今泉力哉が、共同脚本に漫画家・大橋裕之を迎え、オール下北沢ロケで挑んだオリジナル脚本による長編最新作。
主人公の青を演じるのは 『愛がなんだ』ナカハラ役で注目を集め、本作が映画初主演となる若葉竜也。主人公・青の元恋人である雪に、『少女邂逅』の穂志もえか。青が通う古書店の店員・田辺役に、連続テレビ小説「エール」の古川琴音。青に映画出演を依頼する美大生の映画監督・町子役に、『お嬢ちゃん』の萩原みのり。町子が監督を務める現場の衣装スタッフ・イハ役に、新星・中田青渚。フレッシュな実力派女優陣が物語に彩りを添え、成田凌も重要な役どころで友情出演している。
また、『愛がなんだ』『退屈な日々にさようならを』『サッドティー』などでタッグを組んできた撮影・岩永洋、録音・根本飛鳥をはじめ、「今泉組」のスタッフが再結集。
街の住人たちとの他愛ない会話。魅惑的な女性たちとの出会いと別れ。変わらない想いと変わりゆく街並み。どこにでもある下北沢の日常が今泉独特のユーモアと優しさに包まれながら紡がれていく。「今泉映画最高傑作」の呼び声も高い、珠玉の群像劇。

2019年製作/130分/G/日本
配給:「街の上で」 フィルムパートナーズ

質問内容抜粋

今回はこのような質問をしました。

● この仕事をしようと思った経緯 ※公開
● 映画プロデューサーをやる上での推進力・きっかけは? ※公開
● なぜ「太陽を掴め」を作ったのか?
● 映画の規模が大きくなると分業なども出てくるのではないか?今後の予定は?
● 今後、どこに力を入れていきたいか?得意なこと?
● 「街の上で」の製作の経緯(きっかけ) ※公開
● 「街の上で」の宣伝ビジュアル
● 「街の上で」の公開延期、なぜ1年後にしたのか? ※公開
● オリジナル脚本である「街の上で」。どのように作っていったか?
● 試写の評判は?

などなど、その他にもさまざまな質問をさせていただき、1時間程度のお話しをさせていただきました。なお、「※公開」とあるものは、下記の抜粋で取り上げています。

ゲストについて

髭野純 /映画プロデューサー

 1988年生まれ、東京都出身。アニメ会社勤務を経て、インディペンデント映画の配給・宣伝業務に携わりながら、フリーランスの映画プロデューサーとして活動。

 配給を担当した作品に『ひかりの歌』(19/杉田協士監督)、主なプロデュース作品に『太陽を掴め』(16/中村祐太郎監督)、『もみの家』(20/坂本欣弘監督)など。

トーク内容一部抜粋(Q &A)

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● この仕事をしようと思った経緯

 映画を好きになったきっかけは、ベタですが「ショーシャンクの空に」。中二の頃、自分の部屋で観て感激し、翌日にCDショップへDVDを買いに走ったくらいの衝撃だった。それ以降、mixiや個人の映画レビューサイトなどを通して、色々な映画を調べ、ミニシアター系の作品も知るようになった。

 何も起こらないんだけどなんだか面白い、スクリーンの中で人が生きていると感じたのは、行定勲監督の「きょうのできごと」など。色々な人たちがいる、ということを映画を通して学んだ。もちろんアクション映画なども好きだが、人の繊細な感情に興味があるのかも知れない。映画は肯定してくれる存在。一人で映画を観ている自分も肯定してくれてるような。

● 映画プロデューサーをやる上での推進力・きっかけは?

 プロデューサーであるモチベーションは、その監督の作品の新作を観たいから。配給も同じ考えで、その監督の作品が劇場公開されたり評価されれば、次の作品が期待できる。
 大学は、万田邦敏監督などが教授として在籍している立教大学現代心理学部映像身体学科に進学した。映画監督を志したことはなく、映画制作サークルにも所属しなかったが、学校内に面白い自主映画はあり、もっと多くの方に観てもらいたいと思い、埼玉のキャンパスから都内の映画館に進出して上映イベントを行ったり、学内では外部の方を招いて講評してもらうようなコンペティションを運営するなどした。良い作品が完成しているなら、少しでも多くの人に観てもらう機会をつくりたいという気持ちが学生時代からあった。その後、社会人になってから、後輩の竹内里紗監督が卒業制作として完成させた『みちていく』がTAMA NEW WAVEなどで評価され、ユーロスペースでの劇場公開が決まり監督から声を掛けてもらいお手伝いすることになった。ボランティアながら映画の宣伝業務に携わり、地方のミニシアターを訪れることもできた。

 新卒では、アニメ制作会社に就職した。入社5年目に入ったころ、プライベートで関わっていた映画のイベントで中村祐太郎監督と出会い、映画をつくろうと意気投合した。『太陽を掴め』は、初めてのプロデュース作。当初想定していたより大きい規模の企画になってしまい、仕事と並行して進めていくのは困難と感じ、脱サラした。映画をつくるので会社を辞めたい、と上司に伝えた際”自分のやりたいことが見つかったならいいやん”といわれ、背中を押された。当時は26、7歳で、もし向いてなかったらまだやり直せるかもしれないという思いも少しあった。やらない後悔よりやる後悔のほうが強かった。

● 「街の上で」の製作の経緯(きっかけ)

 元々下北沢の近くに住んでおり、下北沢映画祭にもスタッフとして携わっていた。下北沢を舞台にした映画は、これまでも市川準監督の「ざわざわ下北沢」やいまおかしんじ監督の「かえるのうた」などあるが、下北沢駅南口の閉鎖が決まり街の風景が変わっていく中で、下北沢で映画が撮れないかという思いが強くなった。今泉力哉監督の作品では『退屈な日々にさようならを』が好きで、オリジナルの新作を観たいという気持ちもあった。

 2018年1月に声をかけた。その年は下北沢映画祭の第10回という節目だったので、長編・短編に関わらず秋に間に合うようにお願いできないかと相談したが、当時「愛がなんだ」「アイネクライネナハトムジーク」の撮影を控えられていたため、その年は製作発表だけ行い翌年の2019年に撮影という形なら実現できるかも知れないという返事だった。

 商業的ではない規模の作品を引き受けていただくことへの不安もあり、企画当初は現在のような公開規模になるイメージも無かった。主人公を誰に演じてもらうのか暫く決まらなかったが、キャスティングの時期と「愛がなんだ」の公開時期が重なり、監督から若葉竜也さんを主演に迎える提案があった。

● 「街の上で」の公開延期、なぜ1年後にしたのか?

 元々は、2020年5月1日公開予定だった。マスコミ試写も最後まで走りきることができ、4月初旬まで宣伝も動いていた。製作陣としては、映画館が営業を続けているのであれば、このまま公開しようという考えだったが、緊急事態宣言に伴い公開を予定していた映画館の開いていない状況に至った。そこからは冷静に検討し、いつ観てもらうのがベストか、どのくらい延期すべきか、監督とも議論した。監督は、早くしないとミニシアターが潰れてしまうかも知れないという意見も挙げていた。ただ、自分としてはベストなタイミングで公開したほうが結果としてミニシアターのためになるのではないかと考えた。そこでほぼ丸一年となる、2021年春への延期を判断した。ワクチンの製造には一年かかるといった情報や、夏に撮影した作品のため真冬には公開したくないといった思いもあった。

 一年経過してここまで状況が落ち着いていないとは思わなかったが、笑いながら観れる作品なので、映画館でその体験を共有してもらえたらと願っている。

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以上抜粋になります。

おわりに

 抜粋にはなりましたが、髭野さんのプロデューサーとしての考えや映画への情熱を感じてもらえたのかなと思います。実際にお会いしても非常に寛容でありながら物事を俯瞰的に捉えている方だなと思いました。

 なお、ここにも今泉監督と髭野プロデューサーの対談もあります。本日触れていただいたことや「街の上で」の深い事柄なども語られておりますのでぜひお楽しみください。

 今回もありがとうございました。次回も公開できる情報があればこちらで公開していきたいと思います。なお、インタビューの全編は、ミニシアタークラブの限定コミュニティ内で公開しております。興味を持たれましたらぜひご参加ください!

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