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映画『風の電話』公開から1年激変する世界と映画について(一部公開)

みなさま、こんにちわ

 先日「ミニシアタークラブ」内で実施された、諏訪監督をゲストに迎えた、「映画『風の電話』公開から1年激変する世界と映画について」 回についての一部内容を公開します。ミニシアターの現場として、さらにはフランスなどでの映画制作経験もある諏訪監督の視点から、今どのように世界の映画が変わっていっているのかについてお聞きしました。

質問内容抜粋

 今回はこのような質問をしました。

● コロナを経て1年で変わったこと?心境の変化? ※公開
● 映画を撮る際の登場人物の掘り下げについて
● 「風の電話」:主役のモトーラさんを選んだ理由 ※公開
● 「風の電話」:撮影場所の決め方について ※公開
● 「風の電話」:勝負と思うカットについて
● 「風の電話」:映画での音楽が少ないが、その狙いと理由について
 フランスと日本の映画觀や文化、映画撮影スタイルについて
● なぜ若い人たちが、今相米監督を観るのか?
● 東京芸大(フランスの名門映画学校≪La Fémis≫がモデル)について
● 日本の映画の若手作家とその問題について
 ※公開

などなど、さまざまな質問をさせていただき、1時間以上諏訪監督の映画に対する考えを聞きました。なお、「※公開」とあるものは、下記の抜粋で取り上げています。

ゲストについて

 監督:諏訪敦彦

 東京造形大学造形学部デザイン学科卒業。長崎俊一や山本政志、石井聰亙(現・岳龍)らの作品にスタッフとして参加し、自身の監督作「はなされるGANG」(84)がぴあフィルムフェスティバルに入選。1997年、初の劇場映画「2/デュオ」を発表し、続く「M/OTHER」(99)でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。続く「H Story」(01)は同映画祭のある視点部門に出品され、オムニバス映画「パリ・ジュテーム」(06)には唯一の日本人監督として参加した。日仏合作の「不完全なふたり」(05)は全編フランス語で撮影、ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞とCICAE(国際芸術映画連盟)賞を受賞し、フランスでロングランヒットを記録した。その後も、イポリット・ジラルドと共同監督を務めた「ユキとニナ」(09)がカンヌ国際映画祭監督週間に出品されるなど、フランスで高い評価を得る。08~13年に東京造形大学学長を務め、14年に東京藝術大学大学院教授に就任。17年、8年ぶりにメガホンをとった「ライオンは今夜死ぬ」を発表した。子ども向け映画制作ワークショップの講師も務める。(映画.comより)

<今回登場する映画>

Story

 17歳の高校生ハル(モトーラ世理奈)は、東日本大震災で家族を失い、広島に住む伯母、広子(渡辺真起子)の家に身を寄せている。心に深い傷を抱えながらも、常に寄り添ってくれる広子のおかげで、日常を過ごすことができたハルだったが、ある日、学校から帰ると広子が部屋で倒れていた。自分の周りの人が全ていなくなる不安に駆られたハルは、あの日以来、一度も帰っていない故郷の大槌町へ向かう。広島から岩手までの長い旅の途中、彼女の目にはどんな景色が映っていくのだろうか―。憔悴して道端に倒れていたところを助けてくれた公平(三浦友和)、今も福島に暮らし被災した時の話を聞かせてくれた今田(西田敏行)。様々な人と出会い、食事をふるまわれ、抱きしめられ、「生きろ」と励まされるハル。道中で出会った福島の元原発作業員の森尾(西島秀俊)と共に旅は続いていき…。そして、ハルは導かれるように、故郷にある<風の電話>へと歩みを進める。家族と「もう一度、話したい」その想いを胸に―。

トーク内容一部抜粋(Q &A)

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● コロナを経て1年で変わったこと?心境の変化?

 今まだ言葉にはなかなかしにくい。少し時間がかかるのでは?

 風の電話のハルという女の子は世界の中で自分のいる場所を失っていて、唯一触れることによって自分を保てる、触覚的な人として描いた。例えば、ハグしてもらうとか、手を洗ってもらうとか、赤ん坊にふれるとか、大地に寝転ぶ、体に触れることによって自分を繋ぎ止めるという表現をしていた。

 そうした意味で、触れることができない・・距離というのは初めて体験した。世界はすごく変わったんだけど・・逆に色々な意味で人と繋がる経験できた。
触れられないけど人と人との繋がりを強く意識した。

● 「風の電話」:主役のモトーラさんを選んだ理由

 キャストを決める際は、自信がない場合も多い。怖い時もある。その人と一緒にかけるしかない。ある種な大きなギャンブル。決めて上手くいかない時もある。それは誤魔化しようがなく、賭けといえば賭け。ただあまりそれに失敗したことはないけど、笑
 役が決まっていない時は色々なイメージが可能なんだけど、あるキャストが決まったら他の可能性がなくなり。その人の存在が強くなり、全てを肯定していかなければならない。映画の被写体として・・。

 この人を撮っていれば映画になると思った(現場では成立するという)。

 最初のイメージしていた主人公像がモトーラさんに決まったことで少しずつ変化していった。例えば、完全に閉ざしている人物ではなく、すこし柔和な姿勢になるなど・・。

 (撮影においては)よくやる役者やスタッフの人たちに集まってもらい、モトーラさんの演技しやすい撮影ペースを作った。

● 「風の電話」:撮影場所の決め方について 

 ロケハンは嫌いではないが、簡単にいうとどこでもいい。どうしてもここという、こだわりあってやっているわけではない。(「風の電話」では)ハルがどこに住んでいるか探す際、最初の瀬戸内海のシーンは割と簡単に見つかった。フィルムコミッションの方もあまり知らない場所だった。
 場所決める時に、映画としてその場所が生きるかどうかは計算している。いい場所でも映画として生きない場所もある。ここだったら成立するか=カメラを置いて、絵を取れるか・・。絵として生きるかどうかは検証する。

 撮影場所について、撮りにくいけど(物語上)ここでやるしかないなということもある。ハルの故郷は大槌町だった。最初は違っていた。そこは、本当に更地になっていて、フラットとして取りにくい。カメラをどこに置けばいいか。規範になるものがない・最初は、そこにはそうした現実しかないので、ここでやろうと思った・・。

 撮影場所について、フランスで撮っている時は気にならなかった。外国人の観点からだとどこを撮っても面白いなと思ってしまう。昔は日本のロケーションに魅力を感じていなかったが、逆に今回久々に日本で撮ったら、日本はどこを撮っても面白いと感じた。

● 日本の映画の若手作家とその問題について  

 東京藝大を卒業して活躍している人は多いです。例えば、清原惟、五十嵐耕平、山本英(やまもとあきら)など、海外でも評価を得ている。そしてどんどん出てくるが、作り続けるための環境がない。2本目以降続けていける人、つまり若手を支援していく仕組みがない。どこかで商業的にいくのか・・など監督として自立していくことに難しさが出てきている。そうした仕組みづくりが重要である。

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以上抜粋になります。

おわりに

 抜粋にはなりましたが、諏訪監督には映画監督しての映画観や、世界と日本の映画についての思考性が垣間見えたのではないかと思います。さまざまなご経験をされている方なので、かなり刺激になりました。そして、最後の諏訪監督がおっしゃっていた、若手監督が育つ仕組み。その点についてもミニシアターは重要な課題として、そして役割として考えていきたいと思います。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。次回も公開できる情報があればこちらで公開していきたいと思います。なお、インタビューの全編は、ミニシアタークラブの限定コミュニティ内で公開しております。興味を持たれましたらぜひご参加ください!

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