ハンドメイドイベントの在り方
ご無沙汰しています、minimumsのニシノです。
少なくとも年2回は上半期・下半期の総括を更新してきましたが、7月に行った受注販売会が案の定忙しく、気づけば季節は秋になってしまいました。春は?夏はどこいった?と思っている内に冬が来そうです。
今回は上半期のできごとをまとめつつ、先月東京ビッグサイトで開催されたハンドメイドイベント「minneのハンドメイドマーケット2023」に人が集まらなかった問題について考察しながら、ハンドメイドイベントの在り方について書いていきたいと思います。
今回も作家側の話が中心で、ファンの皆様を置いてけぼりにして申し訳ございませんが、ハンドメイドブランドを運営する上で大切なことなので、忘れない内にnoteに書き留めておきたいと思います。思いが溢れすぎてどんどん長文になっていきますが、どうぞポイしないでください。
2023年上半期(1〜6月)の総括
さて軽く2023年の上半期(1〜6月)を振り返ってみると、
まずいきなり流行りの病に感染してしまい、1月のハンドメイドイベントを1本飛ばしてしまいました。体調回復後は各ハンドメイドイベント出展+毎月のminne再販と、これまで通り「イベントと通販の2本柱」で大車輪しつつ、7月には初となる受注販売会を行いました。
なかなかお目当ての作品をゲットできない方や、過去作品の復刻を望む方に向けた受注販売会は大盛況で、予定200件のところ無理して250件ほど受け付けてしまいました。
通常の通販よりお届けに日数をいただきましたが、納期限内に無事全て発送することができ、一安心しております。たくさんのご注文本当にありがとうございました。
結果は上々、しかし…
2023年は新しいことに挑戦しつつ「今持てる技術と知識で、どこまでいけるのか」を目標に、限界MAXまで無理をしてみようと決意して臨みました。
年齢的にも我が家の状況においても、minimumsが今の力でどこまでいけるのかを試すには良い時期で、且つ今後の目安として限界値を知っておきたいとの気持ちからでした。
結果、上半期はイベント、通販ともに過去最高の販売数を出すことができ、最高の滑り出しといえる状況でした。ので、何の問題もない!オールオッケー!と言いたいところなのですが、上半期後半6〜9月のイベントで不振が続いたので、目先としては一抹の不安を抱えています。
ハンドメイドイベントの不振
イベントの選び方
ハンドメイドイベントに出展する際は、年間計画を立てて事前にどのイベントに出展するかを1年前から決めています。
・地元愛知のクリエーターズマーケット
・東京のデザインフェスタ
はマストで、あとは日程が被らなければ
・大阪アート&てづくりバザール
・東京ハンドメイドインジャパンフェス(Creema)
・東京ハンドメイドマーケット(minne)
と、大型のイベントに絞って出展しています。
大型イベントに絞っている理由としては、
「まとまった来場者数を期待できること」
「購入意欲が高い人が多いこと」の2点が主に挙げられます。
SNSと同じで、人が多ければそれだけご購入いただける機会も多く、わざわざ交通費、入場料を払う以上、やはり何か良いものをゲットしたい!という高い購入意欲を持って来てくださるので、きちんと作品を見る、見逃さない!という意思を感じることができ、こちらとしても自身の作品を強く推すことができます。
そんなわけで、毎年計画を立ててイベントに出展しつつ、何かお誘いや気になるイベントがあれば、日程に余裕がある限りその都度出展してきました。
一方でハンドメイドを始めたばかりの現役の学生と話をしていると、「大きなイベントに出展して全然売れなかったら立ち直れない…」という意見も聞くことが多いです。気持ちは分かります。よく分かります。とても分かりますが、かつて地域の小さなイベントに出展して、全然人もいない、全く売れない状況の方が、私は辛かったです。
イベントの売上目標
年間の出展計画を立てる上で、イベントの規模、場所、日程を考慮して目標となる売上金額を設けます。過去出展したことのあるイベントでは各作品の売上実績を見て、どの作品をどれだけ持っていこうか、新作はどれくらい用意しようかと考え、目標金額のおよそ1.5倍の量を準備します。
イベントにもよりますが、大体6〜7割ほど売り切って目標金額に到達するような計算です。あくまで机上の計算なので、その通りになることもあれば、天候が悪くて来場者が少なく目標を達成できないこともあります。
こちらは上半期の各イベント出展において立てた目標金額と、実際の売上金額との差を書き出したものです。
3月の大阪てづバでは固定ファンを中心にしっかりと売り上げを作ることができ、2度目の出展となった5月東京デザフェスでは新作の玄関ポーチや人気作の階段を中心に、昨年11月出展時の反省である作品不足を解消して目標金額を大きく上回ることができました。
8月の名古屋クラフトマーケット(Craft Market)は大きな会場での初開催となるため、応援する気持ちでワークショップブースとして出展しました。
しかしワークショップで交流は深まりつつも売上を伸ばすことはできず、目標金額に関しては目測を誤りました。しかし大型イベントがクリマ一強の愛知県で、このクラフトマーケットの参戦は大いに期待しています。
イベント初となる大型会場での初回は、なんと入場料&出展料無料!文字通り大赤字の出血覚悟!人集めにかけるその意気込みに感服しました。また他のイベントをよく研究し、差別化を図ろうとスタッフの方々が一丸となって運営、宣伝をされている姿勢にも共感が持てます。次回は一般ブースにて出展しつつ今後も応援していきたいです。
問題は6月名古屋クリエーターズマーケットと9月東京minneのハンドメイドマーケット2023。
目標金額を達成できなかった反省点と改善策を探っていきたいと思います。
反省点と改善策
6月/クリエーターズマーケット Vol.48
◉天候/良好
◉場所/ポートメッセなごや(中部地区最大規模)2,3号館
◉来場者数/未発表(体感:前回と同じ)/2,000ブース
・2022.12/2日間/2,000ブース/17,500人(1日平均8,750人)
・2022.6/2日間/2,000ブース/21,500人(1日平均10,750人)
・2021.12/2日間/1,500ブース/17,450人(1日平均8,725人)
・2021.6/2日間/1,700ブース/12,150人(1日平均6,075人)
・コロナ前5年間平均/22,400人(1日平均11,200人)
※公式サイトより引用
◉来場者は例年(コロナ前も含め)12月開催より6月開催の方が多い傾向で、コロナ明け以降は来場者数も回復してきた印象。最近は出展者としての人気が非常に高く、ブースの完売が早い。
【反省点】
①新作、通販人気作の不振
デザフェスでは開始直後に完売した玄関ポーチ、階段が2日間で7割しか売れず、通販で再販リクエストの多い移動販売車大、Mark.Ⅱも目玉作品としつつも伸び悩んだ。
②ブースが殺風景
過去には小屋を組むなどして会場でも一際目立つブースでしたが、2021年12月開催時にメインビジュアルを担当して以降、認知度の高さを盾にブースではなく作品に重きを置いた低コスト出展をしてきました。買いやすさ、見やすさは向上しても、ブース自体は目立たず、また過去を知っている人にはブランドの認知度があっても、新しく来てくれた来場者の方々にはベテラン感の強い近寄り難いブースとなったかもしれません。
【改善策】
①新作、通販人気作の不振 → 来場者に合わせた作品選び
薄々気付いていましたが、東京と名古屋では人気作品に差があるようです。私たちの作品では、東京はドールやミニチュア系、名古屋は収納や雑貨系が好まれる傾向があります。最近人気のある階段や玄関ポーチは、名古屋ではイマイチ反応がよくありません。
東京ではドールやミニチュアの専門店が多い一方で名古屋は少なく、またものづくりの街らしく作品自体に明確な役割がある、実用性の高いものが名古屋では求められている印象です。
加えて、電車での来場者が多い東京に比べ、車社会の名古屋では大型の作品でも持ち帰りやすく、複数の作家からまとめ買いする方も多いです。住宅事情を見ても名古屋の方が東京より比較的部屋が広く、買った作品を置くスペースがあります。通販で北海道からの注文が多いことも、この理由が大きいと考えています。
このように、地域によって人気ジャンルに違いがあることと、minimumsがどんなブランドなのか、どう認知されているかを意識しつつ、作品選び、新作づくりを見直したいと思います。
②ブースが殺風景 → 今一度目立つブースを
コロナ禍で開催休止以降、来場者層にも変化が生じ、新たなハンドメイドファンも訪れてくれるようになった昨今、ハンドメイドイベントではやはりまず「ブースで目立ち、作品を見てもらう」ことの重要性を再認識しました。
いかにスムーズにご購入いただけるか、混雑を解消できるかに重きを置きすぎていたのかもしれません。お客様の立場から見ると「な〜んかベテラン感出してる嫌〜なブース」という印象だったと反省しています…。
ただし過去の小屋ブースのように1人では組めないようなブースは、東京1人遠征ではもうできないので、組みやすい&目立つ新たなブースデザインを再考していかなくてはなりません。
一方良かった点として、離れた他ブース間でのコラボ作品を展開できたこと。2月ハンズでミニチュア作家のmoricoさんとコラボしたショーケースが人気で、イベントでも出してみたところ、双方のブースを行き来する方や、moricoさんのファンの方が私たちのファンになってくれたり(逆も然り)と、相乗効果が生まれました。
次回2023年12月のクリマでも作品コラボ以上のコラボを実施できるよう準備を始めています。こちらはまた情報公開致します。
9月/minneのハンドメイドマーケット2023
◉天候/良好
◉場所/東京ビッグサイト(国内最大規模)東7ホール
◉来場者数/未発表
>2023/3日間/2,400ブース/見込40,000人(1日平均13,300人)
・2019/2日間/1,700ブース/32,000人(1日平均16,000人)
・2018/3日間/3,000ブース/58,000人(1日平均19,300人)
・2017/2日間/1,700ブース/来場者数未発表
・2016/3日間/1,400ブース/65,000人(1日平均21,500人)
※公式サイトより引用
◉業界最大手のminneが主催する東京ビッグサイトのイベントということで、minneを愛するminimumsとしてはもちろん出展!と意気込んだが、残念ながら見込の40,000人には体感程遠い来場者数で、過去最大の目標金額差-40万円を出してしまいました。ファンの皆様のおかげで黒字にはできましたが、帰り道は足取りが重かったです。
【反省点】
①来場者への事前アプローチが足りなかった
他イベントでは開始直後にブース前に行列をつくってもらえる私たちminimumsでしたが、今回は特に行列もなく、イベントで最も重要な「途切れない人の波」をブース前で展開できるほどの来場者数がいませんでした。
来場者が多くブース前に常にお客様がいてくれると、通りすがりの人もつい見に行ってしまう、それに連れられてまた人が集まる、という「途切れない人の波」が生まれ、常にブースが盛況してくれます。
しかし一番の売上となる初日は体感として特に人が少なく、二日目は若干増えましたが、三日目はガラガラ、会場奥手では開始30分〜1時間ほどでようやく人がチラホラ通りかかる程度でした。
出展者側としてイベントが成功するかどうかは、とにかく人が集まるかどうか。上記ハンドメイドイベントの選び方でも書いた通り、とにかく人が集まらなくては大型イベントに出展する上で費やした時間と労力のコストが回収できません。
これは私のブランドづくりのバイブルでもある"「好き」を仕事にする自分ブランドのつくりかた"著者の鈴木淳氏(すずき村長)も言及されていました。
人を集めるためには主催者側だけでなく、出展者側も事前にSNS等で告知するなど来場者へアプローチをかけなくてはいけないのですが、「業界最大手のminneだからきっと大丈夫」と運営に甘えていた部分がありました。
②イベントに行きたくなるような価値の提供ができなかった
これまでにも新作の先行販売やイベント限定カラーなど、イベント会場でしか手に入らない作品を毎回出していたのですが、もうこれだけでは「時間とお金をかけて行きたい」と思える価値を創出できていないのかもしれません。
定期的な受注販売によって「今買い逃してもまた買う機会がある」という状況を自ら生み出した以上、会場限定作品だけでは、お客様に足を運んでいただくことは難しくなってきた印象です。
【改善策】
①来場者数への事前アプローチが足りない or 間違えていた
→運営と出展者が一体となった宣伝と、新たなファンの獲得
来場者数国内最大のデザフェスは、ハンドメイドだけでなくアートやサブカルチャー系への幅広いジャンルへの宣伝ができている他、出展者もここにかける熱意が強く、積極的に告知しています。
一方で首都圏以外のイベントではかつての私たちのように、地元のイベントしか行かない、出展しないという人も多いため、年1-2回開催のそのイベントに最大限力を入れています。当然SNS等の告知も積極的に行なっています。またイベント自体が地域に根付いており来場者数も安定しています。
では今回のminneハンマケに何故人が集まらなかったのか。要因は様々ありそうですが、
4年ぶりの開催で「イベントのminne」が浸透していなかった
デザフェスやCreemaのイベント等との違いが明確でなかった
運営と出展者が一体となって宣伝できていなかった
通販で作品を買うことが主流になりすぎた
出展者としてイベントの価値を提供できなかった。
9月の天気の良い三連休に他場所で魅力的な何かがあった
等々が考えられると、出展していて感じました。
一ハンドメイドファンの来場者の立場として考えた時、県外であってもやはり多くの出展者が集うデザフェスには行くでしょう。では他イベントにも行きたいと思った時、何を基準とするのか。
規模だけで考えると他イベントはあくまでデザフェスの「劣化版」と感じてしまいます。また多くの出展者はデザフェス以外にも出展していて、見る側にとっては重複した内容を年に何度も見るくらいなら、最大規模のデザフェスor限られた作家のいる地域のイベントだけで十分と捉えてしまうでしょう。
運営も出展者側も、デザフェスや地域のイベントにはない、ハンドメイドイベントに特化した企画が必要ですし、イベント会場でしか"買えない"のではなく、イベント会場でしか"体感できない"何かを提供しなくてはいけません。普段ECサイトでよく見る作品の実物を見れるだけでは弱いのです。
さらにその何かを、運営と出展者側が一体となりSNS、SNS以外の方法で来場予定者にアプローチしつつ、常連だけでなくこれまでにない新規のお客様を呼び込まなくてはいけません。そして同じ土俵で戦うライバルである出展者同士も戦友として一体となり、盛り上げていかなくてはいけません。
もちろんどんなに魅力的な企画&宣伝ができても、同日程で他場所で魅力的なイベントがあった、今後のイベントに備えて財布の紐を締めたなど、集客には努力を超えた「運」の要素もあります。来場者が行かなかった、行けなかった理由も今後重要な情報となりそうです。
そして宣伝が一体となりすぎて強制力が強くなると、初めて出展するようなハンドメイド初心者にはイベント出展のハードルがグンと上がります。「SNSのフォロワーが全然いない私が参加して良いのだろうか」と。
来場者数確保も大切ですが、常に新しい人が出展してくれる、出展しやすい環境を、運営と出展経験者で模索していきたいです。
②イベントに行きたくなるような価値の提供ができなかった
→イベント会場でしか"体感できない"企画の創出
私自身もハンドメイド作家としての側面を持ちつつ、デザイナーとして「人を集める」企画に多く携わってきました。人を集めることの難しさは痛いほど知っているつもりです。
そしてただ人を集めるだけなら有名人を呼べば済むのですが、それが企画の意図に沿っていなくてはいけないし、有名人を見るためだけに人が来たところで、イベント全体のためになっていなくてはいけません。
ただし歌手やDJを呼んだ爆音ステージはお客様との会話を妨げ、ただただうるさいだけなので出展者には不評です。ステージの盛り上がりとは裏腹に、こちらの感情は冷めきっています。
またキッチンカーの充実は、三大欲求である「食欲」を満たしたお客様が食後気持ちよさそうに会場内のお散歩をするだけとなるので、マズロー的にも作品販売の助けにはなりません。
この点は大阪アート&てづくりバザールのバランスがとても良いと再認識しました。出展者側の販売促進に特化してイベントブースはなく、会場すぐ横には食事ができる大型施設があるため、キッチンカーもありません。朝一で来て会場を一周、会場を出て昼食後、再入場してもう一周という、出展者優位の状況を地の利を活かしてつくり出しています。
また主催がTV局なこともあり、SNSだけでなく動画を使った効果的な広報ができています。会期中の様子をTVのニュース等でも流せることは大きな強みですね。また前日搬入ができることも魅力的です!
話が少し逸れてしまいました。
人集めは出展者一人一人には限界があります。初出展の方はなおさらです。しかし、イベント会場でしか"体感できない"何かは、我々出展者にも各ブース単位で、更に望むべきは出展者同士でもできるはずです。来場者へのメリットを第一にしつつ企画を創出する、それが出展者のメリットにもつながると考えています。
私たちminimumsができることについては、文章の最後でまた触れます。
ハンドイドイベントの在り方
ハンドメイドイベント離れは加速する
今回のminneのハンドメイドマーケットで人が集まらなかった問題は、出展者側の甘さはあったとしても、決してminneのイベント運営の戦略ミスだとは考えていません。今後ハンドメイドに限らない他のイベントでも起こりうることだと考えています。
その理由としては、
・コロナによって「実際に会う、見る」という価値観が変化した
・ライブコマースなどの転売&代理販売が横行し、純粋さを失いつつある
の2点を挙げられます。
コロナの影響で「自宅でも楽しめる何か」に多くの方が気づき行動し始め、ハンドメイド作家、ECサイトもコロナ禍で人と会えない、実物を見れない状況を打破しようと、動画や写真や文章により力を入れてきました。
更にAI技術の向上で、スマホでも簡単にハイレベルな魅せ方をできるようになり、実物至上主義である必然性が薄れたことは通販ビジネスとしては好都合だとしても、イベントビジネスにとって状況は不利になったと言わざるを得ません。
また、これは過去記事「ハンドメイド作品の転売について」でも触れたのですが、ここ数年ハンドメイドイベントではライブコマースなどの転売&代理販売が横行し、来場者と出展者のストレスとなっています。
一部の作家にとってはお金をたくさんくれる神のような存在でも、多くの作家にとっては迷惑千万な存在です。私の周りでもイベント出展に見切りをつけて、通販だけで活動する作家さんが増えてきました。
今回は単に「人が集まらなかった」という問題だけではなく、「ハンドメイドイベント離れ」の一端を見たと感じています。今後更に加速していくとも感じていて、コロナによって「変化の少なかったハンドメイドイベント」に変革が求められています。
minneの打ち出した革命的一手
しかしハンドメイドイベント離れ、ハンドメイドの在り方に対して、今回のイベントにminneが打ち出した新システムは、革命的一手でした。
多くのイベントがライブコマース禁止とする中、minneはライブコマースOKと銘打ちました。当初は困惑しましたが、そこはさすがminne、ライブコマースと共存できるような新たなシステムを、イベントに合わせて開発していたのです。
この限定公開のシステムはQRコードと組み合わせると、ライブコマースや転売目的と疑わしき人を敬遠するような方法を各出展者で取ることもでき、イベント会場で現品が売り切れた場合も「取り置き」のような形でオンライン販売に誘導できます。
イベントに「展示作品」と「QRコード」だけ持っていって、minneの限定公開にて現地販売、後日郵送するということもできます。そうすると搬入出が楽になるだけでなく、極端な話カバン1つでイベントに出展することも可能になります。北海道などの遠方のイベントだけでなく、海外のイベントすらも身近になる時代がやってきました。
今後イベントの出展の方法自体を大きく変える可能性がありそうです。
(もっと周知されてほしい…!)
minimumsができること
ハンドメイドイベントに新しい価値を
minimumsの作品はそれだけで完成せず、アクセサリーや小物を飾る回転木馬など、多くの作品がお客様のコレクションとコレクションをつなぐ役割を持っています。これはハンドメイド界の神、元minneの和田まおさんに私たちの作品について言語化してもらって初めて気づきました。
来場者がハンドメイドイベント会場内で購入した素敵なアクセサリー。ふと私たちのブースに立ち寄った時、回転木馬を見つけてもらう。さっき買ったアクセサリーを飾ったらもっと素敵になるんじゃないか!と回転木馬もご購入していただける。
逆も然りで、回転木馬を買ったお客様が、回転木馬に合うアクセサリーを会場内で探し始める。作家同士は面識がないのに、お客様が会場内で作家と作家を、コレクションとコレクションを繋げてくれたおかげで、新たな何かが生まれて動き出す。moricoさんのミニチュアスイーツとコラボしたのも、お互いに共通のファンが多いことに気づいたことがきっかけでした。
想像だにしていない化学反応が目に見えてその場で起こることが、ハンドメイドイベントの魅力の一つなのではないでしょうか。
minimumsの作品をきっかけに、新たなハンドメイド作品を探す旅に出かける。そんなハンドメイドイベントでしか体感できない「コレクションとコレクションを繋ぐ」企画を、現在奥さんと2人で考えています。
キーワードは「宝物探し」「アンティークボタン」です。12月名古屋クリエーターズマーケットにてお披露目したいと思います。ゆくゆくはイベント会場全体を巻き込んだ大きな渦にできれば、なんて考えています。
minneのような革新的なシステム開発は一作家である私たちminimumsにはできません。が、一作家にしかできないこともきっとあります。
おわりに
私にとってハンドメイドイベントは、良い反応だけでなく悪い反応を肌で感じることができ、自身のセンスを試す絶好の機会でもあります。
作品に興味がない、新作のベクトルを間違えている、過去作の方が良かった等、ネット上では体感できないネガティブな反応を感じることができるのは、対面販売ならではで、自分のセンスの誤りを正してもらえます。
そして何より一来場者だった私が出展者に変わるきっかけも、20歳の時に初めて行ったハンドメイドイベントでした。たくさんの、そして多様な作品を目が回るほど見たことで、自分もこんなモノをつくってみたい、出展してみたいと思えた、そんな大切な思い出の場所がハンドメイドイベントです。
あれからもう15年以上経ちましたが、まだワクワクは止まりません。そんなワクワクを、これからハンドメイドの旅に出かけようとしてる人たちにも共感してもえるよう働きかけることが、先を旅する私たちの使命なのかもしれません。