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プリンタを撫でる派遣社員の話

こんばんは、みやです。皆さん今日もおつかれさまでした。

* * *

ガガガガガガ…ピーッ!
プリンタが嫌な音を上げる。液晶モニタを見ると、案の定「用紙がつまりました」と対処法とともに表示されていた。

「あー…またか」
社員さんに聴こえないような声で1人愚痴る。
プリンタの言う通り、トナーを取り出してつまっている用紙を取り出す。
手はインクで黒くなる。印刷が終わったら手を洗おう、そう思いながらトナーを元に戻す。

ゴゴゴゴゴ…
プリンタが起動し、印刷を再開しようと試みる音がした。
刹那、「バリバリバリバリ…」と嫌な音再び。そしてボロボロになったA3用紙が私の前に現れた。
どうやら紙を掬い上げたときにどこかで折れ、その状態で排出されているらしい。

再び似たような紙が折れる音。
「がんばれがんばれ、よーしよしよしよし…」
仕事に集中している社員さんに気づかれないよう注意しつつ、私はム〇ゴロウさんのようにプリンタを撫でる。

プリンタを思う私の気持ちが伝わったのかは分からないが、彼はなんとか持ち直した。
端は相変わらず折れているが、幸いにも必要な部分はしっかり読める。

ブォン…
印刷が終わった時に鳴る音が聞こえ、取り敢えず安堵する。
枚数と用紙の状態をチェックし、折れているが必要なところは読み取れることを確認した。

“おつかれさま”の意味を込めて、私はプリンタを撫でる。
無理させてごめんね。もう少ししたら裏紙がなくなるから、それまでの辛抱だからね。

時間が経ってたるんでしまったA3用紙の裏紙を、私はトレイに補充する。
このたるみが紙づまりを引き起こしてしまっているが、資源節約のため致し方ない。

端が折れている用紙をホチキスで止め、必要としている社員さんに配る。
「紙折れてて読みにくくなってます。すみません」
と、断りを入れて机の上に置く。「大丈夫」との社員さんの返答に安堵し、私はインクで黒くなった手を洗った。

これが事務アシスタントとして企業に派遣されている私の、仕事の1場面だ。

* * *

以上、いしかわゆき著『書く習慣』(クロスメディア・パブリッシング)の
「書く習慣」1ヶ月チャレンジ、Day2のお題「今やっている仕事や学んでいること」でした!


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