韓国は猟奇的なのが得意・・・「猟奇的な彼女」と「サイコだけど大丈夫」
「サイコだけど大丈夫」NETFLIX 見た方がいい
今、NETFLIXで見られるドラマ「サイコだけど大丈夫」が面白い。
傍若無人で好戦的な美人作家のヒロインと、保護士の青年のラブストーリーだが、なかなかに社会的な要素も含んだ深いドラマになっている。ベタベタした恋愛モノにはあまり興味がないが、このドラマは50のおっさんが見ていてなかなか楽しいし、深い。
「猟奇的な彼女」と「涼宮ハルヒの憂鬱」
韓国には2001年公開の映画「猟奇的な彼女」という話題作があった。日本は2003年公開。「サイコでも大丈夫」を見ているとこの作品が思い出されるだろう。
どうも韓国は「猟奇系」が得意なようである。
実は、この「猟奇的な彼女」があって初めて、「涼宮ハルヒの憂鬱」が誕生した。「猟奇的」の日本公開が2003年1月、「ハルヒ」は同年6月に刊行されている。
「猟奇的」の主人公の名前は「キョヌ」
「ハルヒ」の主人公の名前は「キョン」である。
双方の作品は、この主人公の一人語りで物語が進行する。
「猟奇的」のヒロインは暴力的で力づくで一方的で、主人公はその願いを仕方なさそうに叶えていく。
「ハルヒ」のキョンも同様にヒロインハルヒのわがままを、あれこれ言いつつも叶えていく。
「猟奇的」のヒロインは作家志望で(才能はなさそう)、未来人が現代に来て活躍するSF作品の脚本を書いて、主人公に読ませる。UFOはその未来人の乗り物なのだそうだ。
「ハルヒ」では、未来人とか宇宙人とかが登場する世界をヒロインのハルヒが想像・熱望していて、それがこの世界の創造になっているという設定。
「ハルヒ」は萌え系(美少女系)のジャンルに入れられる作品なのかもしれませんが、わたしは優れたSF作品として、生涯で見たコンテンツのベスト10に入れちゃうくらい素晴らしい作品だと思っています。その作品の誕生に寄与したこの「猟奇的」という作品もまた物凄い魅力の作品なのは間違いないでしょう。
韓流ブームのもう一つの柱、「猟奇的な彼女」はオタク向き
いわゆる韓流ブームは、ヨン様の「冬のソナタ」がトリガー作品だと思いますが、その「冬ソナ」が日本で始まったのが2003年です。「猟奇的」と同じなんですね。
「冬ソナ」は地上波を通じて広く一般的コンテンツとして韓流の着火点になったわけですが、わたしは「猟奇的」がオタク界隈へ「韓流」の火種をともす作品になっているように感じます。しかし、オタク界は未来感覚世界ですので、「韓流」というくくりかたはしないんですね。面白いか、面白くないか・・・。冬ソナはオタク心は刺激しなかったんですが(表向きには)、「猟奇的」はオタク心を刺激して、ハルヒを産んだ。
そしてね、「猟奇的」の主人公のキョヌを見ていると、当時のオタク人の様式に似ている生活・・・って感じたのです。だから、オタクは共感しやすい作品だったのではないかと思います。わたしがオタク資質が多いので、そこが分かるんです。笑
韓国は猟奇が得意? ケンチャナヨ
「猟奇的」は映画。「サイコだけど大丈夫」はTVドラマ形式ですので、両作は並列には比べられませんが、この「サイコ」もなかなか優れた作品だと思います。
どうも韓国は「猟奇系」が得意なようですね。
「猟奇」と言っても、いわゆる猟奇殺人みたいな陰湿で恐ろしいイメージではなく、韓国では「いたずらじみた」とか、ともすれば「かわいい」みたいな意味で使われること多くなったのは、この「猟奇的な彼女」のヒットの影響のようです。元々、「猟奇的」はネット小説で、そのヒットによってネット上で「猟奇」という言葉が流行ったようなのです。
英語版タイトルでは「Sassy」という単語が使われています。「生意気な」みたいな意味です。子供や、若い女性には、「生意気」と使う時に含反対語的に「かわいい、憎めない」という感じの意味を載せることってありますよね。
そういう意味での「猟奇的」を、今風の言葉にお洒落に変換すると「サイコ」になったのかなあ。
韓国の人は、情熱的っていうイメージがありますよね。熱量が高い。
だから、北朝鮮で将軍様が亡くなられたときは、民衆が街で路傍に出て、膝をついてオイオイと泣く。それくらい全身で感情を表現する民族っていう印象あります。
だから、韓国人女性では、情熱的な人がいた場合、ボカ!っと男性を殴るくらいの人がいても、まあ、そういう民族性だよね・・・って、納得できちゃう。笑 漫画チックにならない・・・というのが個人的印象です。
もっと言うと、韓国女性はなんかあったら男性をちっちゃな刃物くらいで刺す! で、韓国男性は、女性のそれくらいの生意気は甘んじて受け止めて、少しぐらいは血も流す。でも、ケンチャナヨーで、心配ない、心配ない。大丈夫、大丈夫で、通してしまう。それくらいの豪快さがあるのが韓国って、思ってます。
だから、韓国の土壌だと、猟奇的だったり、サイコだったりする彼女が存在しても、ケンチャナヨなんですね。笑
なんか、わたしのイメージ、偏ってますかねえ。。。笑
「猟奇的」と「サイコ」の共通点 ヒロイン
両作の共通点は、何と言ってもヒロインのギャップ。
かわいいのに、美人なのに、猟奇的だったりサイコだったりするところですね。
「猟奇的」のヒロインの、チョン・ジヒョンさんは、モデルであり女優でありな人で、世界進出もしている人氣者です。(人氣者って、語彙不足かな・・・)完全にきれいきれいに出来上がっていると言うより、ちょっと個性的で癖のある美人・・・と言う感じが、役柄にもマッチしていたのでしょう。
「サイコ」のヒロイン、 ソ・イェジと言う人も、モデルでもあり女優さんでもある。この人を最初に見たときはあやうい美しさを感じました。
こうなんと言いますか、日本のお能のお面のような。そう、能面顔。
ちょっと、怖いような表情でもあり、でも笑うと口角がすごく上がってすごくかわいい感じになり・・・。でも、こう言う彼女がいて本当に怒ったら、怖いよな。本当に刺すよね・・・と言う雰囲氣。完全にこの役にハマっている方です。(わたし、この作品で彼女を初めて知りましたし)
スタイルも抜群で、大成功している作家先生なので、いろんなお洋服を着て登場するんですが、もう、さすがモデル。バッチリ決まっていて、本当にキレイなんですね。お人形みたい。
お母さんに、お人形みたいに育てられた・・・と言う設定にもバッチリあっている。
そして、そう言う見た目なんだけど、声が結構低い。好きです、この声。そのギャップがまたいい。人を指すときに、低い声で来て刺す人って怖いですもんね。ヒステリーで刺すのではなくて、確信して刺す感じ。笑
ヒロインがサイコになるには訳がある。
ヒロインがサイコになったり、猟奇的になったりするのには訳があります。
「猟奇的」もこの「サイコだけど大丈夫」も、そこらへんの人物設定がとてもしっかりしていますし、作品中でも丹念に描かれていて。特に「サイコ」では、そのヒロインの「サイコ」になった生い立ちが、物語の重要なファクター・メインストリームに関係しています。
ヒロイン。彼女の抱える闇に立ち向かう主人公。
「サイコ」では、また、その主人公側にも、深い心の闇があって、登場人物たちがその闇とも戦っていく訳です。そこが、このドラマの深みになっています。
「サイコだけど大丈夫」のオープニング人形アニメがまた素晴らしい
一言で言ってしまうと、ずばり、ティム・バートンの人形アニメ級クオリティーのアニメで、作品がスタートするのです。
ティム・バートンのコア・ファンからすると、全然だよ!と言う声が上がるかもしれませんが・・・。
でも、西洋感覚のティム・バートンの人形の顔よりも、韓国感覚でデザインされたこの作品のアニメの人形の顔の方が、わたしは好きです。好みです。エグい絵柄なんだけど、人形の女の子の顔は、可愛いんですよ。キャラデザが好き。
さらに、ヒロインが絵本作家で、その挿絵が劇中にたくさん出てきますが、その絵本のアートワークがなかなか素晴らしい。この絵本世界だけでも一つの作品として勝負できるくらいの物が用意されていて、制作チームの意氣込みを感じますし、とにかく、その作品がいいです。
トラウマ、心の闇・傷、そして家族
サイコな彼女だったり、人形アニメだったり、色々とギミックの効いた立て付けを用意してくれていますが、各人物、その生い立ち・動機、それらがしっかりと作り込まれていて、ストーリーに反映しています。
そして、個の戦いだった登場人物たちが、家族という絆を作り出して、協力を開始する話・・・。
今の世界に大して、プリミティブで重要なテーマを投げかけてくれる作品になっていると思います。
主人公のキム・スヒョンもめちゃくちゃ格好いい。キレイね。
そう。主人公がキレイです。笑
そして、その主人公のお兄さんが、ちょっと発達障害があるお兄さんなのです。レインマンのダスティン・ホフマンよりは、もう少し色々できる感じ。
このお兄さんが、見ているとどんどん好きになる。
なんか、2歳の娘が、色々と言葉とか会話を覚えていく・・・その様子にも似ているから、好きになるのかも。この、兄弟の愛情も見ていていいなと感じる部分です。
とにかく、1話、見てください!笑
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