ショートショート: 正義のインストール
セイジは目を開けた。視界がくすんでいて、周囲がわからない。
立つこともできず、自分がどこにいるのかも分からない。
周りを見回しても、誰もいない。
「ここはどこだ?」
手をあげ、伸ばそうとすると、腕には何かが装着されていた。マイクロチップのようなものと、あとは見たことのないデバイスだ。
「ここは、インスタレーション施設です」という声がした。
施設のスタッフが現れ、説明をはじめた。
「殺人犯であったアキオの意識が剥奪され、代わりにあなたの意識がインストールされました。あなたの遺体の損傷が酷かったため、この手段が選ばれました」
「私は、、?」質問にならないような質問をした。
スタッフは察したのか、
「あなたは、正義感の強い検事、セイジ・サトウです」と、ぎこちない形容つきで説明してくれた。
「アキオ というのは、、?」とまた質問にならない質問をしてしまった。
スタッフは淡々と続けた、
「あなたが学生の頃からの友人ですが、彼の家族が有罪判決となったのが原因で、検事としてのあなたが彼の恨みの的となっていました」
「また、インスタレーション・グリッチ、と言って」
スタッフは続けた、
「意識が新しい身体に入ってから数週間は、記憶の復元が断片的になります。先例も少ないことから、色々とご不便はおかけするかもしれません」
「なるほど」
納得はしていなかったが、言葉が先にでた。
施設での療養が続き数週間後、セイジは自宅に戻ることができた。
見慣れた家に帰ると、記憶が少しずつ戻ってきたような気がした。
彼は鏡を見た。鏡に映った人物は、もちろん彼の知る彼自身ではなかったが。自分のようにも思えるようになってきた。
要するに、まだ自分自身を受け入れることができなかったのだ。
「こんなことがあっても、仕事は続けなければならない」
と、彼は自分に言い聞かせた。
彼は検事の仕事に戻った。アキオの関わる事件を調べ始めた。アキオは過去にとある事件の被疑者集団の1人となり、彼を除く家族全員が有罪となっていた。
どうやらこのことが原因で、アキオはセイジを憎んでいた。
「アキオは今、この身体に残っているのだろうか」
セイジはついに、自分が殺された事件について調べ始めた。
調べはじめてから、思い出すのに、そう時間はかからなかった。
セイジは、わざとアキオに殺されたのだった。
そもそもセイジは、アキオからの恨みをよく知っていた。
アキオに殺されれば、アキオの恨みを晴らすことができる。
そしてことがうまく運べば、セイジから体を乗っ取り、セイジの意識をこの世から消すことにもなる。
彼は、自分がやったことが正しいと信じながら、新しい日々を歩み始めた。
正義とは、人々が望むものではなく、本当に正しいことを知っている者が決めるものだと信じていた。
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Cover photo by Tingey Injury Law Firm on Unsplash
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この記事は、ChatGPTにブレスト相手になってもらいながら執筆したSFショートショート作品です。