あの日僕はスーツケースを手放した

みなさんこんにちは、ミニマリストのKAZです。
365日リュック一つで暮らすというミニマルな生活を送っています。

さて今回は、僕が「スーツケース」を手放した時のお話をしたいと思います。

実はリュック生活になる前、スーツケースに荷物をまとめて移動していた時期ありました。その時は今よりも遥かに荷物が多く、まだまだ「身軽」とは程遠い状態でした。本当の意味での「身軽さ」を理解していなかったのです。

スーツケース生活をしようと思ったのは、ワンルーム暮らしの窮屈さに嫌気がさしたからです。大学卒業してすぐに世界一周の船旅を経験した僕は、これまでいかに古い常識に囚われていたのかを痛感しました。そして船旅をしている間の3か月間、それまで暮らしていたワンルームの賃貸を無駄に払い続けていたことを酷く反省。船旅から帰ってきてすぐ、10日で部屋にあった物を処分し、捨てられないものは段ボールに詰めて実家に送り、残りは全て90ℓ容量のスーツケースにまとめ、家を出ました。

(なぜ住んでもいない家の賃料を払い続けていたのかというと、「引っ越しは人生の一大イベント」だという固定概念を持ち、「なんだなんだで気に入っているし…解約も大変だし…」という現状維持に甘んじていた、「月々5.5万円という額の大きさ」をまるで理解していなかった。ということが挙げられます。)

スーツケースひとつになった僕は、いよいよ自由になれるのだと思いました。何にも縛られず、固定費だってかからない、好きな場所へ行き、自分の好きな仕事をして生きていくんだと。
僕の頭の中にははっきりと米米CLUBの「浪漫飛行」が流れ出します。歌詞にある通り、トランクひとつだけの生活が僕にもできるんだ!とワクワクしました。

しかしその違和感は、家を出て早数分後に感じられました。

スーツケースが思いの外、自由が効かないのです。もちろんスーツケースにはタイヤがついていますし、作りもわりとしっかりしている。どんな重い物だって理論上は持ち運べるはずなのに……いざ動かそうとすると、アスファルトに引っかかって言うことを聞かないのです。
しかもちょっとした坂があると、スーツケースの重さで自ら坂の方へと流れていき、それを抑えるので精一杯。これではもはや「僕のためのスーツケース」ではなく「スーツケースのための僕」だ。

そして次の宿泊先に移動するために地下鉄を利用するのですが、その地下鉄のホームに降りるのも一苦労。完全に自分のせいだと言うのに「エレベーターがなぜないのだ!」と外部に怒りを覚える始末。とても余裕なんてあったものじゃあない。

【これが…僕が求めていた「身軽さ」なのか…?】

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