一人暮らし 初 入院記
9月某日。
朝起きるとお腹が痛い。「あ〜昨日何食べたっけ?」
何か悪いものを食べたんだ…こんな時は正露丸。
胃腸が弱い私は、腹痛があると何かと正露丸に頼っているので、この日も正露丸を飲んだらすぐに治るだろうと正露丸を飲みました。
だけど今回ばかりは正露丸の力は発揮されませんでした。
ここでは30代後半、一人暮らし2年目の私が初めて直面した「病気」と「入院」について長く語ろうと思います。
こんな経験もなかなかないので忘備録として書いておきたいというのもあります。
至って平凡な人生に突然起きた出来事。
興味のある方はぜひ読んでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ。
発症から入院まで 病名
その日の午前中は起き上がることも辛いぐらいお腹全体(特に胃の周辺)が痛くて、いつもなら薬だけで放置するところですが、この時は病院へ行くこともちらと考えました。
だけど今日は土曜日。病院も閉まってるだろうし、それより動く力がない。
あきらめてようやくベッドから起きれたのが午後も過ぎてから。
何か食べるものをと考えたものの、欲しいゼリーやヨーグルト、果物がない。しかたなく、ヨロヨロと体を起こし、自転車で近くのスーパーへ行きました。
こういう時、自分でなんとかしないといけないのが一人暮らしの辛いところです。
なんとか買い物を終え、少し食べて薬を飲んだものの、やっぱり痛みは治らない。
「明日仕事行けるかな…」
そんな心配と痛みでその日は終わりました。
次の日なんとか出勤し、それから3日経過。
仕事は問題なくこなしていましたが、夜寝る時や朝は痛く、治る治ると思いきや、やっぱり治る気配がない。
私の中の「正露丸万能説」が崩れた瞬間。ついに病院へ行くことにしました。
その頃痛みはお腹の右側が痛む気配があり、CTと造影検査をし、医師に言われた診断結果は「虫垂炎」でした。
「すぐに入院してください。手術になりますので親御さんにも連絡してください。」
チュウスイエン?
ニュウイン?
オヤゴサンニレンラク??
いやいや、待って。今日も仕事に行く予定でちょっと病院に寄っただけなのに、入院?虫垂炎=盲腸ということもこの時は頭に浮かばず、ただただ呆然とするばかり。
どうなるの、私?
待合室で背中に悪寒が走り、手が震えていたのを覚えています。
(今思えば虫垂炎でこの動揺は笑えますが、当時は頭が真っ白でした)
一度家に帰りたいという希望も断られ、別の病院で処置することに。
待合室から救急車までストレッチャーに乗せられ、他の待ち合い室にいる人たちにジロジロみられながらの移動。恥ずかしすぎて消したい記憶。
こうして人生初の救急車に乗るという貴重な(?)体験をし病院に到着しました。すぐに手術と言われていたものの、いっこうに手術の気配なし。
部屋の片隅に追いやられ、ひたすら救急車の中でされたのと同じ質問を延々とされ(特にコロナ関連)、さらにPCR検査、その結果待ちに1時間ぐらい待たされました。
この時一緒にいてくれた看護師さんが教えてくれましたが、虫垂炎は最初は胃が痛くなるそうです。(その後に虫垂あたりが痛くなる。)
結局、手術は今の状態ではできないと言われ、10日間の入院となりました。
(膿が広がっている状態だからとかなんとか、説明をされましたがよくわかりません)
手術できないとわかり、ホッとしたものの、初めての入院。
30代で盲腸になるなんて…そんなことを考えながら、職場の人たちにひとまず連絡。
こうして長い入院1日目が終了しました。
絶食期間 入院での生活
入院2日目。
1番困ったのがメガネがないことです。家に帰らせてもらえなかったので、持っていたのはスマホ、財布、家の鍵のみ。
この時ばかりは親にお願いして、メガネやメイク用品、充電器、本などを持ってきてもらいました。コロナで面会はできなかったので、看護師さんに鍵を預け、親に取りにきてもらいます。
持ってきてもらったのはいいものの、充電器のコードが思っているものと違い、充電できずに困っているところ、同室の方が貸してくれたのでとても助かりました。
入院といっても、私の場合は手術ができなかったので、絶食とひたすら抗生剤と点滴を打つだけです。私はなぜここに…?と思うぐらい腹痛も特にありませんでした。
唯一点滴の針がめちゃくちゃ痛いぐらい。(そしてジャマ)
入院期間中のスケジュール
・朝6時起床(電気つけられる)/問診
・8時朝食(絶食時なし)
・シャワー(2日に1回、夕方の時もあり)
・テレビ・読書
・12時昼食(絶食時なし)
・問診
・読書・SNS・院内を散歩
・18時夕食(絶食時なし)/問診
・テレビ・読書
・22時消灯
こんな感じでひたすらテレビ、読書、SNSがお友達です。wi-fiが使えないため、ギガ数を課金しながらの痛い出費が発生。
あとは点滴をしているのでしょっちゅうトイレを往復。窓からの見晴らしが最高でした。
入院中読んでよかった本
長い入院生活を乗り越えるために本はマストアイテム。
その中でよかった本を紹介します。
母性 湊かなえ
母と娘交互の回顧録で進む小説。テンポよくあっという間に読み終えました。
母娘の距離感や子育ての難しさを考えさせられる本でした。
戸田恵梨香と永野芽郁主演の映画化も楽しみで観に行こうと思います。
手ぶらで生きる しぶ
何度も読み返しているミニマリスト本。
物が増えて部屋が散らかってきたなと思った時に読み返すと、原点に戻って物を見直そうと思える本。入院中もいろいろ見直す物の発見がありました。
海苔と卵と朝めし 向田邦子
向田さんの文体が好きです。
無駄を削ぎ落とした、センスのある言葉選びとか、シンプルで潔さみたいな、著者そのものを表しているような、うまく言葉にできないけど上手いなぁと読むたびに思います。
出てくる料理もおいしそうなものばかり。
サピエンス全史
まだ上巻しか読めてないですが、人類がどのように進化したのかの考察が面白いです。
他の動物と違うのは、人間は「虚構」を生み出すことで動物と違う進化を遂げたということ。
年内中には全巻読み終えたいです。
君たちはどう生きるか 吉野源三郎
これは病院の図書館で見つけて読んだ本です。
主人公コペル君の疑問に叔父さんと一緒に向き合って考える物語。
人生において大切なことが描かれています。マンガ形式なので読みやすかったです。
絶食明け 久々の食事
入院5日目、絶食期間が終わり、ようやく食事ができるように。
点滴をしていたため、そんなに空腹を感じることはなかったものの、やっぱり久々の食事は嬉しい。病院食はまずいというイメージでしたが、正直に書くと食事はおいしかったです。
写真の通り、3分粥にとろとろのおかず、流動食のようなものばかりでしたが、味付けもしっかりついていて、意外とおいしくてびっくりしました。
ちなみに写真は昼食です。(見た目は全然おいしそうじゃないですよねw)
この入院期間はほぼ残すことなく毎食完食でした。
入院最終日だとご飯も普通食になり豪華に。
入院期間中、看護師さんや同室の方には親切にしてもらい、何の心配もなく過ごせることができて感謝でいっぱいです。
あと改めて病院で働く人たちを尊敬。
退院後 保険・見舞金手続き
無事に10日間の入院を終え、いろいろな手続きが待っていました。
そう、支払や見舞金の申請です。
保険もろもろの制度は全くの無知だったのでこれを機に知ることができました。
高額医療になるので、まずは会社に健康保険限度額適用認定証を発行してもらいます。
健康保険限度額適用認定証とは
高額な医療費がかかる際に、病院の窓口に提示することで、所得に応じた自己負担限度額までにすることができる国の制度です。
私が入院したのは10日間で、普通に支払うと15万ほどかかると言われました。
実際この限度額認定証を使うことで医療費の負担がかなり軽くなりました。
他にも助かったのが、会社から支給される見舞金です。
私は正社員ではありませんが、会社から見舞金が出ました。
出ると思ってなかったので、とてもありがたかったです。
もう一つが医療保険に加入していたので保険金の申請。日額5千円の入院費用が出ました。
書類提出に必要なものは以下の通り
・退院の際に「入院した期間が記載された診断書」をもらう
・病院にて認定証を見せて支払い、領収書をもらう
保険会社に診断書と領収書のコピーを送ると、後に保険金が振り込まれました。
手順などは他にもやり方があると思いますが、私が実際に申請した方法です。
民間の医療保険は必要?
実は私、2022年中に個人で入っていた医療保険を解約する予定でした。
……恐ろしい。
この記事を読んでる人たちに言いたいこと。
保険は解約しちゃダメ
保険は解約しちゃダメ
よほどの高額の保険金を払ってるだったり、めちゃくちゃお金を持ってるとかじゃない限り、保険は必要だし入っておくべきだと思いました。
巷では民間の保険は必要ないという話もよく聞いていて、「そうだよな〜、国の制度がちゃんとあるし、個別に払う必要ないよね」と制度もよく知らずに思ってました。
でも国の高額療養費制度があるといっても払う額は大きいです。
私は幸いにも、いつもの先延ばし癖が功を奏して解約せずに至りましたが、もし解約していたらきっと後悔せずにはいられません。
民間の医療保険に入っていたおかげで支払った分の医療費を大きくカバーすることができたので、低収入な私にとって医療保険は本当に助かりました。
おかげで今回の入院費用は、民間保険と見舞金で全て賄うことができました。
なので国の制度があるからといって保険は安易に解約すべきではないと思います。
もし保険を見直すとすれば
・月々の保険料が高くないか
・他に自分に適した保険がないかどうか
だと思います。
ちなみに私が加入している保険は毎月900円。
ネットの民間保険ならこれぐらいで入れる保険があります。
制度も意外としっかりしています。
残念ながら私が加入している保険は終了してしまったみたいでお伝えすることができませんが、ネット保険おすすめです。
保険やること まとめ
① 健康保険限度額適用認定証を利用する
②会社の見舞金をチェック
③民間の医療保険の見直し
病気になって気づいたこと
初めての病気・入院を経験して、これまでの自信や過度な思い込みが良い意味でガラガラと崩れました。
この経験で気づいたことをお伝えしようと思います。
病気はいつでも誰にでもなる可能性がある
病は突然にやってきます。
一人暮らしを始めて
・水は意識的に取る
・野菜を毎日とる
・筋トレほぼ毎日
健康には気をつけていたつもりです。だけどこんなことになっちゃった。
「病気は気をつけていてもなる時はなる。」
これを知っておくと過度に落ち込むことはありません。
むしろ自分の中で健康的な生活を続けていたので、「もっと健康に気をつけていれば…」という後悔はせずにすみます。
自分は健康だから病気になんてならない、なんてことはないんだと思い知らされました。
今回は盲腸で済んだものの、これから歳を重ねるにつれ、大きな病気になる可能性は高くなります。
そのためにも基本的な生活習慣に気をつけて日々過ごしていきたいと思います。
会社に勤めていることに感謝した
この時ほど会社員で良かったことを痛感したことはありませんw
・休んでる期間は有給が出る
・見舞金制度
・気遣ってくれる上司や仲間がいる
フリーランスに憧れもありますが、給料や休みもろもろ制度が充実しているのが会社員のメリットだなと感じます。
身近な人の優しさに助けられた
コロナで面会ができないので、慣れない病院に一人は心細いです。
すぐに必要なものを持って駆けつけてくれた親や、LINEでこまめに状況を聞いて心配してくれる職場の上司や仲間の人たち、忙しいなかでも文句を言わず優しい言葉をかけてくれました。とても恵まれているなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。
何よりも健康が大事
健康が第一。これにつきます。
健康を害すると行動も制限されるし、やりたいことができません。
9月に入院して、ほぼ半月何もできない時間を過ごしました。
食べたかった月見マック(健康と言いつつ食べるw)、途中で断念した副業、やりたかったあれこれ、全部できなくなります。
普通の幸せは健康があってこそ。
当たり前のことに気づけたことが今回の大きな収穫です。
虫垂炎 プチ情報
最後に知らなかった!虫垂炎情報を書いておきます。
知ってるだけで「あ、これは虫垂炎かも?」と事前にわかると対処ができるので、お役に立てればと思います。
虫垂炎の痛みは胃から
虫垂炎と聞くと右側脇腹に激痛をイメージすると思いますが、初期症状として胃から痛みが発生し、徐々に痛みは虫垂へ移動することもあります。
他にも症状として、下痢や吐き気を催すこともあるそうです。
虫垂炎は放置しておくと命にかかわることもあるので、私のように放置せず、早めの受診をおすすめします。
虫垂炎 頻発する時期
これは私を担当する医師が言っていたことですが、虫垂炎が頻発して起こる時期があるそうで、それが梅雨と秋の初めだそうです。
おそらく気温や湿度が関係しているのではないかと言っていましたが、私が虫垂炎になったのが確かに9月初め、まだジメジメした気候だったのでなるほどでした。(逆に冬場はほとんどないそう)
虫垂炎になったら
虫垂炎は年齢関係なく発症します。
子どもがよくなる病気と思いがちですが、私みたいに30代でもなるし、60代でもなります。特に高齢の方がなった場合、大腸癌を疑うそうです。
30代でも無関心ではいられません。今後は人間ドッグも受けようと思ってます。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。長々と私の経験談を書いただけの文章ですが、健康・保険の大切さが少しでも伝われば幸いです。
正直、「入院」という経験ができてよかったなというのが今回体験してみての感想です。いろんなことを知ることができたし、迷惑はたくさんかけたけど、周りの人たちの優しさに改めて感謝することができました。
この文章が書けて皆さんに読んでもらえていることにも感謝です。
読んでいただきありがとうございます。
それではまた
ヒカリ