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「賃貸」か「持ち家」の決め手は損得ではない

ある程度の年齢に達すると、だれしも一度は考えるのが、賃貸暮らしを続けるか、はたまた住まいを購入するか、だと思います。

ミニマリストであるなしにかかわらず、生活スタイルを考える上で、家の問題は永遠のテーマなんじゃないでしょうか。

ちなみに、私はイギリスで自宅を所有しています。といっても、ごく小さいワンベッドルーム・フラット(寝室が1つとLDK)ですが。

どれだけ小さいかというとですね、
うちは、寝室、玄関ホール、玄関ドアが直線状に配置された間取りになっているのですが(LDK部分は、玄関からみると、左手側に広がっている)、この一番奥行きがあると思われる直線部分においてすら、三段跳びの選手なら、寝室の奥から「ホップ、ステップ、ジャーンプ!」のジャンプで、玄関の外へ出てしまうであろうと思われるサイズです。(わかりにくい…)

小さな住まいですが、こっそり自慢させて頂くと、
ローン完済しました。😃

鬼のように繰り上げ返済し、5年で支払い終えました。

賃貸か購入かを決めるにあたっては、よく「どっちが特か」が議論されています。私は結果的には購入に踏み切りましたが、個人的には、損得勘定は二の次三の次だと思っています。

借りるか買うか:私の選択基準

私が優先事項として設定したのは、1. Stability (安定性)、2. Security (安全・防犯面)、そして、3. Efficiency (効率)です。ただしこれは、各個人が置かれた状況や環境によって、選択が大きく異なってきます。

1.安定性

「持ち家のほうが断然、安定するだろう」と考えるのは早急です。生活全体を考えた場合、安定性は、必ずしも所有権だけの問題ではなく、事前に計算できない要素が多々あります。

ローンの支払期間中に、経済の影響で利率が上がったり、地価が下落したり、というのはよくある話です。

また、私の知人で、せっかく長年の夢であった持ち家を実現したのに、隣にとんでもない住人が越してきて、自分がよそへ引っ越すのを余儀なくされた人がいます。

一方、賃貸であっても、良心的な大家さんで、なおかつ良い関係を保てているのであれば、これほど安定した状況はありません。メンテナンスは、大家さんにまかせておけばいいのですから。

私は、前に住んでいたフラットでは、大家さんには恵まれましたが、イギリスで住宅バブルがはじけて、売り物件の価格が下がった反面、学生が多い街ということもあって賃貸物件の家賃上昇が止まらなかったので、購入に踏み切りました。

何を持って安定とするかは、その場所がもつ特徴と照らし合わせて考えたほうがいいです。

2.安全・防犯面

私は一人暮らしで、旅行で自宅を空けることも多いので、防犯面には特に注意を払いました。郊外だと、もう少し広い物件も買えそうでしたが、なんとなく防犯面がユルい印象がありました。

ご家族だと、近所づきあいを通じてコミュニティー単位で防犯対策ができるかもしれませんが、一人だとなかなかそうはいきません。

なので、私は市の中心にある比較的新しいマンション(日本で言うところの、です。英語の「豪邸」ではありません)に狙いをあわせていました。

いま住む自宅は、建物のメイン・エントランスには電子ロック、そしてエレベーターに行く通路にもう一つ大きな扉があり、そこも電子ロック、エレベーターは電子ロックに加えて暗証番号、それらを経て、やっと自宅のドアにいたります(これは電子ロックではなく普通の鍵、ただし二重)。

でも、小さいお子さんがいる家庭だったら、これって面倒かもしれません。

3.効率性

私は車を運転しないので、「職場、日常の買い物をするスーパー、そして駅まですべて徒歩圏であること」にこだわりました。こだわり続けていると、結構見つかるもんです。

イギリスのバスは、時刻表があっても、ないのと同じようなものですし(場所によりますが)、私は通勤に時間をとられたくありません。なので、えらい便利なところに住んでいます。

でも、これとて人それぞれで、私の同僚にしてみれば、私の住む場所は「便利な立地だが、(彼女にとっては)はなはだ効率が悪い」らしいです。

理由は、周囲の道が混んでおり、駐車場代が高い(彼女はマイカー派)うえに、子供の学校から遠いので、送り迎えに不便だから、だそうです。

日本みたいに交通機関がしっかりしていたら、あまり気にする必要はないかもしれませんが。

自分の価値観を見出すことがシンプルな生活につながる

ミニマリスト的には、賃貸のほうが身軽でいいからおすすめなんでしょう。私も、日本に住んでいたら買わなかったと思います。

でも、自分なりの重要項目を、自分が住む(または住みたいと思う)地域社会、都市、ひいては国の状況においてそれぞれ考慮すると、答えは必ずしもひとつではありません。

住まい選びは、生活全体に関わってきます。生活の質は、フィナンシャル・プランナーと住宅ローンのシミュレーション分析をいくらやったところで、正解というものはなく、金銭的な損得は選択基準のひとつの要素にすぎません。

買うにせよ借りるにせよ、自分には何が重要かをひとつひとつ洗い出すことが先決だろうと思います。