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ジャージバー探偵事務所の創作ばなし

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秋を題材にした創作ばなしです。ジャージバー探偵事務所の自バッタさん、他イクツさん、カメバ―さん、共グモさんが日本の秋を紹介しています。場所は東北の松島と会津です。*途中から番号は…
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2023年10月の記事一覧

女性の生き方を考えるはなし

山本周五郎さんの小説に『笄(こうがい)堀』があります。石田三成の大軍が、忍城(埼玉県行田市)を攻める話でございます。この話はのちに『のぼうの城』の小説、映画としても有名になったのでございます。 『笄(こうがい)堀』では、城主の妻、真名女(まなじょ)が城を守ったということでございます。山本周五郎という作家らしいではございませんか。 城主は歴戦で勇士と共に留守をしている忍城は、わずか三百の兵です。城を守るのは、城主の妻の自分だけ。残っている兵士は実戦に乏しい、しかも老兵だけな

ボリビア・ベニ県自治大学の成り立ちには高校生が…というはなし

「文化のための戦いには、平和・創造・調和がなければならない。それは、慈悲という武器をもった戦いでなければならない」メディナチェリは叫んだ! 「見よ!オリエンテには、赫々(カクカク)と燃える太陽が昇る」コルティスは、高らかに讃えている! 「このお二人はですね…ボリビア北東部の県、ベニ県を舞台に活躍された方たちですの」 「素晴らしい!この言葉、詩的な響きが、なんとも素晴らしい!」 「紋章には天然資源と太陽が描かれていまして…北東側はブラジル国境で、南側はコチャバンバ県、西

他イクツさんの名前の由来は…共グモさん

他イクツさんは、古来「花の王」「富貴花」と呼ばれた牡丹(ボタン)の花の写真を見て言いました。 「牡丹は春の花なのですが…手間をかけて育てることで、冬の厳しい季節にも咲く花となりました」 「ボタン…ぼたん…ボタン…ぼたん…あ、こんなところに…あったのか…」 自バッタさんは机の下に転がっているボタンを見つけました。「確かにな…このボタンは厳しい冬には欠かせないんだ。ありがとうよ~」と、ボタンに感謝をしている自バッタさん。 「確かにボタンはそうですね…」他イクツさんは、自バッ

明治うまれの児童作家さんのはなし

月こそ心よ、花こそ心よ *今日のお客さまは児童文学作家ひろゆきさんです。ようこそおいでくださいました! 🔹古い新聞の記事からわたしを見つけてくださり、本当にありがとうございます。わたしが児童作家として最初に出した本はですね…あのいまわしい戦時下の人々の暮らしを、できるだけ明るく描いたものだったのです。多くの子どもたちに読まれました。わたしは現在は81歳ですが、これからも不戦・平和の心をはぐくむような児童文学作品を書いていきたいと思っています。 *ひろゆきさんは、昭和43

『父と娘の往復書簡』から人生と役者を考えるはなし

他イクツさんは本を片手に説明しています。 「子どもの夜泣きにキレたり、仕事がうまくいかないと当たり散らしていたにもかかわらず、自分を支え、子供たちを育てていた奥さんに、感謝せざるを得ないと話しています」 自バッタさんは、本の世界から現実の世界に戻ってきました。 「……そっか…ありがとうよ」と、自バッタさんの目には、今にもこぼれそうな涙が光っています。 「しかし、やるせないよな…だってよ~2006年から連載になっていて、2008年には文藝春秋から発行されていたんだろ?今

ジャージバー探偵事務所は今日も平和でなによりです*虫が苦手な方はご遠慮ください*(創作話)①

ジャージバー探偵事務所は、今日も柿ピーの匂いでいっぱいです。 「柿ピー、くさっ」 事務所に入ってきたのはジャージをはいた、自バッタさんです。(ジバッタさんの本名はよくわかりません) 「お前はさぁ、イソップの『アリとセミ』の話を知らんのかよ。もう秋なんだよ?」 「アリとセミですか~?んーーーー、知りませんねぇ」 柿ピーを口の中でムシャムシャぽりぽり食しているのは、他イクツさんです。(タイクツさんの本名もわかりません) 「お前、ほんとに知らんのかよ。アリがせっせと働いて冬にそ

ジャージバー探偵事務所は今日もいい天気です②

ジャージバー探偵事務所は、今日もいい天気です。あちらからも、こちらからも、鳥たちのおしゃべりが聞えてきます。 「秋だね~♪」 「秋だよ~♪」 「今年は暑かったね~」 「今年は暑かったよ~」 「涼しくなったね~」 「涼しくなったよ~」 「それでは、ね~よ~のご依頼にお応えしたいと存じます…」と、他イクツさんはコクリコクリと船をこぎ始めました。 えんや…どっ…ど…えん…や…ど…っ…ど……まつし…まぁ…の… これは、他イクツさんの寝入りの儀式です。 自バッタさんは、この儀式

お堀をつくった人は天才だと思いませんか~③

ジャージバー探偵事務所の所長、自バッタさんは、どこに行ってしまったのでしょうか。 「お堀というものを考えた人は、天才だと思いませんか~?ここには、お城に住んでいた人とは比べものにならないほど、たくさんの生きものが住んでいると思われます。日本の総人口は、およそ1億2149万9000人くらいなのです。(2023年5月現在)そのうち65歳以上は、およそ3621万2000人だそうです」 「うーーーーーん」 自バッタさんは、数字で言われてもわからないじゃねーか…」と、心の中でうなっ

カメバ―さんと桃のはなし④

「ねぇ、あなたが時間をつくっていらっしゃるの?」 「いや、わたしはそんなことはできないさ。わたしは人間に時間を配っているんだよ」 「時間を配るの?そう~時間は配られているものだったのね。ふ~ん、でも見えないけれど、風のようなものなのかしら?…それとも…音楽みたいなものなのかしら。まぁ~それで、こんなに時計をたくさん持っていらっしゃるのね」 「いや、これは、ただ趣味で集めたものなんで…ハトが時間を教えてくれるものだってあるんだ。この大きな古い時計は一番のお気に入りさ」

ウィトゲンシュタインの存在『〈実存哲学〉の系譜』の紹介⑤

1889年、ウィトゲンシュタインはウイーンの裕福な家庭に生まれました。「論考」期の彼の生の思考は、彼の生い立ちにみることができるといいます。 彼の哲学にはその背後に彼の生の思考、自分自身の生き方をめぐる思考がいつも伴っていました。それは、彼が誠実さを志向する人間だったという現れであり、言い換えると、壮大な宮殿のような哲学理論を構築しながら、自分は、その隣の小屋に住んでいられるような人間ではなかったといえます。 「論考」という壮大な宮殿を建てたとき、彼はやはり壮大な宮殿に生

カメバ―さんの名前の由来は…⑥

「みずかめ座」(Aquarius)は、西洋占星術における星座の一つで、水瓶宮(Aquarius)とも呼ばれています。 水を運ぶ用具には、桶があります。桶は世界中でさまざまな文化で使われており、用途やデザインは地域によって異なります。日本の桶は木製のものが一般的で、これらの桶は、水を運ぶだけでなく、料理の調理や食事の際にも使用されます。 日本の文化では、桶は重要な役割を果たしており、茶道やお風呂、また日常生活のさまざまな場面で使用されます。また、桶には伝統的な装飾や模様が施