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拝啓 柳葉敏郎様

 初めまして、自分は秋田市在住の今年40歳になる独身男性です。2、3年前から500歳野球に興味を持っておりました。
 
 2024年9月14日(土)~18日(水)、秋田県大仙市にて、第44回全県500歳野球大会が開催されましたが、自分は大会初日、神岡野球場にて初観戦いたしました。
 
 開会式でユニフォームに身を包み球場の芝生に立っていたのは、瑞々しい学生ではなく50歳以上のおじさま・おじいさま達でしたが、帽子を被った選手たちを遠くから見ると、学生となんら変わらない凛々しい佇まいでした。
 
 ちなみに500歳野球とは、「原則50歳以上でないと出場できない。出場選手9人の合計年齢が500歳以上であること」などを主なルールとした変わったスポーツですね。
 
 開会式では大仙市らしく花火を打ち上げたり、始球式では地元の少年野球をやっている子供たちが可愛らしく盛り上げてくれていました。
 
 開会式が終わり、1試合目のチームが練習を始めました。出戸浜クラブと、きたせんクラブです。見ていて気になったのは、サイドスローの使い手がチラホラいましたね。年齢的に肩が上がらなくなって自然とそうなるのでしょうか。
 
 球場の応援席で観戦しているのは、試合を控えている他チームの選手たちや出場選手の家族、関係者たちがほとんどのように見受けられました。何の関係もない一般の観戦客はおそらく自分ひとりだけだったと思います。もっと、一般客を呼び込める人気のスポーツになってほしいですね。
 
 さて、試合が始まりました。

 年齢のせいか、捕球のミスが目立ちますね。筋力低下や五十肩等が原因で送球は山なり。野手の足は遅く、キビキビした動きは難しい。フライではなくゴロであれば、大体セーフになる。盗塁も走り放題。アウトをポンポンと取ることができない。必ずランナーが出る。試合展開はゆっくりめ。

 学生野球とは違い、500歳野球は幅広い世代の選手が一緒にプレーしていることが特徴の一つですね。

 例えば、50歳の若い方が思い切り送球したとしたら80歳の方はおそらく捕球できません。全力を尽くすことが必ずしも勝利に繋がるわけではない。守備には、仲間を思いやることが必要と思われます。

 中にはやっぱり上手な方もいらっしゃって、50オーバーでショートバウンドで捕球・送球してアウトにするってカッコいいですね。盛り上がります。
 
 攻撃に関しては、年齢による衰えをあまり感じませんね。外野までちゃんと飛ばしてる方が沢山いらっしゃいました。ホームランを打ってる方もいました。守備のように周りへの気遣いが必要なくフルスイングしても問題がないからでしょうか。
 
 観戦していると選手たちの会話が聞こえてきたりします。お昼にどこのラーメン屋に行くかとか、試合後の飲み屋の相談をしています。中学や高校の部活では聞けない会話が流れている雰囲気も好きです。野球よりも試合後の飲みの方が本番なんでしょう。秋田県人の集まりですもんね。
 
 また、会場ではプログラム(1000円)が販売されていました。トーナメント表、式の次第、チームの情報、大会の歴史などが掲載されていました。これを見て、チームの代表者に連絡を取り、みなさん加入しているのでしょうか。当日の秋田魁新報は無料配布されていましたね。さすが秋田魁新報、太っ腹。

 プログラムをぼんやり眺めていると、柳葉敏郎様、あなたのお名前を発見いたしました。他会場に観戦しに行こうと思ったのですが、すでに負けておりました。来年こそは、柳葉様目当てに観戦したいと思います(ギバちゃん頑張って!)。
 
 「打席に立つ」って、カッコいいですね。自分も小・中学校で野球の経験がありますが、三振をしてベンチに戻る時、自分のミスで試合に負けた時、どんな顔をしたらいいかわからず申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 「打席に立つ」とは、リスクも同時に背負うこと。リスクを抱えても野球がしたい、楽しみたい、ヒットを打ちたい、チームに勝利をもたらしたい、ヒーローになりたい、そういうプラスの感情が上回り打席に立っているのだと思います。注目を浴びることによって快感を感じる人もいると思いますが、自分なんかは委縮してしまいます。結果を恐れず、「打席に立つ」人たちはカッコいい。
 
 そもそも、「自分は年だから」と億劫な人たちが多い中、「年齢を言い訳にしない」で野球を楽しんでいる人たちはカッコいいです。自分も早く50歳になりたい。
 
 最後に……秋田県は特に少子高齢化が進んでいることで、暗い未来を案じている人が多いようですが、500歳野球に関しては元気な高齢者が増えていくことでこれから更に盛り上がっていくスポーツだと思います。

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