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冥土のみやげにMinneapolis 1

2017年4月、どうして私はMinneapolis(ミネアポリス)へ行ったのか?


2016年4月21日、Princeが57歳で亡くなってしまいました。

PAISLEY PARK(ペイズリーパーク)の中のエレベーター内で、倒れているところを発見された、とニュースで読みました。

彼は、Purple Rainで世界的な大成功を収めたのち、アメリカ Minnesota(ミネソタ)州のMinneapolis郊外にあるChanhassen(チャンハッセン)という土地に、自宅兼スタジオ兼ライブハウスであるPAISLEY PARKを構えて、そこを拠点にして音楽活動をしていました。

2002年に来日ツアーを行った際、ステージ上でPrinceはしきりに「これが日本に来る最後の機会だよ」的なことを言っていたように思うのですが、実際その通りになってしまっていて、あれっきり日本に来ないなあ、と待っていたのです。

レコード会社との確執を経て、自分の音楽を自分の権利の下でファンに届ける、という当たり前のことが当たり前にいかないシステムの中を、その時代に応じた彼独自のやり方で渡っていきながら、眠る暇も惜しんで次から次へと音楽を録音して生涯で実に40枚以上のアルバムをリリースし、その合間にライブを行い、唯一無二の才能で私たちを震えさせてくれました。

最近日本には来ないけど、年に1度くらいアルバムも出てるし、PAISLEY PARKではちょいちょいライブなんかやってるらしいし、状況が許したらそのうち行こう、と考えていたのです。なのに、「そのうち」も何もなくなってしまいました。もう、コンサートで歌って演奏して踊っているPrinceが見られないんだ、と悲しくなりましたが、生きていたとしても別に知り合いだったわけでもないし、会いたいと望んでも会えるわけではなかったので、なんだか実感が伴いませんでした。

この地球上に彼がもういない、という喪失感が広がっている辺りを見ないようにして、半年くらい涙も流さずにPrinceの曲をかけて口ずさんだりしていましたが、そんなある日、ふと目を覚ました真夜中に、彼が亡くなった後で登録したPAISLEY PARKのメールマガジンから、「Celebration2017へのお誘い」的なメールが届きました。

それによると、一周忌の命日に合わせて、PAISLEY PARKでイベントをしますよ、みなさんどうぞ、いらしてください、という内容でした。Celebrationってなんだか、おめでたいような印象があるけど、そういう言い方で合ってるんだろうか?と疑問に感じつつ、寝ぼけた頭で英文を解読…命日に合わせて、木・金・土・日の4日間、ライブあり、トークイベントあり、見学ツアーあり、の盛りだくさんのお楽しみ!的な概要であろうことはかろうじて分かりました。詳細はのみ込めないまま、気付いたらGeneral Admissionという方のチケットをポチっていました。500ドルくらいだったと思います。ちなみにVIPの方は1,000ドルくらいでした。寝ぼけていても、倍の値段に倍の価値があるかどうか確信が持てなくてGAの方に申し込んだようです。

その申し込み画面に紐づけされて、イベント当日PAISLEY PARKまでのシャトルバスが運行するホテルの予約サイトだとか、そんなのもあったのですが、ぱっとみたところ地理的な位置関係・距離関係がよくわからないし、もうその時点で予約がいっぱいになっているホテルもあったりして、気持ちは焦っても最良の選択ができるとは思えなかったので、とりあえずその晩は一旦眠ることにしました。

翌朝、目を覚まして履歴を見てみました。間違いない。私はCelebration2017に申し込んでいる。GAチケットを1枚。

よく考えたら、Minneapolisがどこにあるのかもよく知らない、Chanhassenってそこからどのくらい離れているのかも全然知らない、そもそもひとりで海外に行くのって超久しぶり、いくら読んでもCelebrationって何やるのかも本当のところよくわからない。

だけど、行ってみよう。こんなに大好きな人が生まれて、ずっと住んでいた場所なんだから。

というわけで、2017年の4月に、わたしは初めてMinneapolisに降り立ちました。

一言で言ってしまうと、わたしはその一回目でMinneapolisがすっかり気に入ってしまいました。

一回目ではわからなかったこと、できなかったこと、行けなかったところ、がありすぎたのと、Princeに少しだけ近づけたような気がしたのが嬉しくて、そのあと結局、私は2018年も2019年も、CelebrationのためにMinneapolisを訪れました。

2020年のCelebrationは開催時期を、Princeの誕生日である6月7日近辺に移して行われる予定だったので、もちろん航空券やホテルなどを予約していました。が、このCovid-19。イベントは秋に延期、と知らせが来ましたが、秋が来ても開催される気配はなく、結局その年は開催が見送られました。

そうこうしているうちに、世の中が意識を取り戻しCelebrationは再開され、2024年も6月末に8周年のイベントが開催されました。日本から見聞している分にはなんだか若干迷走しているように見えなくもない様子ですが、そもそも迷わず進める道なんてなかなかないですし、ね。

次にまた、いつ行けるかは分かりませんが、これまで3回訪問したMinneapolisについて、私の感じたこと、理解したこと、を書いておこうと思いこの文章を書きました。なにせコロナ禍前の少し古い情報ですので、どうかその点お見知り置きを。

Princeが好きなら一度はぜひ。冥土のみやげにMinneapolisへ。

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