定期演奏会を終えて
余韻に浸っていたら一日が終わっていました。
人前で話すのが苦手なので、部員への感謝とねぎらいは部内アンケートに長々と綴りました。集計するのは同期の副部長なのですが。
ここで書くのは、私の超個人的な感想と、邦楽に対してのちっぽけな持論です。
仰々しくはしたくないけど、整理のために目次つけます。
定演の感想
毎年夏休み明けぐらいに曲を決めて練習を開始してましたが、ギリギリ本番に間に合うかどうかでした。
その反省から、今年度は1年生がある程度入った6月頃に曲を確定させ、夏休み明けに中間発表会という目標を設定しました。定演前だけだった外部の先生のご指導も、春夏に基礎練習からお願いしました。
その成果か、どの曲も例年より完成度が高くなりました。
また、現代曲に偏りがちだった構成も見直し、地唄と新曲を組み込みました。箏のみ、三絃のみ、尺八のみの楽曲も盛り込み、ほぼ部員全員(30人程度)による大合奏にも挑戦し、満足感のあるプログラムになったと思います。
まあこんな感じでバタバタ頑張ってきたわけですが。達成感すごい。
いや、今年やった上記のこと、私発案のやつ一個もなく、何ならネガティブ思考の私は、特に大合奏は現実的じゃないなあとか言ってた。けど決まったからにはやらないといけなくて、皆に引っ張られるうちに「いけるんじゃね?」「もっとこうしたほうがいいな」と気がついたらちゃんとそれなりに(笑)仕事してた。本当にみんなにいい思いさせてもらったな。
当日の動きもみんなスムーズで、3年間で一番安心して動けた定演だった。
自分が弾いた曲も大好きな作曲家さんの曲ばかりで、これで一旦引退することに全く名残惜しさがない。技術的に満足いってないことはたくさんあるけど、それは来年定演に出る理由と、今後邦楽を続ける理由にします。
後輩からプレゼントもらったとき、ボロッボロに泣きました。毎年3年生はそんなに泣いてなかったので「片付けて解散するまで気抜けないからなぁ」と思ってたけど、目に涙をいっぱいためた後輩に渡されるとねぇ、無理だよねぇ。同期とも先輩後輩とも写真撮ったんだけど、見返すと私の顔ひどすぎて見てられん。
あと一番の衝撃は、今回プログラムに入れていた曲の作曲家さんが聴きにいらっしゃっていたこと。SNSでよく拡散してくれるなぁ、当日朝の予告ツイートも一番にいいねしてくれた!と思ってたらお見送りのときに名乗られて腰抜かすかと思った。
無事片付けも終え、同期で飲みに行き、後輩を呼んで二次会して、語り尽くして解散しました。最後、部長と別れて一人になった瞬間、やっと「終わったんだ」という実感が来て、また泣きました。
どうなることかと思ったけど、全部うまく終わって満足!
3年間の振り返り&私の邦楽観
小学3年生から箏を始めて12年。高3の時に全国総文に行ったことが学生生活のピークだと思ってたけど全然そんなことはなかった。
大学生になって始めて合奏したのが池上眞吾作曲「迦楼羅」。一パート一人の編成で、箏経験者と入部時に言ったことを大後悔するぐらいの難曲だった。でも、練習するうちに池上ワールドにハマり三曲合奏の魅力に気づき、今では3年間で一番思い出深い曲になった。私以外全員先輩だったけど、皆さんよくしてくれて、メンバー的にも迦楼羅が一番好きだった。
で、そんな経験を通して学んだのが「邦楽も音楽じゃん」てこと。
どんなにズッコケた演奏でも「和楽器詳しくないからわかんないけど上手だったよ!」と言われたときのモヤモヤの正体。「お箏やってるのすごい!」「いいお家なの?」と言われるのと一緒。
もっとこう、ライトに、ギターやピアノやトランペットと同じぐらいの扱いでいいのに、と最近よく思う。和楽器だからと敷居を上げられるのが悲しい。楽器が違うだけで、音楽としての良し悪しは同じなのにな、と。
このモヤモヤや悲しみは高校のときから気づいていたんだけど、それを邦楽やる側も(少なくともうちのサークル内では)内面化してしまっているな、と思った。
大学にもなると、高校までで箏曲部だったり習ってたりで、箏の経験がある人が一定数いる。高校までの部活みたいに常に教えてくれる顧問がついていないから、頼もしい存在。私もそっち側なんだけど。でも、箏曲部で上がるのは箏の演奏技術と箏だけで合奏する力。三曲合奏は箏曲とは別物なんだけど、つい箏曲の経験者が合奏も仕切りがちになる。でも多くの楽器・パートの合奏に関しては、吹奏楽出身者のほうが経験してるし、音楽経験のない人の純粋な感覚も重要。
今回の練習期間で実際に後輩たちの間で起こっていたのが、経験者が2人いる箏パートだけで曲の強弱を決め、それを他のパートに共有・確認せずに弾いていたという問題。当然、合奏したときに解釈が合わず、言い合いになってしまったらしい。
これ、難しいのが、自分の楽器の技術が上がれば上がるほど、音源を聞いたときに自分のパートがよく聞こえるようになってしまうのよ。その曲を初めて聴くお客さん視点になれなくなっていく。だから、音源を聴くときは敢えて楽譜を見ないこと、合奏練習での発言権はみんなにあるということをギリギリだけど伝えました。
そんなこんなで、邦楽に関する経験値もこの1年でぐっと上がったなと思います。津軽三味線の社中と合奏したり、ママさんの管楽器サークルとコラボしたこともいい学びでした。
話がごっちゃになったけど、私の邦楽観のキーワードは「和楽器もただの楽器」。
和楽器バンドとかLEOさんとかが好きなのもあるけど、楽曲に参加する一構成員として和楽器を扱うことが、これからの邦楽の存続には必要だと思います。もちろん、そんな自由が叶うのは伝統を守り続けている歳上の先輩たちの努力あってこそ。
なんだか主語と規模が大きくなりましたが、私はこういうスタンスでやってきた、ということです。
なんかまだ御大層だな。
邦楽こどもアンサンブル、中高箏曲部、大学邦楽部と、この12年でたくさんの仲間に出会いました。この思い出は一生モンです。
来年度はたぶん定演しか出ないけど、一生に一回あるかないかの袴での舞台(うちの伝統)なので、就活終わったらまた精進せねば!
締まらないけど、永遠の憧れと尊敬の対象である和楽器バンドの活休と同時期に引退できて感慨深い、と書き置きして終わりにします。