残り物には懺悔がある #毎週ショートショートnote
「来たよ〜早く荷造りしちゃおう!」
付き合って5年のナミが来た。この度婚約した。
結婚したら新居に引っ越すために、一足先に僕の部屋の荷物を引越し先に持っていくことにしたのだ。
荷造りは順調だった。
しかし、ナミが大声をあげるので、そちらを見ると全て片付けたはずのたんすの奥からブツが出てきた。
「これ、何?」
昔ナミが使っていた名前入りの箱だった。
「ここ!namiの後ろに“e”って付け加えられてる!“ナミエ”って、誰よ!」
“e”の落書きはどちらかというと、よく女の子が書く伸ばし棒に見える。
しかし、ナミは女の勘でこれを“ナミエ”と読み取ったようだ。
僕の頭の中は3年前に巻き戻った。
ナミとの関係にマンネリを感じていた僕は、たまたま居酒屋で“ナミエ”に出会った。
こっちのこともナミって呼んでいれば、浮気ってバレないだろう。魔が差した。
彼女との関係は1回きりだった。部屋にこの箱を置いていたのか。彼女も魔が差したのかもしれない。
僕は思わず「あっ…」と声が漏れてしまった。
あーーあ!
この2人はどうなっちゃうのでしょうかね。
まぁ、懺悔したことでしょう。
“僕”には気の毒ですが、書いていて楽しかったです。
そして私がこんなことを思いついたのにゾゾッともしました。