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Photo by
kyokokomatsu
夜からの手紙 #毎週ショートショートnote
郵便局員Aはご立腹だった。
今月から郵便代が上がった代わりとか言って、“バースデーサービス”なんてのを始めるなんて。
カッコつけちゃってさ!
何でもメールやSNSでメッセージを送れる時代。
だからこそ手紙で素敵な思い出を残しませんか?
誕生日0時ピッタリに手紙が届く体験をあの人に…
この郵便局で記念すべき第1回にAが残業をすることになった。0時ピッタリに届けさえすれば、一度帰宅も局内での晩ごはんもテレビ視聴もゲームも許されるらしいけど…。
解せぬ。。
Aは心の底から不満だった。
0時ピッタリに呼び鈴を鳴らす。
不審者と思われないかな。
扉の向こうにはちょっと強面な男性。
手紙を渡すとフニャとした笑顔になった。
どうやら単身赴任中で、奥さんと子どもからの誕生日メッセージだったようだ。
「お宅の職場から頼まれて、今日手紙を届ける人に渡してって。すぐ開けてって。」
男性はにっこりとしながら、Aにその手紙を渡した。
HAPPY BIRTHDAY
早く戻っておいで、パーティーだよ!
今月から郵便代が上がることと、今月私の誕生日ということで、こんな感じのショートショートになりました。郵便局員Aが解せぬ理由はこれでしたか。
いろんなサービスがあって便利ですが、その裏には誰かががんばっていることを忘れてはいけないですね。