トイレのことしか考えられないようになる
とても暑い日。
9月だというのに、影を選んで地下を歩いているというのに、じっとりへばりつく汗。
そうなるとあのかき氷が食べたくなった。
ちょうど近くまで来た(というか、敢えて予定に組み込んだ)ので、15時のおやつに食べた。
欲張った私はフルサイズを注文した。
大きさにビックリしたものの、やっぱりおいしくてパクパク食べた。
帰りの車に乗る前にお手洗いを済ませ、高速に乗った。
しかし、かき氷は水分を多く含んでいて…。
高速乗ってしばらくすると、またトイレに行きたくなった。
「えー!あのサービスエリアまでないよ!」
本当にあそこまでないのか?
わかっているのに、カーナビを操作してこの先のサービスエリアを検索した。やはりあそこしかないか。
左下に“現在地から6km”の文字。
私は計算をし始めた。
「今時速100kmで走っている。現在地から6kmってあるけど直線距離だし、カーブ等でスピードが落ちることも考える。
すると…6kmを時速60kmで走ったと考えて、1/10時間、つまり6/60時間、あと6分だ!
時計を見ると16時50分を過ぎたところ、17時には着くはず!!」
運転手の母はボソボソ言う私の横で笑っている。
カーナビの各インターチェンジ、サービスエリアの到着予定時刻が表示された。
目的地のサービスエリアは17時00分だった。
「よっしゃ計算合ってた!」
合っていて嬉しかったのもつかの間。
頭の中はトイレのことしか考えられなくなっていた。
サービスエリアが見えてきた瞬間少し落ちるスピード。前を見ると車がたくさん見えた。
「あれ?渋滞かな?」と面白おかしくからかう母の隣で焦る私。
「ダメよ!!私のゴールは17時なの!計算に間違いはないんだから!もしあのそばで止まっちゃったら、車から降りて走るからね!」と謎発言が出た。
※絶対にやめてください。
しかし車は1度も止まらず、無事サービスエリアに到着した。予定通り17時だった。
私の勝ち〜と頭の中でつぶやきながら、トイレへ走った。
再度車に乗ると、母は「めちゃくちゃおもしろかった〜。気を紛らわしたらいいのに、トイレに向き合っていたんだもん〜。」と爆笑していた。
えへへ、と私もニコニコしていた。
その後また恐怖に襲われるとも知らないで…。