トイレの鏡
今の家に引っ越したのは、私が小学1年生の時。
その前は母の実家に3年弱住んでいたが、
同じ学区内だったので転校はなかった。
その為、今の家が何もなかった時から
完成までの過程を知っている。
よく親に連れて行かれて途中経過を見ていた。
その日はトイレの鏡を設置する話を聞いていた。
父と工事の人が話している。
私はその話を顔を少し見上げて聞いていた。
「鏡の位置はどうしましょうか?」
そう言いながら鏡を上下させる工事の人。
父は「そのあたりで!」と答えた。
私の当時の身長では顔の半分ぐらいしか確認できない高さだ。
特に文句も言うことなく見守っていたつもりだったが、父も工事の人も私を見た。
「見えないじゃん」と言っているように見えたのか。
「すぐ大きくなるよ!」と工事の人に言われた。
すぐって何年?単位が“年”の時点ですぐじゃないような……。なんて思っていた。
その“すぐ”は案外すぐに訪れた。
確か小学4年生くらいになった頃にはほぼ不自由なく見れていたような気がする。
6年生で今の身長とほぼ変わらなくなった。
(小学校卒業して3cmほどしか伸びていない)
カベや柱に身長比べの印をつけるなんてことをしなかった私にとってはトイレの鏡が自分の身長が伸びたか伸びてないかの指標になった。
それも工事の人のひとことがなかったら、
何も意識せずに日々を過ごしていただろう。
トイレの鏡1つにとってでも、その背景には
どこにつける?と考えている人がいて、
鏡で顔を確認できなかったけど、
身長が伸びて確認できるようになったなんていう
ドラマがあったりするんだなと思う今日この頃。
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