少年とアイスと新500円玉、そしておじいちゃん。
約2週間ぶりのお仕事。
後輩と私が休んでいた分の引き継ぎをしていると、
『すみません』と声が聞こえた。
「はーい!」と答えると、そこにいたのは小学生ぐらいの少年だった。
迷子って感じじゃないな。
少年はちょっと緊張した声で、
『あの、アイスの機械が壊れてるんですけど』
と言った。
私が「アイス買えやんの?」と聞くと、こくりと頷く。
アイスの機械とは、セブンティーンアイス。
ちょうどお店から見えるところに設置されていた。
私は自販機に電話番号があるかもと確認しに行くと、“販売中”の文字が。
「……?ちゃんと買えそうやで?」
後輩がさらに話を聞くと、少年が持っていたのが 新500円玉だった。
最近見かけるようになった新500円玉も機械によっては使えない。
「じゃあ、お店の500円玉と交換しよう。そうすれば、アイス買えるよ。」
少年は私に新500円玉を渡した。
後輩がレジから500円玉を持って来て、少年に手渡す。
少年のおじいちゃんがやって来た。
「あれ?アイス買うん違ったん?」
『おじいちゃんの500円玉だと使えなかったの!』
どうやらおじいちゃんから500円玉をもらったらしい。
おじいちゃんは状況がわかり、私たち店員に「あぁ、すみません」と声をかけた。
少年は500円玉をセブンティーンアイスに入れた。
『あっ!買える!!』と喜んでいた。
よかったよかった。
私と後輩は持ち場に戻った。
しかし、これで終わりではなかった。
アイスを買い終わった少年が、私と後輩に向けて、
『ありがとうございました!』と、はっきりとした口調であいさつして帰ったのだ。
「いえいえ!」と答えたすぐ後、おじいちゃんの所へ駆け寄り、おじいちゃんにも『ありがとう!』と言っていた。
あの感じから、おじいちゃんに「『ありがとう』って店員さんに言いなさい。」と言われたわけではなかったように思う。
私と後輩は思わず「いい子!」と口を揃えて発言していた。
人によっては照れくさくて、店員さんだけ・おじいちゃんにだけ・どちらにも言わない子もいるはず。
思ったことを素直に口に出せる子は素敵だなと感心したミンチョンだった。