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まだまだ子育てが大変な時に大学生になろうと思ったワケ。

プロフィールにもある通り、私はアラフォー(正確に言うと今年38歳)、小学生2人の母である。つい最近まで専業主婦だった。
娘は面倒くさい思春期の入り口、ビビリで人見知りの息子はまだまだ手が掛かる。そんな時なのに私は通信制大学の福祉心理学科に出願し、4月から晴れて女子大生(アラフォー)になる。

子育てでの気付き。

我が家の2人の子どもたち、乳児期~就学期までの子育ては本当に苦行だった。

上の子は不思議ちゃん。
生まれついた瞬間から不機嫌でとにかく寝ない。哺乳瓶もおしゃぶりも大嫌い、母乳しか飲まないので離乳食が安定するまで誰にも預けることができなかった。乳児あるあるの「背中スイッチ」も高性能で、私は座ったまま娘を縦抱っこし、ソファに寄りかかって寝る日々。夜泣きもとんでもなくて小2まで続いた(夜驚症疑いでしばらく小児科に相談した)。

だいぶ手が掛からなくなってきたな……と思えば、「持ち前の繊細さを盾に自分の要求を通そうとする」という頭脳戦をするようになり、家庭内でのあだ名が「繊細ヤクザ」だった時期もある。

実は「この子は何かしらの障害があるのでは……?」と疑っていたこともあった。高学年になった今、頭の中こそお花畑だが思いやりと正義感にあふれ、面談では「それ誰の話ですか?」という素敵エピソードを聞かされることもあるので、まあそれなりにちゃんと育っているのだろう。私が苦労したのは「ただ単に性格の相性が悪いだけだな」と感じている。

下の子は超絶マイペース。
上の子に手がかかりすぎたため、乳児期はほぼ放置になってしまい、「やりたいことは1人で勝手にやる」というマイペースさを手に入れた。食べたければ食べ、寝たければ寝る。あまり手が掛からなかったが、上の子に比べるとだいぶ適当に育ててしまったことを今でもかなり反省している。

マイペース故にやりたくないことは絶対にやらないし、一度こうと決めたらテコでも動かない。さらに人見知りかつビビりなので、幼稚園に入園後しばらくは泣き叫びながら通園バスで連行されていた。誰かと遊ぶよりは一人遊びが好きで、「ソロ活動」という不名誉なあだ名がついたこともあった。自己主張は苦手で、自分の気持ちを伝える場面や、別に怒られていない場面でも泣き出してしまうことがあるのが不安要素である。

上の子ほど手は掛からないが、こちらはこちらで非常に気難しい。だが、やはり面談では「それ誰の話ですか?」以下略……のため、まあそれなりに以下略である。

こんな2人の子どもたちが今日まですくすくと育っているのは、ひとえに実母と義母の協力、夫の最大限の努力があったからだ。私1人では絶対に無理だっただろう。
今でこそ笑い話だが、本当にしんどかったある日、区役所の母子健康課に相談に行ったら絶望するような返答がきて、「よしこのまま区役所に捨てて帰ろう」とすら思ったことがある。

それでも子どもは可愛い。今日も私の「世界可愛いランキング」の1位と2位を争っている。自分で産んでみるまで私は子どもが苦手だったし、子育てには向いていないと思っていた。それでも旧知の人から「性格が丸くなった」「いいお母さんしてる」と言われると、あれ、私意外と子どもが好きなのかも……?子育てって楽しいのかも……?と感じるようになっていた。

空の巣症候群予備群。

さて、長々と子育ての苦労について語ってしまったが、本題はここからである。
子どもへの苦手意識&生来の「こうあるべき」気質から、全力投球で子育てをしてきた(つもり)だが、ある日ふと気づく。

私、10年後どうするの?

奮闘していた乳幼児期、私は「自分の残りの人生は消化試合」だと思っていた。20代で目標の職業に就くことができず挫折を味わったため、大したキャリアもないまま専業主婦になってしまった。だから、子どもがまっとうに育てばそれでいい、あとは趣味やパートを充実させて、楽しく穏やかに過ごせればそれでいいと考えていた。

ところが、上の子が高学年になると「子育ての終わり」がリアルに近づいてきていることに気づいたのだ。成人年齢が18歳になり、あと10年もすれば子育ては終わる。「手の掛からなさ」だけでいえば、あとほんの数年。子育てが終わった後の自分の人生、65歳まで働くとしても残りの20年近く、私はどうするのだろう?

働き始めた飲食店でのパートは楽しいけれど、10年も20年も続けられる気はしない。だって、「子どもの都合に合わせられる就業形態」で選んだから。子育て中心の生活に慣れきってしまったため、「自分がやりたいこと」よりも「今やれること」を選ぶのが当たり前になってしまっている日々に、ちょっと危機感をおぼえた。これは子どもが巣立った後、「空の巣症候群」というやつになってしまうのではないだろうか……?

残りの人生で何をしたいか。

私は大いに焦った。
自己主張の塊だと思っていた自分が、残りの人生でやりたいことが思いつかない。

そこで話は冒頭の「子育てでの気づき」に戻る。
子育てって意外と楽しいし、自分で思っていたより子どもが好きかも。
この気持ちがあるのなら、「自分の子育てが終わったら、他人の子育てを手伝ってみるもの良いのでは?」と考えたのだ。
幸い私は周囲の助けがあって穏便に子育てができたが、いわゆる「ワンオペ育児」でもっと大変な思いをしている人もいるだろう。私のように区役所の母子健康課で絶望した人だっているはずだ。私なんぞの働きで大したことができるとは思わないが、子育て経験者だからこそできることもあるかもしれない。

そこで、興味あのる児童福祉分野(学童保育や放課後デイサービス、児童福祉施設など)の求人を探した。採用条件の【資格・経験】には、「保育士・幼稚園教諭・教員免許・社会福祉士・精神保健衛生士等の資格所持」「4年生大学(福祉学・心理学・教育学等)卒業」「福祉施設等で〇年以上の実務経験」の文字が並ぶ。

そりゃそうだわ……。
私だって子どもを預けるなら素人よりプロに預けたい。
だったら、まずは無資格・未経験可の福祉施設で働いてみるか?とも考えたが、現在の家庭状況と両立できそうな求人を見つけることはできなかった。早速のつまづきである。

大卒が求められるなら大学に入ればいいのでは?

はい。見出しの通りです。
何もしないで現状を嘆いているのは私の性に合わない。
今すぐ福祉の世界に飛び込むのは難しいけれど、パートと子育ての合間を縫って勉強することはできるはず。全日制の大学に通うのは難しくても、世間には「通信制大学」というものがある。私はさっそく放送大学と自宅近くの福祉大学の資料を取り寄せた。

費用面や家庭との両立、さらに言うなら「大学を卒業したところで就職につながるとは限らない」という問題もある。私は被害妄想が強いタイプなので、「小学生の子どもがいるのに、いまさら大学なんて……」と周りから後ろ指をさされるのでは?という不安もあった。

それでも、久しぶりに「やりたい」と思った。夫は「やるだけやってみたらいいじゃん」と楽観的だし、上の子に至っては「マジで?お母さん大学生になるの?」と大いに面白がっている。
残りの人生を消化試合と考えていた頃だって、「楽しく穏やか」に暮らしたいと思っていた。やりたいことをやる、通信制大学で勉強することは「楽しく穏やか」な暮らしであることには違いない。

正直なところ、きっちり4年で卒業できる自信はない。卒業できたところで20代のころのようにまた挫折するかもしれない。でも、やりたいことをやるのは決して無駄なことではないだろう。今までの人生を振り返ってみても、無駄だったことなんて何ひとつなかった(そうでなければ、子どもが苦手で人間不信の私が2児の母になっているなんて奇跡は起こらない)。

だから、10年後に夢を叶えていることを願って、やれるだけやってみようと思う。

そんな決意を胸に、私は4月から女子大生(アラフォー)になるのである。


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