旅先で「資本が無くても工夫でなんとかなる」と思えた話。
九州旅初日は、小倉の旦過市場エリアに泊まることにした。
製鉄所や炭鉱があり、かつて労働の街といわれた北九州。
旦過市場はその時の空気感を残している。
少し前の私(昭和遺産大好きおばさん)ならば嬉々として買い食いしたり風景写真を撮ったり1日に何度も通っただろう。
しかし、コロナ禍を経た今自分の衛生観念が変わったと気づいてしまった。
コロナ禍は日本人だけじゃなく世界中の人が体験した出来事で、私のように知らぬ間に価値観が変わったひとはかなり多いだろう。
泊まったゲストハウスは利用者より管理者がだらしないパターンでかなり厳しかった。
弊事務所と同じ施設内にあるゲストハウスとりいくぐるはここより施設は古いけど何倍も清潔で流れる空気が清らかだ。
宿泊施設はインバウンドでしばらくは潤うかもしれないが、結局はこういう基本的なところで差が生まれるのだと思った。
逆にいえば、設備投資よりも掃除や保守点検をこまめにすることで新しくオシャレなゲストハウスに勝つ隙間があるということだ。
2日目は雲仙・小浜温泉。
泊まった蒸気家という温泉宿では温泉の蒸気(105度!)で地場の魚や野菜を蒸して食べることが出来る。
魚は鮮魚店、野菜は直売所から調達。
広くてキレイな室内のキッチンで調理をして蒸籠に入れ、シンプルな味付けで食べる。
文字で書くと極めてシンプルなオペレーションなんだけどとても考えられていて心地よい。
地の利に頼りすぎず、しっかり頭(マーケティング)や身体(掃除)を使っている印象。
客室は至って普通の和室で布団の上げ下げもセルフサービス。
なんだけど、キッチンや蒸し場などの力を入れている部分とのメリハリは
嫌じゃなかった。
泊まりやすい価格を維持できてるポイントだと思う。
蒸気家と連携していると思われるオーガニック直売所タネトでは
じゃがいもを3種類買った。
半分は蒸して食べて、残りは家庭菜園用の種芋にする。
念願の場所ではあったが、イベントもなく端境期なのも相まって自分でも拍子抜けするぐらい感想が出てこない。
多分タネトの背景をしっかり頭に入れてないのが原因だが、思ったよりスピってなかったから肩透かしだったのかもしれない。インスタ越しに感じた熱量は、場に立ってみても何も感じない。
下の写真は宿の近くにある刈水庵というところ。
3年前に若くして亡くなったプロダクトデザイナーが
イタリアから地元に帰り、立ち上げた場だそう。
今は彼のアシスタントだった方がご夫婦で店を引き継いでおられる。
この話は、気になった什器がありスタッフさんに声を掛けた時にポロッと聞かされたもので、知ってるのと知らないのでは場所の印象が大きく変わるものだった。
アナログコミュニケーションの偶然性や身体性というのは、今後の自分にとってとても重要なキーワードになる気がしている。
しかしながら今回みたいに、会話してなかったら得られなかった情報が大きすぎると受け手の機会損失も大きい。
せめて小さなパネルにしてレジ横に掲げるとか、インスタのトップページ、googleマップの紹介欄に載せたり…自分ももっとなんか出来る気がしてきた。
情報との出会いをさりげなく演出し、確実に出会ってもらう工夫することはとても大事だと思った。
ちなみにこの刈水庵、京都で最近多い外側だけ残して中はバキバキ魔改造してる店舗ではなく、最低限の修繕で素朴な雲仙の町並みに溶け込むように佇んでいた。
お金をかけるとこ掛けないとこのメリハリをつけたり、掛けるお金が本当にない場合はひたすら清潔を保つというだけでも印象がかなり変わるということがわかった。
この冬、2年ほど借りていながらレンタルスペースにして茶を濁している場をちゃんと作り込もうと思っている。
普段の旅は、ぼーっと思考停止して消費してただけだったが、今回は意図的に視点を変えることでたくさんのアイディアをもらうことが出来た。
好評につき、続編書きました。
岩崎のおしらせ
✓風景をつくっていく野良着SAGYOという野良着のブランドやってます。
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