ここは、ふるさと。
東日本大震災から5年がたったころ、地域の人と人を繋ぐコミュニティを作りたいと思うようになっていた。具体的な方向性もないまま時間が過ぎていたが、ある日現在の会社の社長にワインを一緒に造らないか?と誘われ、悩んだ末に16年間務めた会社を辞めて現在の道に進むことにした。
ここからは現在の話。
ワイナリーがあるのは広島県福山市最北端に位置する山野町。春は山桜、夏は小田川で川遊び、秋は山々の紅葉が美しく四季折々の風景が楽しめる自然豊かな里山だ。しかし、市内で最も高齢化が進んでいる地域であり、高齢者(65歳以上)人口が50%を超えていて、静かな町となっている。僕たちの会社は、もともと医療関係の会社であったことから、農と食を通じて地域の【高齢化と人口減少】という課題を解決していきたいという思いから「ここはふるさと」プロジェクトをスタートさせた。
「ふるさと」と言っても人それぞれ思いや形は違う。僕にとってのふるさとは小学生時代をすごした尾道市の山の中。毎日、友達と山を走って虫を捕まえたり、公園で野球をした。あるとき、公園で遊んでいて友達に怪我をさせてしまったことがある。申し訳ない気持ちでいっぱいだったが友達は笑顔で許してくれた。
ふるさととは大人になった今でもかけがえの無いものとなっている。誰にとっても思い出の場所、出会いがあると思う。
そこで僕たちのワイナリーは、これからの「ふるさと」になりたいと考えた。山野町を無理に活性化させるのではなく、訪れた人が誰しも懐かしくなりまた来たくなる場所に成りたい。それらを繋ぐ役割をワインが担うことが出来たら、訪れる方々の日常と山野で過ごす日常を繋ぐことが出来るのではないかと思った。
ワイン造りに「テロワール」という言葉がある。気候・風土、と言う意味だ。でも僕はもう一つ「人」という言葉を入れたい。植物は土や天候の条件だけでなく、人が様々な工夫をすることで美味しい実りを付ける。
一緒にワインを造りませんか?
次回へつづく
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