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痴漢とDV

経験上、痴漢というのは「バレないように」してくることが多い。それは周囲にももちろんだけど、された被害者にもわからないように。

だから知らない間にスカートを切られたとか、液体をかけられたというような被害も多い。痴漢は性欲ではなく、支配欲がなせる技という分析もある。

「征服欲、支配欲」は、相手の困惑で満たされるのではなく、妄想で構わないのだろう。

背中や脇にへばりついてきて離れないのが、混雑のせいなのか、わざとなのかわからない。そういうこともある。

というかそのたぐいが一番多い。腰にゴリゴリと何かを押し付けてくるくせに、身体をひねって見上げると寝たふりをしている。大体ギラギラ笑ったりしているやつはいない。

手の甲をスリスリすり寄せてくるのも多い。少し気が大きくなると、甲じゃなくて指の腹側を当ててくる。それもそぉぉっとであくまでも偶然のふりをする。

多分満員電車で痴漢するようなやつは気が小さい卑怯者なんだろうと思う。

実は先日目の前の席に娘達が座っているところを、偶然のふりして触ろうとしている男を目撃してしまった。ジリジリ近づくのを察知して、わたしが娘達を呼び寄せたので、未遂で済んだが、空いてても混んでても関係ないやつもいるのかと驚いた。

夫も一緒にいたのだけれど、鼻息の荒い男が娘達のそばに座っても全く警戒していなかったのだという。

夫は背も高く身体も大きいし、黙っていると怖い感じなので、電車で誰かに絡まれることすらあまりないんだろう。女性の耳元に息が掛かる高さでもないので、あまり疑われることもないんだろう。

電車の中で何気なく撮った写真を見たら、夫は吊革の輪を見下ろす日常なのである。わたしなら高所恐怖症でわなわなしちゃう高さだ。

見える世界が物理的に違うのだろうが、それ以外にもやはり男と女は見えている世界が違うんだなと思う。

夫も含めて、この「女性と男性は見えている世界が違う」問題は、結構根深いだろうと思う。

見える世界が違う人に、女性が生きてきた中で男性から受ける「暴力」の質が、声の大きさや、物理的に殴る蹴るの強さに必ずしも関係しない、もっとジリジリと浸食してくる恐怖感を持っているんだと説明しても、きっとわからないのだろう。

外ではものすごく人当たりが良かったり、気弱そうにしていても、身内には鋭い牙をちらつかせて来る家庭内や職場内、デートDVなんていくらでもある。

その恐怖感というのは、なかなかわかってもらえるものではないのだろう。

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峰里えり
自分の経験をもとに思いのまま書いていきたいと思います。 現在「人工股関節全置換手術を受けました」(無料)と 「ハーフムーン」(詩集・有料・全51編1000円)を書いています。リハビリ中につき体調がすぐれないときは無理しないでいこうと思います。