社会教育の固有性と実践
(1)生涯学習と社会教育の違いは何か
整理して明確に定義しているのが教育基本法である。
生涯学習の理念というタイトルの教育基本法第3条では、まさに理念を掲げている。この条文がおかれている教育基本法の第1章の各規定は、「理念規定」と呼ばれている。社会教育は、その第12条において、「社会教育とは実際に何をする教育なのか」ということが書かれている。この条文がおかれている第2章の各規定は、「実施規定」と呼ばれている。こうした教育基本法上の位置づけの違いは、社会教育と生涯教育との概念の違いから導かれるものであり、生涯学習は「理念」、社会教育は「実際に営まれる営み」ということになる。これが教育制度における両者の違いである。
★生涯学習は、「個人は社会とどのように関わるべきか」という問いの下に「学び」のあり方を構想しているのに対し、社会教育は、「社会を創っていくうえで個人はそこにどのように関わるべきか」という問いの下に「学び」のあり方を構想しているのである。
★社会教育関係職員など社会教育を推進する(促進する)側の論理が見えてくる。すなわち、社会教育関係職員の専門性を支える基本的な論理とは「人々に働きかける」ことなのである
(2)学校教育と社会教育の違いは何か
★学校教育と社会教育の違いは表からかなり明らか。社会教育の方が自由度が高く面白そう。
(3)成人の学習者の4つの特徴について説明しなさい
成人学習の4つの特徴はP73の表に明らか
(4)地域における社会教育実践の意義は何か、成育空間の変遷に基づき、説明しなさい
地域の共同体が子どもの人間形成をサポートするという活動が当然のことのように行われていた「農耕型社会」
地域の共同体が崩れていき、学校という目的的な組織が、子どもの教育を担う機関として大きな役割を果たすようになった「工業型社会」
地域社会がベッドタウン化して「地域の教育力」は失われ、学校の「子どもの自由な成育空間」という機能も限界づけられ、子どもは、巨大な「消費型社会」の流れの中に浮遊する存在となってしまったのである。
子どもを成長させるうえで社会教育が提供すべき教育機能は「リアルな体験をさせること」である。地域が衰退していく中で、社会教育の存在は大きい。
<参考文献>
笹井宏益・中村香『生涯学習のイノベーション』玉川大学出版部,2013