生涯学習の改革論的視点

(1)ラングラン、フォール、ジェルピの生涯教育論の特徴は何か
ラングランは、学校教育の延長として生涯教育を説いているのではなく、学校教育をも包含した教育改革論として生涯教育を説いているとともに、、教育に基づく社会改革も意図している
フォールは、身体的・知的・情緒的・倫理的統合による「完全な人間」の形成が、教育の基本的目標と捉えている。一方で、人間は本質的に不完全なので、生きるということは完全な人間を志向する学習プロセスであることや、全ての人が生涯にわたり学び続けることができる「学習社会」が目指されることが示されている。
ジェルビは、生涯教育には人々を生涯にわたり抑圧する可能性と、抑圧から解放される力を培う可能性の両面があると捉えており、「各人に自己の位置の批判的な意識化」をもたらすことに基づく社会改革を説いている。

(2)学習の4本柱とは何か
4本柱とは、Learning to know(知ることを学ぶ)、Learning to do(為すことを学ぶ)、Learning to live together(共に生きることを学ぶ)、Learning to be(人間として生きることを学ぶ)の4つであり、「包括的な教育の在り方を考えることが肝要」であると説かれている。

(3)生涯教育と生涯学習の違いは何か
生涯教育は、学校教育や職業教育なども含めた教育構造全体の改革論である。ユネスコが説く生涯教育論は、様々な社会的文脈を踏まえた教育改革論、教育に基づく社会改革と言う価値を前面に打ち出したものである。
学習と社会は相互関係にあるため、主体的な自己決定型学習の重要性とともに学習のあり方が注目されるようになった。
生涯学習とは社会が提供するすべての機会を有効に利用すべきものである。生涯にわたる学習機会の拡がりという垂直的次元と水平的次元での学習の捉え方や教育の役割、また学習社会への転換について提言している。
学習観・教育制度・社会のあり方のイノベーションを図っている。

<参考文献>
笹井宏益・中村香『生涯学習のイノベーション』玉川大学出版部,2013

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