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レガシーに参戦してみてわかったこと

今年の目標にも上げていたが、今年は自分がプレイしているTCG、Magic the gatheringにおいて、レガシーというフォーマットに参戦した。デッキ自体は2月ぐらいにおおよそできていたが、仕事が過酷だったり、新たな職場に慣れるなどの予備動作などがあり、参戦は5月中旬になってからだった。

最初に参加したのは晴れる屋渋谷店の火曜日推奨レガシー。これは通常の大会と異なり2勝以上で1000pt、3-0すると2000pt&プロモパックまで貰えてしまうというお得なイベント。レガシーは大会を選ばないと人が集まりにくいところがあるが、渋谷店は夜7時半からと開始が遅く、社会人にも優しい設定になっているため常に卓は立っている。

この記事の本筋からは逸れるが、LINEスタンプによる来店特典があり、クイズに正解すると割引券が貰えるなど本当にお得な制度が多くあり、そのおかげか色んなイベントで定期的に人が集まっている。

さて、レガシーにおいて何を組むか、といったところだが、折角エターナルフォーマットなので昔からあるデッキを組んでみたい、ただ複雑すぎるコンボや技術が必要とされるドゥームズデイやデルバーは避けたい、またパーツが高すぎるANTや茶単などは無理、手持ちのパーツなどと相談した結果セファリッドブレックファストを組むことにした。まだ安定して勝ててはいないが即死をちらつかせながらフェアデッキのように立ち回ることもできる良いデッキだと思う。

最近界隈を騒がしているナドゥの存在感が強いがあくまでも主役はセファリッド、いいね?

さて、本記事ではまだまだ3ヶ月程度という初心者の立場から、レガシーのイメージと実際に参戦してみてどうだったかを今の環境とともに語ろうと思う。レガシーに参戦してみたいんだけどどうなの?という人の助けになれば幸いである。語るにあたりよく言われているイメージと実際にどうなのかということの対比で解説したい。



イメージ①:即死コンボの飛び交う遊〇王みたいな環境

※変なローグが変なワンキルをぶっぱしてくるとレガシー感ありそう

実際に1~2、3キルを狙うデッキも幾つかあることからいかに即死コンボを決めるか、という現代遊戯王や末期プレメモのような環境を想像するかもしれないが、これは誤りである。
どういうことなのか、まずはこちらのメタゲーム一覧をご覧いただきたい。

これは国内最大手ショップの一つ晴れる屋のレガシーの入賞一覧だが、即死コンボでゲームを決めるものだけでなく、ミッドレンジやコントロール、撹乱アグロやテンポ、ロックデッキなど多種多様である。近年のクリーチャーカードの質の向上を背景に、それらを軸に据えたクロック・パーミッション、テンポデッキが強い傾向にある。

確かに即死コンボを搭載しているデッキ(ANTやドゥームズデイ、セファリッドブレックファスト、スパイ)なども様々なものがあるが、本当にワンキルされるのは稀でそういうコンボを使っていても4,5ターンかかることもよくある。
レガシーを代表するカードの一つ意志の力を筆頭に、様々な妨害手段が用意されているため、初見殺し狙いでもそんなに決まるものではないし、コンボを決めようとしたら不毛の大地や血染めの月による土地嵌め、虚空の盃によるロック、または悲嘆などのハンデスでコンボパーツを落とされて立て直し、など様々な障害がある。

煽り力の高いFT

カードプールが広大である、ということは攻めだけでなく守りの手段も豊富だということだ。また、特定のデッキに効く強烈な対策カードもふんだんに用意されているため、一つのデッキが支配的になることも少ない(時期によって例外はあるが)。この辺の多様さはスタンやパイオニアにはあまり見られないと考えている。

そのため、オールインワンなコンボデッキだけでなくサブの勝ち手段を用意しているコンボデッキも多数存在する。セファブレもその一つで、デッキを全部墓地に落としてタッサで〆だけでなくナドゥや石鍛冶の神秘家からのカルドラなどビートプランも搭載している。

コントロールミラーによる長期戦も発生するし、細かいアドの積み重ねで最終的に勝利といった展開もある。

ただ、カードパワーが激高なため、1枚で状況がひっくり返る、または1ミスで即死、といったことも頻発するのでそこは要注意だ。
筆者が体験した例で言うと、フェッチで何となくデュアラン持ってきてコンボパーツの1つをポン置きしたら返しで水蓮の花びら、古えの墳墓で血染めの月を置かれて、ハンドに妨害がなく色マナが出なくて死んだことがある。

最近はエルドラージの土地をしばいている

また、実はフェアに偽装したコンボデッキで油断したところを即死コンボで〆られることも本当によくある。カードプールが広い、ということはスタンやパイオニア等のようにこのカードがでてきたらこれ、とデッキを特定しにくいということでもある。実際にANTは色んなデッキに擬態するらしい?

※マジで晴れトーク神企画なんでもっとやれ

過去には本当に理不尽なカードが大暴れした時期もあったがそこは制限改定で調整が図られている(本当か??)。少なくとも統〇者委員会みたいに仕事しねえ~~~~みたいなことはないので、環境は適度に修正され、秩序は(一応)保たれている(と思う)。

イメージ②:一つのデッキを使い続ける職人が多い

※カードゲームうさぎの更新は生きがい。カードゲームうさぎって何?という方は以下のリンクをみてね。

レガシーというフォーマットはMTGをある程度プレイした人が多く、年齢層も高めである。またデュアランなどカードが高額でメタゲームに合わせてデッキを複数持ち歩くのはハードルが高い。そういうことから、一つのデッキをずっと愛用している人、この人といえばこれ、というタイプの人が非常に多い、という印象があるかもしれない(例:カードゲームうさぎにおける鷲崎や野良など)。

実際こういう人は頻繁に見かけるので間違いではない。かくいう自分もセファリッドブレックファストの随一の使い手になろうと日々奮闘中である。
ただ、メタゲームに合わせて複数デッキを持つ人、その時のtier1を組んで環境の最適解を突っ走る人も同じくらい多い、というのも事実である。前述のカードゲームうさぎでいうとライ太や龍堂みたいなタイプの人が大きな大会では大半を占めるといってもいい。
レガシーは長期にわたりMTGをプレイしていて資産が豊富な人、高いカードを揃えることに抵抗が少ない人も多い。レガシーを選択した時点である程度覚悟はしている人だと思われるのでそういったことも可能だろう。フルフォイルは当たり前、デュアランは黒枠で統一、グルランや希少なプロモをふんだんに揃えた頭のおかしい人も大会で多々遭遇する。デッキやカードに触れるのが普通に怖いw

後述するが、レガシーもメタゲームがちゃんとあり、しかも最近はモダホラというバランスブレイカーなどのせいで激しく変動している。また、禁止改定でデッキパワーが大幅に落ちてしまう又はデッキそのものが消滅することもある。そうなると自分の愛用デッキが環境的にカスな立ち位置になることもあり、デッキ変更や複数デッキを所有せざるを得ない事態にも遭遇する。最近の例だと、イニシアチブ系や多色コンがモダホラ3などにより他のデッキが大幅に強化された結果下位tierに転落したり、ゴブリンはステッカーを参照するゴブリンが禁止されたことで入賞数を減らしたりということがあった。
環境的に弱いデッキを使い続けて勝ちを狙う人もそれなりにいるが、多くはカードがある程度共通している別デッキに変形させたり、その時に立ち位置が良くて手持ちの資産+αで組めるデッキを用意したりする。

以上のことから、スタンやモダン等と同じくその時の最適解を選択してデッキを組んでる人も結構いる。

イメージ③:新セット発売による影響が僅かでメタゲーム変化は緩やかである

※スタンを経由せずに開発されたカードが大丈夫なわけがない

これは統率者などカードプールが広いフォーマット全体に言えることだが、昔の強力なカードが使える、スタンのカードとかをあまり見なくてもよい、したがって一度組んでしまえば出費はわずかである、という印象がある。

この認識はある程度までは正しい。いや、4,5年前くらいまでは正しかった。近年は新弾が発売されたらその中身をいちいちチェックして定期的にアップデートしなければならなくなった。エターナル環境は短いスパンで環境が変化するようになったため、「盆栽のようなフォーマット」ではなくなったのは明らかである。そうした原因は何か、その1つは間違いなくモダンホライゾンである。

※2番手3番手のデッキを強化するなら大丈夫、そう考えていた時期が(ry

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0038092/

モダンホライゾンは出るたびにエターナル環境をぶっ壊し、混沌の渦に叩き込み、プレイヤーに多額の出費を強いるセットである。レガシー、モダン、cEDH、ヴィンテージすらもこのモダンホライゾンのカードを上手く組み込めるやつが上位に行ける。また禁止カードを見ると、最近追加されたものにはモダンホライゾンのものが割とある。アーカム、レン6、ラガバン、そしてこの前追加された悲嘆、である。
禁止されたもの以外で、タミヨウ、超能力蛙、ナドゥ、エルドラージ、各種ボルトランドなどレガシーのデッキにモダホラ3のカードは必須パーツとなっている。
この数年に1度出るモダンホライゾンというセットは有無を言わさず購入するべきものになるだろう。筆者のセファブレも、モダンホライゾン3のナドゥを入れ込んだ結果、サブの勝ち手段が大幅に変わった。そしてデュアランを別途買い足すことになったので本当に何が起きるかわからないw

※デザインに失敗したけどレガシーでは生きています。

そしてモダホラ以外にも環境を変化させるセットがある。それは各エキスパンションごとに出される統率者デッキ、また定期的に出るコラボセットだ。

指輪物語とか言う実質モダホラ2.5

レガシーは様々なエキスパンションのカードが使える、当然統率者デッキにしか入っていないカードも対象である。
ここ数年だと統率者レジェンズ・バルダーズゲートに入っていたイニシアチブや統率者2021に入っている創造の技(ギャラクシーカスケード)が一つのアーキタイプを作り出し、暴れまくったこともあるし、統率者デッキにしか入っていない稀有な能力を持ったクリーチャーや土地がデッキパワーを底上げすることも珍しくない。最近だと次元の結節点(各種post)やバロウゴイフ(黒系)、少し前だと河童の砲手(8cast)、舷側砲の砲撃手(ゴブリンや赤プリ)などがそれに当たる。
コラボセットでいうと何といっても指輪物語を外すことはできない。一つの指輪、オークの弓使いはレガシーの環境を定義しているカードになっている。
指輪物語は例外としても、ウォーハンマー40000にある聖カトリーヌの凱旋(豆の木やサイドボード)、アサシンクリードの鋭い目の守護者セヌ(デスタクなど)、転生装置ユグドラシル(スニークショー)などなどデッキにそこそこ影響を与えるカードは出てきている。そのため、コラボセットや統率者デッキのリストが出たらちゃんとチェックして高騰しそうなカードは抑えておく、といったことが要求される。

これが厄介なのは統率者デッキやコラボセットの場合、生産数に限りがあるためどの店舗を回っても在庫切れ、または高騰して予想だにしない出費を強いられるところにある。そのため、晴れる屋の読み物などで情報収集を早めに行っておきたい。逆に統率者をそこそこやっていて各セットをとりあえず買っている、という人はそういうカードが含まれているデッキを構築してみてはどうだろうか。

さらにスタンにおいても、最近は生物の質が上がっているため、レガシーにまで入るカードというのは珍しくない。数年前のオーコやオムナス、シェオルドレッドや分派の説教者など、そのセットで強い、とされているカードは高騰しないうちに抑えておくのが無難だ。直近だと諜報ランドが大きな影響を与えたことは記憶に新しくフェッチから持ってくるとものすごく強さを感じている。スタンで活躍しないがレガシーで大活躍!!みたいなカードはそんなしないものの、各種フォーマットで暴れまわっている、というカードだとやはり多額の出費を強いられるため、そこまで変化の少ないフォーマットではない、ということは改めて強調しておきたい。

もちろんバーンなど本当に変化が無く楽しめるデッキはあるが、それで勝てるかは別である。

最も再録などによってカードが手に入りやすくなることもあるため、一概に悪い、とは言い切れないのだが‥

イメージ④:カードが滅茶苦茶高く貴族のフォーマットである

※レガシーといえばデュアラン、というのはあるある

これまではイメージと違うよ、ということを主張し続けてきたが、デッキの値段が高額、というところだけは否定できない。これは概ねイメージ通りだと思って差し支えない。試しに晴れる屋のデッキ検索の画面に行って、デッキを一括購入する、でカートの値段を調べてみると30万~50万、果ては70万といったカードにこんなに金かけてよいのか、といった数値がずらりと並ぶ。
デュアランと意志の力が高額、といったイメージが付きまとうが、デュアランを使わないデッキもそれらに負けず劣らず高額になることも多い。例えばエルドラージは無色土地を多く使うが、古の墳墓、魂の洞窟や、ウギンの目なども1万円くらいして、代替がほぼ効かないので凄まじい値段になる。さらに虚空の杯は相変わらず高いし、サイドに無のロッドなどを取るとさらに跳ね上がる。
また、アーティファクトを多用するデッキは金属モックス、オパールのモックス、厳かなモノリスは相当高いし、裏切り者の都など土地関連の出費も凄まじい。緑単エルフは4枚必須のガイアの揺籃の地がとんでもない値段であり、その割にトップメタではないので覚悟が相当必要である。土地単は名前の長い土地が数十万するし、黒系のコントロールでも数十万するカードが入ることがあるなど再録禁止が必須パーツなデッキは滅茶苦茶高額であるのは事実だ。

ここで本筋とはちょっとずれるが10万程度で構築できるデスタク、数万円で構築できるバーンという選択肢はある。
ただし、デスタクはレガシー初心者がやるにしてはプレイ難易度が非常に高いこと、バーンは数年前と異なり流石に他デッキとパワーが違いすぎることからおススメはできない。

他のデッキの方が簡単でしかも勝ちやすいのにわざわざ茨の路を歩かせるのは、結局勝てなくて楽しめなくて辞めてしまう、ということに繋がりやすいため不適当である。

何だじゃあそれだけの資産を用意できないなら辞めますーとなりそうであるが、ただ参入してそこそこ勝てるくらいのデッキを組みたい、というだけならハードルは大幅に下がる。私はセファブレを使っているがデュアランを除けば高いパーツは意志の力くらいで、意志の力を入れたとしてもモダンのtier1よりも安い値段で構築が可能だ(参考リンク)。

今はデュアランを複数枚入れているが初めて晴れる屋の推奨レガシー大会に出たときはデュアランはほぼ入れてなく、ショックランドで代用していた。しかしそれでも1勝はできたし、他の場所で勝ち越したこともあったので、デュアランが無くても強いデッキを組むことは可能だ。

以上のことから、デュアランを除けば安く組めるデッキは複数あるので、最初はtier1~2のデッキのデュアランをショックランドで代用して参入してみる、というのは大いにアリ、だと思う。黒単や黒赤リアニメイトはデュアランを除けば10万程度で構築は可能だ。ターボデプス系もモックスを妥協すれば大分安く組める。
また、モダンをやっている人は一部レガシーのパーツを買い足すだけでデッキになることも多い(エルドラージやマーフォークなど)。

安定して勝つためにはいずれデュアランは必要になってくる(ショックランドのライフロスが生死を分ける場面はそこそこあるため)が、まずはデュアランを除いて自分の資産で組めるかどうか、を検討材料にしてはどうだろうか。とにかく安いデッキを脳死で組むよりかは全然楽しめるし勝てるのでおススメである。

以上のことからデッキ全体は高いが、みんな最初からそれだけの資産を用意して参入してくる人ばかりではない、ということは言っておきたい。最近の再録禁止カードの高騰ぶりはえぐいものがあり、昔参入してきた人とは用意すべき金額が2倍3倍異なるため、安易に初心者に対してデュアランが通行料、ということを言うべきではないと思う。
この前のモダホラ3発売などでフェッチランドが全体的に数年前より安くなっている、のは追い風。

※レガシーの参入障壁に対する考え方を変えた名noteなのでこちらも参照されたい

横道にそれまくったがデッキにお金をかけるのは、レガシーというフォーマットにどっぷりはまってからでも遅くはない、ということである。

その他:大会に参加してみた所感


コンボデッキを握ればそらそうなるわな

最後に、大会に参加して思ったことを箇条書きに書いてみる。

レガシープレイヤーは概ね初心者に優しい
・大会も和やかな雰囲気の所が多い。身内感があるところもあるが初心者は歓迎されやすい
・晴れる屋だと争奪戦や推奨日はちゃんと人が集まるが、それ以外のノーマルな大会だと成立しないことが多い
・一方晴れる屋以外のショップが月1で開いている大会には人が集まる
1ターン目から選択肢が無限に存在する(ため無限にミスる)
・コンボ握っていると仕掛け処が本当に難しくて悩みまくる
・MTGアリーナのタイムレスとは環境もプレイ感も全く異なる

特に黒字で強調したところがレガシーならではだなと思ったところである。レガシーは金銭的な参入障壁は高めだが、プレイヤーは良い人が多い。まあ人が少ないところで排除したらフォーマットが滅びるからかもしれないが。晴れる屋以外の大会でも雰囲気は変わらず、行ってみて良かったと思うことが大半である。

スタンとかと異なりtier1を持っていけば普段の大会ならまあまあ勝てる、わけではない。渦巻く知識や思案の撃ち方は本当に難しいし、持ってくる土地を間違えて負ける、相手の戦略を勘違いして負ける、単純にぬるいハンドをキープしたらそのまま負ける、などなど最初は負けまくることが多い。ただ、レガシーに関する知見を紹介した記事やnoteは探せば割とあるし、大会で同卓した人にも色々聞けば親切に教えてくれる。決して閉鎖的な世界ではないのでそこは安心してほしい。

ちなみにタイムレスとレガシーは全くの別物なので、レガシーを体験したいならプロキシでもなんでもデッキを組んでまずは知り合いと対戦してみるのがおススメである。MOという選択肢もあるけどね。

そのため、まだプレイして3か月程度の自分が勝つためにはとにかく定期的に大会に出ることが大事、と思った。座学やフリプも重要であるが圧倒的に経験が足りないのでそうしていきたい。

ここまで読んでいただきありがとうございました。



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