ヘッドフォンアウトが0Ω? – Apogee渾身の「エントリーモデル」BOOMの魅力を探る Vol. 2
Apogee渾身の「エントリーモデル」BOOMの魅力を探る第二回。2022年にApogeeから発売されたBOOM。余計な機能を削ぎ落としたシンプルなデザインのこの製品。その実態は「Apogee渾身のエントリー向け」オーディオインターフェースなのです。そのBOOMの魅力を連載でお届けします。
ヘッドフォン全振りユーザーに最適なBOOM
前回、ESS Sabre DACを贅沢に使い、しかもアウトプットを切り替え式にすることでサウンドの純度を保つこだわりの設計、それがBOOMだ!と熱弁させていただいたのですが、そのヘッドフォンアウト自体にもApogee上位機種にも採用されている独自の技術が隠されています。
スペック表に載っている「ゼロオームヘッドフォンアウト」がまさにそれなのですが、あまり専門的なところには突っ込まない範囲で、そのゼロオームヘッドフォンアウトがどういう意味なのかを解説してみたいと思います。
ヘッドフォンアウトが0Ωってどういうこと?
一般的なヘッドフォン回路は、ショートしたときにアンプが飛んでしまうなどの事故を防ぐ目的で、出力の手前に抵抗(この値を出力インピーダンスというらしいです、ややこしいですね)が入っています。これは高級ヘッドフォンアンプなどでも必ずとゆっていいほど入っていて、特にハイインピーダンスのヘッドフォン(というのがあります。250Ωとか600Ωとか書いてあるやつ、基本お高いです)とかを駆動させる高出力のアンプでは必須の回路です。
ヘッドフォンのインピーダンスと出力インピーダンスの値に差があれば(例えばヘッドフォンのインピーダンス600Ohm、出力インピーダンス10Ohmとか)影響は無視できるんですが、ヘッドフォンがスマートフォン用のようなローインピーダンスモデル(20Ωとか)になると、出力インピーダンスに吸われるエネルギーが比率的に大きくなり、音質が変わってしまうなどの弊害を引き起こします。ヘッドフォンのインピーダンスと出力インピーダンスが近づくほど影響が大きくなってしまうんです。
※ ものすごい端折った説明なので、詳しく知りたい方はご自身でお調べください!
じゃあローインピーダンスのヘッドフォンいらなくね?と思っちゃうところですが、高出力のヘッドフォンアンプならともかく、小さなデバイスなどにおまけでついているようなヘッドフォンアンプでは、今度はハイインピーダンスのヘッドフォンはまともに駆動できない、という問題も出てきます。ローインピーダンスのヘッドフォンは小出力のアンプでも効率よく大きな音を出すことができるんです。
おまけでついてるアウトが小出力なのはいろいろ仕方ない面もあります
Apogeeのゼロオームヘッドフォンアウトは独自の技術によって、出力インピーダンスが約0.5Ωという限りなく0に近い値となるよう設計されています。高級モデルのヘッドフォンから市販の一般的なものまで、自然な特性で音を再生することが可能です。
結論:ヘッドフォンアウトがめちゃくちゃすごい
冒頭にも書きましたが、このゼロオームヘッドフォンアウトは最新のSymphony Studio(価格は30万円以上)にも採用されているApogee渾身の機能で、すばらしいサウンドを再生します。でも価格は3万円台という驚きの価格設定。BOOMはヘッドフォンをメインに使う方にめちゃくちゃオススメなオーディオインターフェースです!
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