人を大切にする運送会社社長にインタビュー
今回インタビューに伺った方は東大阪にある運送会社、ワールド運輸株式会社の社長である中島仁志様です。中島社長は大手企業で勤めた後に奥様のご実家を継ぎ、社長になりました。
~業界について~
さて、早速ですが運送会社といってもいくつか種類があることをご存知でしょうか。
ヤマト運輸や佐川急便など個人向けに配達する小口配送の業態や、ターミナルを持っており、各企業の商品を集めて配送する業種を路線会社と言います。
そして今回インタビューさせていただいたワールド運輸は小口や路線ではなく一般貨物運輸という形をとっています。運送会社の殆どはこの貸し切り(チャーター)の形をとる会社です。
一般企業が2トン車~10トン車を貸切で使い、運搬する荷物は大きいものが多いとのことです。
学生
「運送業界は人手不足といわれていますが、原因はネット通販が普及してることでしょうか」
中島社長
「人手不足は運送業のどの業態でも起こっています。ネット通販が普及していることも要因の一つかもしれませんが、時代の変化が大きな要因だと考えています。」
高度経済成長期の時代の物流は、モノづくりのために海外から原料を輸入し、港から町工場へ、そして工場から倉庫へ、倉庫からお客様のもとへと運ぶことでした。トラックもあまりなかったため免許を持っていてトラックを運転する人は非常に重宝された時代です。
しかし今はというと何もかもがあちこちにあり、海外で作られた完成品を直接お客様のもとへ届けることも多い時代です。水平もしくは下降する業界を望む人が少ないという点、大学進学率が上がっており大学で勉強をした人がトラック運転手になるという選択肢を持たない、もっと活躍できる場所があるという点、さらに少子化であるという3つの点から人手不足であると中島社長は考えています。
~社長について~
では人材不足の中でも活躍できているのはどういった要因があるのでしょうか。
次に、社長になる前にほかの会社でもご経験のある中島社長にいくつかの会社で勤めてみて感じたことをお聞きしました。
学生
「全く違う業種で働かれていたということですが業種が違っても同じことというのはありましたか?」
中島社長
「まず率直に感じたのは、大手企業でもらうお金も中小企業でもらうお金も同じ一万円札ということです。当然ですが大手企業ででもらうお給料のほうが価値が高いということはありません。若いころは大手企業にあこがれて就職しましたが一番やりがいがあるのは今の会社です。」
”自分の意志や方向性を下に伝えることでみんながついてきてくれる”
そこにやりがいを感じらたそうです。
学生
「今、つまり社長職が1番やりがいがあるということですが、中島社長が考える社長の役割とは何でしょうか。」
中島社長
「まず一つは社員を幸せにすること、そしてお客様に喜んでいただける仕事をすることですね。」
”社員を幸せにするためには会社を安定させることが大事、お客様に喜んでいただける仕事をするために社員教育が重要だ”と中島社長は考えます。
中島社長が社長に就任した当時、トラックドライバーは人と接することが苦手な人が多く、人とうまくいかないから会社をやめるという人が多くいました。そこで医療心理学である交流分析を勉強したり、社長自身も学びながら社員を教育していった結果、今では人と接することが苦手ではなくなったという人が出てきました。さらに社員同士も仲良くなりすぎてトラックで定年を迎えるという人も多いそうです。
人材不足のなかで活躍する理由の一つは「人」を大事にするところにありそうですね。中島社長はとにかく挨拶、コミュニケーションを大切にされていることをお話の節々から感じました。
~まとめ~
最後に大学生の方だけでなく高校生や新卒の方にも読んでいただきたいメッセージです。
皆さんは人生の目標、目的をもっていますか?
目的を持っていれば、何をしなければいけないかがわかります。
漠然と生きていても学生の頃は受験や就職を目標としていけますが、就職すると目標がなくなり仕事をしても何をしたいのかわからず転職を繰り返したり…となります。
もっと先の目標をドンと立てると今何をしないといけないのかが見えるのです。
「この会社に入ったとき、数年後に社長になると意識すると社員をどう教育しなければいけないか、取引先をどうしなければいけないかなど、大きな目標が出来ました。この会社に入って目標ができたから今がある。」
そう言っている中島社長は魅力的に感じました。
今回学んだことは職業、性別、国籍問わずに大事なことです。
・挨拶やコミュニケーションを大事にすること
・人生の目標を立てること
シンプルですが二点目は特に難しいと感じました。皆さんも一度考えてみてはいかがでしょうか。