世界遺産検定1級合格まで
はじめに
2021年7/4(日)に開催された世界遺産検定の1級を受験した。
自己採点の結果は156/200点(合格ライン140点)での合格となった。
本記事で勉強開始時点から合格までの経験を記録しようと思う。
(参考)
3ヶ月前にお試しで解いた過去問の点数は98/200
2週間前に解いた1級模試(公式がくれるやつ)は146/200
演習の点数を見ても大きく跳ね上がっていることがわかると思う。
過去問が現時点で全然できなくてもまったく焦ることはない。ちゃんと演習を積んでいけば合格点まで届く。(実際はめっちゃ焦った)
伝えたいこと
・学習教材はテキストと過去問だけでもOK
・インプットよりアウトプット重視
・覚える世界遺産は75%程度でよい
合格までにやったこと/やらなくてもよかったこと
基本は土日祝日フル稼働での勉強。
平日は仕事でほとんど時間が取れなかったので、その分休みの日に10時間は勉強したように思う。
ざっと試験当日の2ヶ月前から世界遺産漬けの休日を送っていたので、150時間程度の勉強時間は確保したことになる。振り返るととんでもない密度だ。
自分の勉強内容と、それぞれの重要度をあわせて以下に記す。
重要度……S: 必ずやるべき A: 時間があればやるべき B: 必要であれば
・過去問演習(重要度: S)
必ずやる。演習をすると問題の傾向がつかめる。
問題の傾向をつかむとは「どういう問題が出題されるか」だけではなく「どういう風に問題を作っているか」がわかることを意味する。
世界遺産検定1級は4択の試験なので、必ずダミー選択肢が3つ存在することになる。このダミー選択肢は適当に単語を変えて作成しているものもあるが、他の世界遺産の特徴を説明しているものが多いのがポイントである。
つまり、4つのうち正しいものを1つ選ぶ問題では、1つの正解選択肢以外は他の世界遺産の説明をした的外れな説明文になっていることが多い。
受験国語のような「かすっていそうな選択肢」は世界遺産検定ではあまり存在しないため、知識があれば容易に消すことができることを意味する。
なお、過去問演習にかかる時間は解答から復習までで10時間程度だった。
自分の場合は休日1日が潰れるほどの時間である。
ダミー選択肢に他の世界遺産の情報が出てくるので、それも復習することは必須である。
ちゃんと復習すれば正解1+ダミー3つ分の知識を獲得することができるので、この復習は一番ちゃんとやったほうがいい。
・公式テキストを読み込む(重要度: A)
時間があれば当然やるべき。ただし読み込むだけでは問題は解けるようにならないので、テキストを読んで問題演習ができるのが理想である。
世界遺産検定のネックは問題演習がおろそかになりがちな点であると思う。
そもそも世界遺産1100件以上を過去問数年分でカバーできるはずがないし、そのようにランダムに出題がされるわけでもない。
よってテキストは1, 2周したけれど知識がまるで定着していない、といったことが容易に起こりうる。自分も実際そうだった。
じゃあテキストは読まなくてもいいのか?
読まなくてもいいとは言わないが、過去問で触れた世界遺産についてはマーカーやペンで印をつけるようにして、あとで振り返った時に「以前出くわしたことのある遺産だ」と思えるようにすることが大事だと思う。
・自作問題(重要度: A)
前述した通り、世界遺産検定は演習量の少なさがネックになりうるので、自分で問題を作成して解くようなことをやっていた。
自分が作成した問題でも、日を置くと解けない問題が出てくるものである。
勉強する仲間がいるのであれば人に出題してもよいと思うし、できるのであればそうすべきだと思う。人が間違えた問題を説明できれば自分は同じ間違いは犯さない。
自分で問題を作成するとダミー選択肢の作成方法がわかるのも大きい。
過去問演習のところでも書いたように、ダミー選択肢が関係のない世界遺産の説明になっていたりすることにも気づける。
また、ダミー選択肢で話題に出される世界遺産は近いページに記載されていることが多い。
これは世界遺産検定テキストの特性ではあるのだが、似たような特徴をもった世界遺産は同カテゴリとして同じ章に記載されるので、問題作成がしやすいといった側面もあるのだと思う。
クイズアプリでの学習をしている人もいるようなので、参加できる余裕があればそちらを活用するのが手っ取り早いかもしれない。
・メモリーツリーを作成する(重要度: B)※まとめ資料作成など
問題演習に入る前、自分はかなり迷走していたように思う。
テキストを読んでも内容が頭に入らず、なんとかしようとした苦肉の策がメモリーツリーの作成だ。
結果から言うとこれはやらなくてもよかった。実際一度作って以降目を通すことはなかった。
合う人には合うのかもしれないが、問題演習の中で学ぶ方がはるかに効率がよいと思う。
・世界史の勉強(重要度: A)
重要度はAとしたが、時間があれば絶対にやったほうがよい。
1級は世界遺産の数が多いので、背景知識を知っている遺産を増やして効率よく頭に入れていくのも戦略のうえでは重要となる。
問題演習をがっつりやるようなことはしなかったが、大学受験レベル(世界史B)の授業動画を視聴して、世界史の流れを大雑把にでも掴むだけで定着しやすくなる。
世界遺産に関係のありそうなテーマは以下である。
・先史オリエント(人類の誕生:遺跡や岩絵などの世界遺産)
・ギリシア、ローマ(ヨーロッパの文化遺産めちゃ多い)
・インド(仏教、ヒンドゥー教 寺院)
・中国(明や清)
・イスラム世界(イスラム王朝めっちゃ多い)
・大航海時代(ポルトガル、スペイン、植民地等)
・産業革命(産業遺産)
…… 書き出すときりがないが、流れだけでもざっくり抑えると文化遺産は頭に入りやすいのでおすすめ。
・日本の遺産/最新の遺産のチェック(重要度: S)
必ずやる。世界遺産検定では日本の遺産(+世界遺産基礎)で40%程度の配点があるため、日本の遺産は隅々まで頭に入れる。
海外の最新遺産についても数問は出題されるので絶対にチェックする。
チェックといってもどこまでやるのが良いのだろうか。
こちらもやはりアウトプット重視の学習がよいと思う。特に日本の遺産は細かい内容が問われることが多いので、テキストの端に書かれていることを自作問題に取り入れ、あとで振り返れるようにするのがよいと思う。
・世界遺産関連図書(重要度: B)
時間に余裕があればおすすめしたい。というのも世界遺産検定公式テキストではギャラリーが不足するからだ。
余裕がなければ過去問演習を最優先にすべきだが、息抜きに綺麗な写真を見るのもメンタルケアには大切だ。
※以下に自分が読み進めている図書を掲載しますが、余裕のあるときに読むのをオススメします。
365日系のシリーズは毎日目を通す人向け。自分のようにアウトプット重視で時間の余裕もない詰め込みタイプの人は、これをベースに知識を得ようとはしないこと。
(本書の内容自体は素晴らしく、写真も豊富で目に優しいです)
学習に用いるのであれば、あくまでも世界遺産への興味を一定以上に保つために用いることをおすすめする。
ぶっちゃけ全部の遺産を覚えた方がいいのか?
覚えられればそれが一番いいと思うが、限られた時間のなかではなかなか難しいと思う。
自分の体感だが、世界遺産1154件(2021年7月30日時点)をすべて覚える必要はない。理由はこの検定が4択形式であり、ダミー選択肢の作りに特徴があるから。
上で触れたように、ダミー選択肢には他の遺産の説明が用いられることが多い。
単純計算で4つのうち3つがわかっていれば残りの1つに自信がなくとも解答することができるのだ。よって75%程度の遺産について理解をするだけで合格率はぐんと上がる。
重要なのは、75%程度を頭に入れればよいと思いながら学習を進めることである。遺産数に換算すると866件である。1154件覚えるよりもだいぶ気持ちが楽になるのではないだろうか。
さいごに
ここまで読んでくださってありがとうございます。
まだまだ書き足りないこともいっぱいあるのですが、これから世界遺産検定を受験される方におきましては
・テキストと過去問をベースにアウトプット重視で学習を進める
・すべての遺産を覚えるつもりで挑まない
ことを念頭にまずは学習を進めるとよいのではないかと思います。
自分は1級に受かりましたが、世界遺産検定1級にはリスタ制度というものがありますので、今後も受験を続けていくつもりです。
また発信したいことがあれば記録を残していこうと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします。