鑑定書や鑑別書が持つ意味とは。
(他ブログサイトにて公開していた過去記事の再校記事です。)
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○はじめに
何か書こうと思い続けて1年弱経ってしまいました。。
コロナ自粛で家にいることが多くなりましたので、なにか記事を書こうかなと思いたちましたので、
今回は鑑定書・鑑別書・保証書について書きます。
鑑定書と鑑別書の違い~とか、どこそこの機関がおすすめ~とか、その類の話は割と多所で既に話されていることですので、
今回は、そもそも鑑定書や鑑別書はどうして必要なのか、どういう意味があるのかという事を書いていこうと思います。
とはいえ、まずは簡単にですが鑑定書・鑑別書・保証書、そしてソーティングのそれぞれの役割を以下にまとめておきます。
※間違っている箇所などありましたらTwitterやコメントでぜひご指摘くださいませ…
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○鑑定書(ダイヤモンドグレーディングレポート)
→ダイヤモンドに対して発行されるものです。
GIA(米国宝石学会)が定めた通称’’4C(カラット・カラー・クラリティ・カット)’’を基準としてダイヤモンドを「評価」することを目的としたものです。
ダイヤモンドが天然なのか合成なのか、4Cグレード、その根拠となる石のサイズやテーブルの広さ、キューレットの深さ、プロポーション、蛍光性、クラリティを図示したものが記載されています。
ダイヤモンド以外の色石には発行されません。
ex.(一例です。その他の鑑定機関が信頼に値しないということではありません。)
●GIA(米国宝石学会)
GIAダイヤモンド グレーディング レポート | GIAによるダイヤモンドの品質に関する4C
●CGL(中央宝石研究所)
グレーディングレポートについて|中央宝石研究所(CGL)
●AGT(AGTジェムラボラトリー)
ダイアモンド グレーディング - AGTジェムラボラトリー
○鑑別書
→ルースや製品ジュエリーに留まっている石が「何」なのか、鉱物名・宝石名や、天然・合成・模造といった起源を分析して見分け、その鑑別機関の見解を記したものであり、評価ではありません。
そのため、他の鑑別機関に出すと異なる結果が出るということもありえます。
また、特定の石に関して産地鑑別ができる機関もありますが、これもその機関のが蓄積してきた情報に基づく見解であり、これもまた産地を「保証」するものではありません。
ダイヤモンドも含む全ての鉱物に対して発行されます(当然、模造品となるガラスやプラスチックなども。)
ex.(一例です。その他の鑑別機関が信頼に値しないということではありません。)
●GIA(米国宝石学会)
カラードストーンレポート&サービスの詳細
●CGL(中央宝石研究所)
鑑別書について|中央宝石研究所(CGL)
●日独宝石研究所
宝石鑑別書 – 日独宝石研究所
○ソーティング
→簡易鑑定・簡易鑑別の結果を記したものです。小袋にメモが貼っているだけの状態です。天然・合成の判断、ダイヤモンドのグレーディング情報が知りたい、石名の特定、一部の処理内容を知りたいだけならばソーティングで十分です。ソーティング結果から鑑定書・鑑別書の発行を依頼することも可能です。
(ただし、ソーティング→鑑定書・鑑別書の移行できる期間が決まっている、もしくは移行できないところもあるようです。)
○保証書
→ルースや製品ジュエリーを販売するお店が、その商品が保証書に記載した内容と同一であり、瑕疵(傷や不良)が無いことを保証するものです。保証には様々な形がありますが、もし万が一記載したものと異なったら返金・交換・修理など買ったそのブランドや店に対して保証対応をしてもらえます。大抵は効力を持つ保証期間が存在します。大抵のブランドや百貨店、小売店は発行している印象です。
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○鑑定書や鑑別書が持つ意味とは
今回、僕が何を言いたいかと言うと、
鑑定書・鑑別書の有無は、その商品への「第三者の意見」の有無ということです。
上に書いたとおり、鑑定書や鑑別書はその品質を「保証」するものではありませんが、熟練した専門家としての第三者からみたその石に対する意見が記されています。
商品に値段を付けているのは店主です。石そのものの見た目の輝きやクラリティなども勿論重要要素ですが、その値段に私達が納得するための材料として、第三者の意見が意味を持ちます。特に、鑑定書(グレーディングレポート)は品質グレードそのものが記載されているので、顕著に影響します。
例えば、第三者である鑑別機関はその石がパパラチャサファイアだろうが、ピンクサファイアだろうが別に困らないわけですが、店主としては当然価値が高いパパラチャサファイアとして売りたいですよね。
石の値付けに関わっていない人物が「これはパパラチャサファイアと判断した」と意見してくれているからこそ、説得力を持って値段を付け、これはパパラチャサファイアだと販売できるわけです。
お店の店主の言い分を初めから全て信じるならば鑑定書や鑑別書、ソーティングなんていらないかもしれませんが、それらを抜きにしてお店の事を信じるためには、それだけの根拠が必要です。
例えば、何年何十年もクレームなくお店を続けられているとか、店主が直接その産地で掘ってきた~とかそんな感じでしょうか。
もっとも、なるべくコストカットして安く多く販売したい形式のお店はいちいちソーティングもしていられないというところもあります。
そういうお店から買うならば、それだけ安い分のリスクも理解しないといけません。外し石中心のお店はそういうところが多いです。
お宝が眠っていることがあるので、良いものが安く手に入るかもしれないというメリットはありますが、
僕はそういうお店ではあまり高い買い物はしないようにしています。
また、具体的には挙げませんが、特定のハイブランドでは使用しているダイヤモンドに自社鑑定のレポートを付けているところもあります。それが果たして信用できるかどうかはそのブランドの名前の強さに比例すると思います。100年とか150年とか続いてるブランドはそれだけ続く理由があるのでしょう。保証書も付きますしね。
僕のブログを読んだ事のある方ならご存知でしょうが、自社鑑別の鑑別書を付けているネットショップもありますよね。お店自身が鑑別書と名前のつくものを発行しちゃうスタイル。
僕は値付けしている店自身が付けている保証書でもない書類に効力があるとは思いません。「ちゃんと鑑別してますよアピール」が形になっているだけで、結局その効力=その店への信頼度でしかないです。
過去の記事を読んでもらえれば十分ですが、僕があのお店から買わないのはそれが全てです。
その自社鑑別書に本当に自信があるのならば、他の機関のソーティングがついてたりついてなかったりする意味が分かりません。
もしあのお店で欲しい物がある方は、僕個人の意見としては他の機関のソーティングや鑑別書がついているものをおすすめします。
○産地について
ここまで色々書いてきましたが、
店の言い分を完全に鵜呑みにしないといけない要素が一つあり、それが「産地」です。
産地は、特定の機関で調べられるものもありますが、
まず前提として、産地鑑別は産地の特定ではなく、その産地で取れた石の成分を計測した過去の蓄積データから予測するに過ぎないものです。その正確性も、鑑別機関ごとに異なります。
そして、大半の石はそもそも産地鑑別の対象外ですし、可能な石も産地鑑別代がそれなりに高額です。
もっとも、石の質や色などの傾向から、この産地ならこんな感じみたいな判断はある程度できますが、
こればかりは、そのお店がどれだけ信頼できる店なのかという面から判断せざるを得ません。
僕自身は産地に関してあまり気にしないようにしていますし、所謂絶産の鉱山のものや、所謂レア産地の石などは無闇に追わないようにしています。
すごいところからあの宝石が出た!みたいな情報を聞くとついわくわくしちゃいますけどね。
○まとめ
ここまで読んで、またもやどこで買えば良いのかと不安になってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、
店主の人柄や長年の付き合い、今まで買ったものはちゃんと大丈夫だったとか、様々な要素によってこのお店の言うことは信用できると判断するのならば、鑑別やソーティングが付いていないものを購入するのも良いかもしれません。
デフォルトで鑑別やソーティングが付いていなかったとしても、誠実なお店は適正な価格で鑑別代やソーティング代を支払うことで付けてくれるお店もありますし、
自分で鑑別に出してみて、買った時の情報と異なったとなればまずはお店に相談してみるべきです。
製品ジュエリーを購入するならば、保証書付きのブランドや百貨店を選ぶのも安全策です。安全な分、ミネラルショーやネットでノンブランド品を買うよりはお高めですが・・・。
鑑定機関や鑑別機関も今はたくさんありますので、機関を比較した記事を書いてみるかもしれませんが、まずは調べてみてください。
ネットにたくさん情報が落ちています。
こんな情勢なので、ついつい僕もお店まで行けずネットでポチってしまいがちです。
特に高い買い物をする時は落ち着いてなるべく安全に買い物ができるよう、皆様の助けになれば幸いです。
わいたろう
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