歯科 × ブロックチェーン
近年の仮想通貨取引にも使われるブロックチェーン技術の進歩により、それが医療にも応用され始めている。
電子国家として知られるエストニアでは電子カルテの利用や保険請求をオンライン化し、個人の医療情報を国内のあらゆるところから確認できる。
そもそもブロックチェーンは複数のネットワークでデータを結び付けて保存することができ、複数の人が閲覧することが可能なため、改ざんも難しいとされている。それゆえ、個人の医療情報をブロックチェーン上で管理することは、医療者にとっても、患者さんにとっても便利なことは間違いない。
カルテは誰のもの?
自分が小さいころ内科にいくと、おじいちゃん先生がボールペンでドイツ語でカルテに何かを書いていたのをよく思い出す。何を書いていたのかもちろん分からない。
歴史的にカルテの役割を考えてみると、患者さんの病態を時系列で記録し、治療の履歴をつけるというものであるが、実際カルテとは、医療事故になった場合など、医師・歯科医師本人を守る為に書いているという実情もある。
一方で、カルテのような医療情報は患者さん本人の『履歴書』でもあり本来は、患者さん本人のものと考えるのが今の時代においてはあっている。セカンドオピニオンに行くために、病院に紹介状やデータを請求し、待たされた挙げ句、お金を払い次の病院に行くという作業は非効率に他ならない。
ブロックチェーン上での医療情報の保存
ブロックチェーン上で共有された医療情報の保存は、医療関係者のみならず、患者さんもアクセスが可能となる。
医師にとっては、前医の許可なく患者さんの過去の医療情報が閲覧でき診察もスムーズに行うことが可能となる。
しかしながら、まだ課題はたくさんあり、医療データはレントゲンデータなどかなりデータ量を使うものが多く、それらをどのように保存するか、多くの医療機関がシステムを共有することで、ブロックチェーンが機能できるため、多くの医療機関が協力してくれる必要がある。医療の透明性を高くすることは、患者さんにとっても医師にとっても間違いなくプラスになる。
歯科の分野でも、患者さんの病歴を正確に理解することで、オーラルヘルスケアの維持に役立つことは間違いない。