「イスで仕事する」ということ
イス
ここ10年ほど、仕事をするうえで意識していることがある。
というか、自分は無自覚にそのようにしていて、人から言われて振り返って、めちゃくちゃ意識してやってたな!と気づいた。
それが「イスで仕事する」ということ。
物理的なイスではない。
会社や部署のミッションとか、仕事上の立場とか、役職とか、その役割を全うするにあたり、どのように振る舞い、どのように発言するのがよいかを判断する。判断基準が自分個人の中ではなく「役割」を通したところにある。
役割を演じていた。
語源?
この「イスで仕事する」という言い回しはググっても出てこず、デスクワーク用のおすすめイスが出てくる。
おそらく、新卒1年目(飲食FCの社員)にエリアSVから聞いた「役職や立場の器に合うように成長する」といった話を、自分の中で「イスが人を育てる」として覚えたのだと思う。
年を経て、自分が役職というイスに割り当てられたことで、「イスで仕事する」という認識に変わっていったのだろうと。
イスで仕事した結果
前職を退職するとき、こんなニュアンスの言葉をいただいた。
会社や組織としてあるべき姿を考えたうえで、判断している
「誰かが言った方がいい」ことを言ってくれる
組織を離れると決めて、こういったメッセージをいただいて、
「ああ、自分は、そのように行動するためのイスに座って、そのように見えるためのメガネをかけて、仕事していたんだな」
と自覚した。
かつ、
興味深いことに、組織を離れた後は、このイスもメガネも、跡形もなく消え去った。
結論が同じになることがあるので、説明が難しいが、当時の判断基準はその立場であるが故の判断基準で、立場が変わると考え方も重要度も経路も違う。呼び出す関数や引数が違うから途中の処理は当然、違うよね、という感じ。当時の関数は今はもちろんスコープ外。
結論が似ていても、自分にとってそれは全くの別物だ。
フリーランスの場合の「イス」
フリーランスや業務委託で案件に関わるようになり、この「イス」をかなりしっかりすり合わせる必要がある、と感じている。
どんな案件に、どの立場で、何を求められて、参画しているのか。コミュニケーションをとって、解像度を上げていかないと、役に立たない。
自分は開発のスペシャリストではないから、なおさらだ。
わたしはこれからもきっと、いろんな「イス」で仕事をする。
それは多少不安だが、楽しみで、フリーの醍醐味だろうと思う。