サポートエンジニアとして働いてみて
私はとある企業で、製品サポートするエンジニアとして数年働いたことがあります。顧客は主に開発者でしたが、少々情報工学の知識があったため内定をもらうことができ、給料が良かったのが就職を決めた理由です。
サポートエンジニアと聞くと、皆さんはどういうイメージをもっているでしょうか?クレーム対応係?何でも屋さん?まぁ、大体のイメージは合ってる気がします、ははは。。なかなかの強靭なメンタルと、仏のような悟りが必要になる職業です。
私は数年前に転職してサポートエンジニアから離れましたが、今冷静になったところで少し振り返って見ました。サポートエンジニアになる上で、大きなリスクとなるのは以下の二点だと思います。
自ら問題定義をしなくて良い
保守的になりがち
"自ら問題定義をしなくて良い" とは?
"自ら問題定義しなくていい" というのは、サポートエンジニアの業務フローに大きく影響しています。基本的にサポートエンジニアは、顧客が問題に遭遇し、抱えて駆け込んでくるのを待ちます。そして、顧客が来たらその問題を解いて解決してあげるのが業務です。
サポートエンジニアは、問題を見つけて定義する必要がないのです。顧客の問題を解くための読解力は十二分に養われますが、あくまでも受け身になってしまうのです。
"保守的になりがち" とは?
"保守的になりがち" というのは、今度はサポートエンジニアの評価軸に大きく影響します。主なサポートエンジニアの評価軸は、問題の解決速度と対応した問題の数になることが多いです。
つまり、サポートエンジニアは問題の質やサポートの質よりも、量を重視される傾向にあるのです。そして、サポートには正解はありません。ここで学校の数学の問題などのように、単一の答えがあれば何も問題ではないのですが。。。
単一の答えがない場合、それっぽく問題を解決してそれっぽい答えを出すことが可能になります。例えば、権限が理由でサーバーにアクセスできないという問題が起こった場合、"全権限を全ユーザーに付与しちゃいましょう!!" と言えば問題は秒で解決します。もちろん極端な話ですが、ここで "良い" サポートをしようとした場合、顧客の現在どのユーザーでアクセスしようとしているのか?やそのユーザーはどの権限を持っているのか、などなどやりとりが増えます。
そうすると、なんと "全権限を全ユーザーに付与しちゃいましょう!!" と言っちゃった人の方が早く問題を解決したと判定される可能性が出てきます。よっぽど小さな企業でない限り、上司は全ての問い合わせに目を通すことはしないでしょう。主に数字を見ます。
そんな上司を持った場合、サポートエンジニアは保守的で一番簡単に問題を解決する方法を選択しがちになります。もしより良いサポートを思いついても、それが失敗して顧客とのやり取りが増え、問題が複雑化してしまうと評価が下がってしまうからです。
まとめ
どの職業にも良い点と悪い点があるのは当たり前なことです。私がこのように文章化せねばと思った理由は、この職種はしっかり自分の軸を持たなければ、気付かないうちに守りに入ってしまい、自らの将来の道を狭めてしまう可能性があるからです。
ただし、もちろん悪いことばかりではありません。誰よりもプロダクトに詳しく、ユーザーに近いのはサポートエンジニアです。彼らは社内の人間であり、かつユーザーでもあり、プロダクト開発には欠かせない存在です。