【第48回】ヒーローよりカコイイ黒人女性レジーナ・キング『ウォッチメン』エミー賞2020リミテッド・シリーズ作品賞紹介①
【海外ドラマファンのためのマガジン第48回】
正直に言えば、アメコミにはそんなに興味がないんです。
スーパーマン、バッドマン、スパイダーマンは見てきましたが、アイアンマン以降、劇場に見に行ったのは『ブラックパンサー』のみです。
アベンジャーズ系には、あまり興味がありませんでした。(食わず嫌いかもしれません)
『ウォッチメン』の原案は、DCコミックですが『LOST』(2004-2010)のクリエイターデイモン・リンデロフが、製作&脚本を担当しているということで、気にはなっていました。
今回のエミー賞で最多26ノミネートとなったことで、鑑賞しないわけにはいきません。
アメコミもので困るのは、登場するヒーローの背景を知っておかないと、ストーリーがつかめないことです。
そこで、原作のアメコミを映画化したザック・スナイダー監督の映画『ウォッチメン』(2009)をまず鑑賞しました。
まずい!これは全く意味が分からない。
原作コミックのヒーローを知らないと、誰が誰なんだか。わかりずらい。
登場人物を書きだして、頭の中を整理しました。
ミニッツメンとウォッチメンという二つの集団があります。
ミニッツメンは、1930年から40年代に活躍し、その子供世代のウォッチメンは、1960年代から80年代に活動していました。
この映画見ておいて良かったです。厳密に言えば、ドラマの『ウォッチメン』は、映画版の続きではなく、あくまでも原作コミックの34年後の出来事を描いています。
ハマりました。
かなり面白かったです。
ドラマ版『ウォッチメン』は、いわゆるヒーローものではありません。
主人公のアンジェラは、人間で警察官です。
でもマスクをして顔を隠しています。警察官だと分かると命を狙われてしまうから。
アンジェラ役のレジーナ・キングは、素の人間の姿のままで、ヒーローのようなカッコよさ!
現在のアメリカの社会問題 #Black lives matterの根幹である、警察VS黒人社会の構造を真正面から描き出す挑戦的な内容です。
あんな虐殺事件があったとは知りませんでした。
全9話ですが、前半の伏線は、5話目くらいからほぼすべて回収されていきます。その回収具合が、なかなか気持ちいいスッキリ度でした。
ただ、登場人物のガイドがないと、初見ではなかなか把握できないと思うので、人物ガイド記事も今後執筆していきたいです。
アメコミファンじゃない人も、楽しめますが、数か所グロテスクなシーンがあるので万人にはおすすめできないのが残念。
リミテッド・シリーズ作品賞は、『ウォッチメン』に決まりでしょう!
第72回エミー賞 リミテッド・シリーズ部門 作品賞 候補作
26ノミネート『ウォッチメン』HBO
IMDb8.1 Rotten Tomatoes 95%
ノミネート主要部門
作品賞
主演男優賞 ジェレミー・アイアンズ
主演女優賞 レジーナ・キング
助演男優賞 ジョヴァン・アデポ
助演男優賞 ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
助演男優賞 ルイス・ゴセット・ジュニア
助演女優賞 ジーン・スマート
監督賞 第1話「今は夏 氷が尽きそうだ」
監督賞 第5話「落電へのささやかな恐怖」
監督賞 第6話「この尋常ならざる存在」
脚本賞 第6話「この尋常ならざる存在」