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名作海外ドラマ紹介『コールドケース』女性刑事リリーの髪型がボサボサな理由

休日の日、晴天でも外出せず、自宅で猫をなでながら、おひとり様時間を過ごす女。
『コールド・ケース』の主人公リリー・ラッシュは、孤独な状態でいることに安心を感じるタイプです。

「孤独が安心する」という彼女の心理状態に、とても共感しました。

リリーは、フィラデルフィアのスラム街の出身で、アルコール依存症の母親のもと、妹の面倒を見ながら育ってきたという過去があります。
家を出ていってしまった父親に対しても、憎しみを感じています。

彼女の原動力は「怒り」なんです。
両親に対しての怒りは、いつしか、犯罪者に対する怒りに転化していきます。

フィラデルフィア市警殺人課の刑事なのですが、白い肌に美しいブロンドヘアで、とても透明感のある容姿なんですよね。

このキュートな外見は、殺人事件の捜査をする際には、マイナスの要素も多いのです。

チンピラみたいな容疑者から「よう、ねえちゃん、遊んでやろうか?」

などと、侮辱されることも多いし、強そうな見た目ではないので、犯罪者からナメられることも多々あります。

かわいい容姿、もしくは、おとなしそうな外見。
ゆえにナメられる。

リリー・ラッシュ刑事は、このような侮辱を許しません。

「よう、ねえちゃん、遊んでやろうか?」と、チンピラさんから言われようものなら、3倍返しの罵詈雑言をぶつけます。

「いいよ、遊ぼうか。でもその前に、お前の◯◯をちょん切って、その口にブチ込んでやるよ、二度と喋れなくするために。」

くらいのことは言い返します。

清楚な容姿の女性が吐くこの暴言は、なかなかのインパクトがあります。

このドラマを見始めたころは、とても違和感がありました。
「リリー、無理して言っているんじゃないかな?」とも思ってました。
自分を強く見せるために、去勢を張っているんじゃないかって。

でも、彼女の中には「怒り」というエネルギーがあります。
自分を見捨てた両親に対してだけではなく、裏切ること、人を侮辱すること、ウソを付くこと、などに敏感で、怒りを感じてしまいます。

実際の生活の中でも、「よう、ねえちゃん」レベルのいやがらせは、男女関係なくだれでも受けたことがあることでしょう。
大抵は聞き流して、「なかったこと」にして穏便に過ごしてしまいますよね。

でも、リリーは見逃しません。
受けた侮辱は、そっくりそのままお返しするんです。
我慢をしてしまうと、そこに被害者が発生してしまうから。

もしかしたら、彼女は被害者になりたくない。
という思いがあるのかもしれない。

ダメな両親の被害者だったから、もう誰かの被害者になるのはゴメンだ。

そんな感情を抱えながら、コールドケースの捜査をしているのではないでしょうか。

コールドケースとは、未解決事件のことです。
殺人事件の被害者は、殺されてしまっているので、どんなに捜査しても、もう生き返ることはない。

被害者の無念に警察官として報いることができるとしたらそれは、真犯人を逮捕すること。

そう信じて、リリー・ラッシュは未解決事件の捜査を続けます。
裏を返せば、捜査を続けることで、自分の中の怒りを解消しようとしているのかもしれません。

正義を追求する警察官でもあるリリーは、捜査が第一だから、自分の私生活にあまり時間を割けないのです。
朝、髪を一本に縛ったら、一日の終りまで自分の髪型を意識することもない。

もともと、外見を「キュートだね」なんて言われることは好きじゃないので、おしゃれを楽しむという意欲もないのかもしれません。

リリー・ラッシュ役のキャサリン・モリスはインタビューの中でこんなことを言っていました。

「リリーは忙しすぎて、自分の髪が整っているかどうかを、常に確認する時間が取れない人だと考えました。」

だから、リリーの髪型はたいていボサボサです。

そんなリリー・ラッシュ刑事が、未解決事件の真犯人を追求する
『コールドケース』は、まちがいなく犯罪捜査ドラマの名作です。

機会がありましたら、ぜひご覧ください。

【海外ドラマファンのためのマガジン第125回】

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