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血縁関係のない家族、マザーの無償の愛を知るLGBTQドラマ『POSE』シーズン3

【海外ドラマファンのためのマガジン第106回】

家族って、もとからそこにあるものではなくて、自分の手で作り上げて行くものなのかもしれない。

FXNetworkのドラマ『POSE』を見ていると強くそう感じます。
家族を作るって、実はものすごく楽しくて温かい作業なんじゃないかって思えました。

私は子供がいないのですが、「家族が増える」という観点で言えば、子供を産んで家族の人数を増やしてみたかったなと思ったりもします。

FXNetworkのドラマ『POSE』は、トランスジェンダーの人々を主人公にしています。
ゲイや、トランスジェンダーであるがゆえに、実家にいられなくなった人々の物語です。

1980年代から90年代のニューヨークでは、実家から追い出されたり、逃げるようにニューヨークにやってきたトランスジェンダーの人たちが、「ハウス」という場所を作って共同生活を始めます。

実の家族と疎遠になってしまった人たちが、「赤の他人」と家族になって暮らすのです。

現在よりもさらにLGBTQへの風当たりが強かった時代。ゲイというだけで親から勘当されてしまう人もいたのですね。

「ハウス」には、年下の子たちに、母親のように助言したり手助けをする「マザー」がいます。

マザーも、実体験として親や社会に拒否されることを経験していて、年長者として同じ境遇にある若者をなんとか良い方向に導きたいという思いが強いんですよね。

ハウス・エヴァンジェリスタのマザーであるブランカ(MJ・ロドリゲス)は、特にそういう思いが強くて、ダンスが得意なリッキー(ダイロン・バーンサイド)をダンサーの学校に通わせたり、美貌と稀有な存在感を持つエンジェル(インディア・ムーア)をモデルの道へ導いたりと、子どもたちの才能を伸ばそうと自分の力を注いでくれるのです。

彼女を見るたびに私は、ブランカの中に無償の愛に満ちた母親像を感じて、その母性に触れて心がアツくなり、涙が流れてしまいます。

子供を信じてその才能を伸ばす。

シンプルなようで、スゴイことだと思うし、実の親子だって、そうそうできることじゃないと思ってしまいます。

もしかしたら、実の母親じゃないからこそ、できてしまうのかな?とも思ったり。
「いろいろ失敗もしてきたからこそ、子どもたちに伝えられることがある」

というスタンスも、実の母親だったら「自分の考えの押し付け」になってしまうのかもしれません。

ブランカは、実の母親ではないので、完璧な母親像を目指す必要がないのかもしれない。
母親だって人間なのだから、完璧なはずがないですよね。母親に完璧を求めてはいけないのですね。

ブランカは、HIVポジティブなので、いつエイズが発症してもおかしくない状況です。この当時は、まだ治療薬も開発中で、HIVポジティブになったら、死を覚悟しなくちゃいけない時代でした。

日本では、シーズン2までしか鑑賞できないのですが、エミー賞の対象となっているシーズン3がファイナル・シーズンとなります。

登場人物の9割がLGBTQというドラマで、本物のLGBTQの人々が、演じています。

ブランカ役のMJ・ロドリゲスは、今回主演女優賞にノミネートされました。

ハウスのパパ的存在のプレイ・テル役のビリー・ポーター以外の俳優は、このドラマに出演するまでは無名だったのですが、みなさん美しいし、才能に満ちていて魅力的です。

もちろん、ビリーも素敵。大好きな俳優ビリー・ポーターの代表作にもなりそうです。
彼は、LGBTQを公表している俳優として始めて、エミー賞ドラマ部門主演男優賞(第71回)を獲得した俳優です。

語りたいことがたくさん溢れてしまうお気に入りのドラマなので、シーズン3が日本で鑑賞できる日がきたら、海外ドラマファンのみなさんと語り合いたいなと思っております。

第73回エミー賞 9ノミネート『pose』

【ノミネート主要部門】
作品賞
主演男優賞 ビリー・ポーター(プレイ・テル役)
主演女優賞 MJ・ロドリゲス(ブランカ役)
監督賞 第8話「Series Finale」スティーブン・カナルス
脚本賞 第8話「シーズンファイナル」ライアン・マーフィー、ブラッド・ファルチャック、スティーブン・カナルス、ジャネット・モック、Our Lady J

次回は、6ノミネートの『This Is Us』をご紹介します。⇛

【エミー賞ー作品賞コンプリート紹介を実施中。#6】

ブリジャートン家#5

ラヴクラフト・カントリー#4

ハンドメイズ・テイル#3

マンダロリアン#2

ザ・クラウン#1


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