言葉遊びのあるマンガ紹介!

※    5分で読めます(予定)
※    このnoteは、「言葉遊びコミュニティ『p:/ピーコロン』」さんの「言葉遊びAdvent Calendar 2023」5日目に投稿した記事です。
#言葉遊びAdvent2023 #ピーコロン


noteのメイン

  • 言葉遊びのあるオススメ漫画の紹介!

  • 『暗号学園のいろは』と『児玉まりあ文学集成』を読もう!

  • #失言半減質疑応答診断  をやろう!



 アドカレお疲れ様です! 普段は謎解きや現代4コマで遊んでいる、城ぶどう(@46bud0_naz0)と申します。大謎はバカであればあるほど好みです。夏祭り脱出、良かったですよね~

前置き:あなたの言葉遊びはどこから?

 言葉遊びに触れるとき、最初から『残像に口紅を』の人はいないと思うんですよ……。少なくとも、最初からリポグラムやパングラムに言葉を織り込む人類は存在しないはず。

 おそらく、幼少期や学生時代、もしくは社会人になってから、意図せずジャンルに出会って「言葉遊びって面白い」って気づいた瞬間があるのではないでしょうか。


かいけつゾロリのはじめ、青い鳥のまんなか、マンガのおわり。

 ……絵画ですね。

 私個人の系譜をたどると、最初に『かいけつゾロリ』でダジャレの面白さに触れたことを覚えています。(もちろん、ダジャレは言葉遊びです。)ゾロリ、かっこよかったですよね……。休日の朝かどこかでやっていたcv.山寺宏一のアニメを観ていました。少し下品な部分もありましたので、快く読ませてくれた親に感謝しかないです。

 この年代だと他には、病院の待合室に置いてあるような、いじわるなぞなぞ系の本でしょうか。「しんぶんしを逆さにすると読めない」ことに衝撃を受けました(みんなそう)。悔しかったな。

 児童小説を読もうという年頃になると、青い鳥文庫の系列に手を出していましたような。はやみねかおるとか『パスワードシリーズ』とか。載っている暗号を解くのが楽しくて仕方なかった。数年前に上映されていましたよね、『怪盗クイーンはサーカスがお好き』。この頃は図書館が天国でした。


 そしてようやく、マンガです。正確に言えばジャンプ。コロコロ未通過で最初によんだ雑誌がジャンプでした。天下のワンピが初手でした。今もなお面白すぎる。この後、沼にズブズブはまっていきます。

 ジャンプの言葉遊びと言われて、『ナルト』の金銀兄弟vsダルイ戦のNGワードを思い浮かべる人もいれば、それのオマージュ元(?)である『幽遊白書』のvs海藤戦を思い浮かべる人、そこから『HUNTER×HUNTER』の制約と誓約を思い起こし、『呪術廻戦』の術式開示による底上げに至る人など、様々居ると思います。また、『BLEACH』の巻頭歌や『ジョジョ』のルールの穴をつく異能力バトルも広い意味で言葉遊びといえそうです。

『幽☆遊☆白書』13巻より vs海藤戦
禁句は「あつい」
(よく考えたらこれ自体も『残紅』オマージュか?)
『NARUTO─ナルト─』カラー版56巻より vs金銀兄弟戦
NGワードは「だるい」
明らかなオマージュだが一捻りあるので好き

 ただ、言葉遊びが押し出されている作品といえば、西尾維新先生原作のマンガなのではないでしょうか。『めだかボックス』の「消去しりとり」を経て、令和の今、先生の新作がジャンプで連載しています。

『暗号学園のいろは』です。

Weekly Jump 2022年51号表紙より
表紙に書いてある文字はアンビグラム

オススメ漫画①『暗号学園のいろは』

 西尾維新原作・岩崎優次先生作画タッグの作品。週刊少年ジャンプで連載中。作問・解読の能力を競い合う暗号学園で切磋琢磨するお話。
 西尾維新のキレッキレの言葉遊びが岩崎先生の美麗作画によって視覚的に炸裂する暗号バトル漫画です(?)。言葉遊び好きの方からしたらもう知ってるよ~って感じかもしれませんが

”暗号”学園というだけあって、

1p目からこれです。

暗号です。

『暗号学園のいろは』第1号より
マンガにあるまじき文字量の暗号

 こんな感じで毎話毎話、西尾維新お手製の暗号が降ってきます。それもジャンプ本誌で読んでいたら毎週。単行本派なら3か月で10個ですからね……。MfYより多いかもしれない

そして暗号をマンガ媒体として華麗に魅せてくれるのが、

『暗号学園のいろは』第1号より
別にポーズに意味は無い(はず)

 この美麗作画です。

 暗号もとい言葉遊びって作問の労力の割にテンション上がってないと、「へ~(虚無)」となりがちなのですが、この作画の美麗さとダイナミックさによって視覚的に暗号が襲い掛かってきます。ななめ読みでも面白いのはこの作画のおかげ。

『暗号学園のいろは』第2号より
視覚的に炸裂するパズル

 概観的な紹介はこれくらいにして、「失言半減質疑応答」の話をします。
この話がしたくてnote書いてるので。


失言半減質疑応答

 作中の暗号バトルです。ルールは簡単。「50音(46音)を2人で23音ずつ分け合って、23音でリポグラムしながら質疑応答を行い、失言した方が負け」というゲームです。

『暗号学園のいろは』第11号より

こんな感じ。お互いに23音の手札をもって相手を質問で攻め立てます。


『暗号学園のいろは』第11号より

こんな感じ。下が主人公、防戦(回答)一方です。


で、





『暗号学園のいろは』第11号より
手差しすみません

 こんな感じ。安心院さんの能力説明か、しまむらの刃かな?ってくらいの文字情報密度。見開き開いたらいきなりこれ。本誌で読んでいた時の衝撃たるや。


 制限された語彙の中からとっさに出てくる”応答”は自分の心の深いところにある本音に近い、相違ない。

 暗号力(?)の差から一方的にリポグラれ、質問の矢を返し続け、相手に本音をさらし続けている状況、これを失言と言わず何と言おうか。圧倒的な屈辱と敗北。


 憎いことに相手は主人公のプロフィールをある程度調べ上げているので、語彙の少なさに根負けして嘘をつくことも許されない。
見破られるから。

『暗号学園のいろは』第11号より

 誰だ、リポグラムを凶器の提供機器に変えた狂気の供給機関は。





……でも、言葉遊び好きの暗号兵としてはやってみたい
大きな声じゃ言えないがね。
……でも、人様に刃(リポグラム)を向けちゃだめだからな。
うーん……。

誰かの心の声

そんな私(あなた)に便利なツール(眼鏡兵器)があるんだよな。
「失言半減質疑応答”診断”」が、さ。

誰かの心の声

 ファンの有志が作った、いたって普通の診断メーカーです。ニックネームを入力すると、23音とお題(質問)が指定されるので、指定音で適切な応答を考えてみよう!とても鮮やかだね!

 拙作ですが、イメージとして簡単な例を載せておきます↓


例:自己紹介
(後半は、象徴=アイコン の説明)

指定された23音はこちら
あ~た行が比較的多くて作りやすい盤面

こんな感じです。
あと2,3問制作(解凍)しました。
先ほどのツイートのツリーに載せているので是非。

でも、


この記事を読んでいらっしゃる

言葉遊びをたしなまれている皆様なら

もっとうまく”応答”できると思います!


ので、




「やってみよう! #失言半減質疑応答 !」
「読もう! 『暗号学園のいろは』!」


先ほど載せた診断メーカーから遊んで結果をツイートしてみてください!

私が他の方の失言半減質疑応答を摂取したいから!!!

30分から1時間程度あれば、簡単なものは作成できると思います。
通勤・通学のお供に、
#失言半減質疑応答診断  を!




閑話休題(物語未履修)




ジャンプ以外はどうか

 暗号学園の話が思いのほか長くなりましたが、別のマンガの紹介に移ります。あと1つだけ紹介させてください。

 今度はウェブで読めるマンガの中で言葉遊びのあるものを探してみます。マンガワンなら『ウェルベルム』、ジャンプ+なら『スシシスターハンター』、Twitter連載なら、なをををををを先生の『不器用ビンボーダンス』を挙げてみます。どれか1つ、ないし全部の作品を読んでいるし好きだという方も多いのではないでしょうか。

『スシシスターハンター』第1話より
”とんかつとDJは同じ” みたいなこと言う漫画
私はこれも言葉遊びだと認識している

『不器用ビンボーダンス』↑
2コマ漫画で言葉遊びを入れまくる。
これはシンプルな方。



 その中で私が紹介したいマンガは『児玉まりあ文学集成』です。


オススメ漫画②『児玉まりあ文学集成』

 三島芳治先生の作品。トーチwebで連載中。独特な絵柄と語り口による不思議な世界観が魅力の、文学少女と少年のマンガです。比喩は世界を創る。

 第1話では、入部テストと称していろいろな景色を比喩でとらえていきます。そのどれもが通常の語彙では選択しにくい、英語でいえばコロケーションが強いとは言えない、そんな名詞と形容の連続です。

『児玉まりあ文学集成』第1話より
『児玉まりあ文学集成』第1話より

 しかし児玉さん曰く、言葉が実在に先立ち、比喩によって新たな関係性を世界に生み出すことができるとのこと。

児玉まりあ文学集成第1話より

 この、比喩や表現のベクトルのずらし方、その余白に創造力がめぐらされるといいますか、掴めない実体に児玉まりあさんの幻想性を感じると言いますか。素敵なんです。


 個々の比喩には様々な解釈ができると思います。例えば、

ハトは 棋士のように 沈黙し

『児玉まりあ文学集成』第1話より

この比喩は、ハト頭という賢くないことの比喩に挙げられる動物に対して、実際のところ思考を巡らせているのではないか。うがってみれば、彼女らの往来を脇で眺めつつ胸を張って道を譲る姿に棋士の凛々しさを感じているのでは。などと。自由度がありますね。

 私はあまり詞的(詩的)(私的)な解釈を言語化するのが得意ではないのでこの程度で止めておきます。が、この言語化の難しい余白に感じ入るのが楽しい作品になっています。


 こんな風に説明すると、つかみどころのない、ふわふわした小難しいお話が展開されているように感じるかもしれません。しかし、コミカルなポップさもあり、表現の曖昧さと読みやすさを両立している不思議なマンガです。

 ポップさの説明を『児玉まりあ文学集成』の雰囲気で書いてみて、この段を終わりたいと思います。


児玉さんが
文学的な表現を
笛田くんに対し
乱用する

その理由を
安直に考えた私(記事の執筆者)は
児玉さんにそれを
伝えた

私は
叱られた

彼女の
言葉は
理知的だった

夢の中だった


(物語体験と謎解きの親和性は悪いが、心に秘めた想いと謎解きの親和性は高いという話)

5話まで読んでください。
無料です。

世界の一端が見えます。

『児玉まりあ文学集成』第1話より
可愛い


まとめ

以上になります。



 マンガの紹介だけしようとしていたら、いつの間にか

「失言半減質疑応答」

に身体を持っていかれた文章になりました。が、『児玉まりあ文学集成』もベクトル違った面白マンガですし、さらっと名前上げただけの作品全部強いので是非。言葉遊び関係なく人類はマンガを手広く読め

ここまで読んでいただきありがとうございます。

年越しのお供に、これらのマンガをぜひ!
こたつにミカンと言葉遊びと漫画を!
それでは~




追記

他の方のアドカレの感想を少し(2個)だけ

  • 込め込めワード、ロバート秋山が歌っていた乗換案内ポケモン織り込み替え歌の名作、「乗リオルの際は~」っぽくて好きです。ヤドンロコン~ヤドンロコン~

  • 究極の六倍、暗号学園にありそうなフレーバーで好み(未解凍)。

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