TEST
葉月。最終日。
活字を書くことを仕事以外でしていなかったのでリハビリしてみる。
最近観た映画について。
直近で観たのは「ロマンスドール」という邦画で、主演は高橋一生と蒼井優。
全体的にしっとりと詩的な感じだけどセリフはコメディタッチな部分も多くて観やすい感じ。衣装はなんか、あ〜蒼井優〜って感じ。タナダユキ原作。原作者が監督も務めているようで、小説っぽい映画だなーと思った。
大きなテーマはいわゆるダッチワイフの制作。制作に携わることになった美大卒の独身男性が、その職業を通して生涯のパートナーと出会い、暮らす日々を描いている。
私はダッチワイフという概念を知らなくて、最初は結構気持ち悪いな、と思った。なので最初に主人公の哲雄がその詳細を偽って蒼井優演じる園子の身体で型を取ったのは最悪だと思った。
哲雄は女体の再現性を高めていき、かなり高品質な製品を作ることに成功。どんどん忙しくなっていく。そして園子との関係性にも変化が訪れていき…。濡れ場がしっかりある映画だけど、背景からとても切なく感じるつくりになっていると思う。
この映画を観た後、最近観た映画プレゼンしてよ、と言われることがあって、全然説明できなかった(笑)
そこで、自分が映画から感じたことをあんまり言葉としては整理してなかったんだなと気づいた。言語化したがりの自分の中では珍しいことだったので、なんで泣いたんだろうなーと考えてみた。
思うにこの映画は、人が用いるコミュニケーションのうち、「触れる」ことに重きをおいている。哲雄が序盤触れているのはただのシリコンで、人肌よりシリコンが目立つ場面が多い。個人的には映像で「触れる」を描くとき、大体は生々しさや妖艶さが際立ってしまって、常にそこにある素朴だけど深い愛を表すのは難しい。でも、人にはそれぞれあたたかさ、形、柔らかさ、骨っぽさなど唯一無二の感触があり、肌で感じる情報は意外にも多い。
見たり、聞いたりすることも重要だけど、触れなければ埋められない心の距離もきっとある。そして大体の場合、生きている人にしか、私たちは触れられない。
哲雄が園子に感じた「愛」を保存して、大切に持っていたいと思ったとき、その気持ちを園子に渡したい、届けたいと思ったとき、あるいは園子が哲雄に自分を覚えていてもらおうとする時、まだそばに居るのか確かめようとする時、その様子を「触れる」という切り口で描いている作品だと思った。ダッチワイフの制作以外は、どこにでもあるような日常が流れ、ナチュラルに感情移入ができる作品だから泣けるなと。
多分、この映画を観た後は大事な人を抱きしめたくなる。
そんな映画だなーと思った。ネタバレしないように書くプレゼン、むずかしいなー。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?