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マインドフルネスで身体の力みや緊張が取れるのか?
マインドフルネスの瞑想や実践を続けると、良い意味で身体の力が抜けてきます。
私たちはネガティブな思考や感情に囚われると、交感神経が優位になり筋肉が必要以上に緊張します。特に腰や肩、首やお腹など・・・強く囚われている人の身体を触ると固いことがわかります。
この緊張が腰痛や肩こり、頭痛、身体のあらゆる不快感を招くことがわかっています。身体に異常がないのに痛みが慢性化している場合、原因は強い囚われである可能性が高いのです。
先日、あるクライアントに「最近、長年悩んでいた腰の痛みがなくなってきたのですが、マインドフルネスと関係があるんですか?」と聞かれました。
マインドフルネスの瞑想や実践を続けると、慢性的な痛みが解消されるのは、ネガティブな囚われが小さくなる、または消えるからです。
囚われが減少すると、痛みと心的距離を取ることが出来るようになります。その結果、痛みそのものと痛みに対する解釈の区別をつけることが可能になり、痛みが小さくなったり取れたりするのです。
実際にペインクリニックでは、身体へのアプローチだけでなく、認知行動療法やマインドフルネスなどを取り入れて治療しているところも増えてきていると聞きます。
ペインクリニックの先生も私の所にマインドフルネスを学びに来られています。
もう10年くらい前だと思いますが、NHKの特集で椎間板ヘルニアの痛みを取るために、認知行動療法を実践しているオーストラリアの病院が紹介されていました。かなりの成果が出ているとの内容でしたが。
心と身体の関係を俯瞰して考えると、マインドフルネスの瞑想や実践で痛みが取れるのは当然ということがわかります。
1979年にアメリカの医療にマインドフルネスが導入されたのですが、対象は精神疾患の患者ではなく、慢性疼痛患者でした。そこである程度の成果が表れたことで、対象が他の疾患を抱える患者にも広がったのです。
痛みと心は密接に関連しています。心が痛みを作り出すというのは、もはや常識で身体だけ見るのはナンセンス。心にも同時にアプローチしなければいけません。
医療従事者を含めて、多くの人はまだその認識に至っていないように感じています。まだまだ身体しか見ない医者や整体師がとても多いですから。
囚われが小さくなり、身体の力が抜けると他にも良いことがたくさんあります。
疲れにくい、動くのが楽、姿勢が良くなる、呼吸が通る、無駄な体脂肪が落ちる、スタイルが良くなるなど・・・
身体の力が抜けるとなぜスタイルが良くなるのか?と疑問に感じる人がいるかもしれませんが、身体に無駄な力が入り緊張すると身体の形は変わるのです。
わかりやすい部位で言えば、肩です。
肩に必要以上の力が入り、緊張すると肩が盛り上がってきます。肩が盛り上がると首が短く見えて顔が大きく見え、スタイルが悪くなります。
首が長い人、首が短い人の差は生まれつきというより、肩に必要以上の力が入っているかで決まる部分があります。小顔になりたい人は肩の力を抜くようにすると良いでしょう。
肩に力が入ると首も緊張します。首が緊張すると顔の筋肉も緊張します。顔の緊張はさらに顔を大きく見せる要因になります。
不安や後悔などの強い囚われも、顔の筋肉を緊張させるでしょう。囚われが強い人は歯ぎしりも強い傾向にあります。
本気でマインドフルネスの瞑想やヨガに取り組んでいる人のスタイルが、良く見えるのはここでお伝えしたことが理由。痩せているからスタイルが良いのではありません。
となればスタイルが悪く見える瞑想やヨガの指導者は、マインドフルネスの実践が足りない可能性があります。スタイルを見ることは指導者を見極める一つの方法です。
力が抜けすぎる(リラックスし過ぎ)のも問題ですが、身体に無駄な力が入っていると脳はそれだけでストレスと認識します。無駄な力はなかなか抜けませんから、そこに居るだけで常にストレス状態。
これでは肉体的にも精神的にもしんどくなるのは当然です。睡眠にも悪影響があるかもしれません。そして多くの人はその状態が当たり前。無駄な力が入りまくっています。
無駄な力が入っているというのは、例えばコップを持つのに10の力で良いのに、50の力を入れて持っているようなもの。
もちろん無意識の力みです。立つ、歩く、座る、など日常生活の動作がこれでは身体はガチガチに固まり、腰や肩に痛みが生じるリスクが高くなるでしょう。
身体が硬くなると思考も固くなります。身体と思考は連動しているのです。身体を緩めると頭がスッキリした経験をお持ちの方がいると思いますが、身体が緩まることで思考の幅が広がり、視野が広がったからです。
あなたの考え方や捉え方が固いのは、身体が固いことが理由かもしれません。
そして身体に無駄な力が入っていることは、コミュニケーションにおいてもマイナスに働きます。身体の無駄な緊張(力)は目の前の相手に伝わるからです。
自分が緊張すると相手も緊張(身構える)します。私たちは無意識レベルで、自分を緊張させる相手を良く思わないようになっているのです。(恋愛は別)
緊張は抵抗や違和感ですから。であればより良いコミュニケーションを取りたい場合、人と会う前に身体に入っている無駄な力を抜くようにすればいいのです。実はそれだけでも相手に対する印象が変わります。私もレッスン前には必ず身体を緩めるようにしています。
身体を緩める方法は、最初にお伝えしたようにマインドフルネスの瞑想や実践に取り組み、囚われを小さくすること。
身体に問題がある場合は、身体を調整する整体やマッサージ、フェルデンクライス・メソッドのようなボディワークや体操などで解決することが出来るケースが多くあります。
しかし心に問題(強い囚われ)がある場合は、それだけでは不十分。マインドフルネスの瞑想などにも取り組んで、心にアプローチしなければいけません。
心と身体は繋がっている・・・というより同じものです。切り離しようがありません。
プロフィール
西山 純一
大阪マインドフルネス研究所
https://www.mindfulness-lab.com/
メンタルトレーナーとして多くのプロアスリートや経営者、アーティスト、医療従事者、教師や心理士、学生やビジネスマンなど幅広い人にマインドフルネスをベースとしたマインドの使い方やメンタルコントロール、食事改善や運動、ダイエットを指導。
指導歴は18年 1000人を優に超える人達に指導してきた。
20代前半でアメリカのパーソナルトレーナー資格を取得して、大手フィットネスクラブや関西のスポーツ強豪大学や高校でスポーツトレーナーとして活動。
同時期に大学で心理学の単位を取り、心理カウンセラーとしての訓練も受ける。専門僧堂や禅寺でも禅や瞑想を学び実践する。
プロアスリートや年商数十億円を超える経営者をクライアントに持ち、うつ病を始めとする精神疾患やガン患者、難病患者のカウンセリングやメンタルケアも行う。