死にたくなったら電話して 李龍徳
悪女の条件としては影響をどの程度相手に及ぼすかがはかられる気がする。
物語に出てくるのは二十歳過ぎといったところだろう。
共依存の物語。
変わった彼女に嵌って行きどんどん自分を狭めて彼女が絶対的な価値観になってしまう。
彼女の価値観もバグっているが。
ただ若いうちは往々にしてよくある話だと思う。
最初は
『死にたくなったら電話して。いつでも。』
なんてとびきりの美人に言われても引いてしまうくらい変な女なのだ。
私はそんな女が好きだから。すごく彼女が好きだ。
しかし、物語は暗転していくグランギニョルとまでは行かないが、
食欲への嫌悪
性欲への嫌悪
生への執着、正義。
正しいものは何もない。
死ぬ方向へ行くのに死なない。
ラストもとても良かった。そう。破滅はこうやってジワジワくるのだ。
でも、私はもう分かっているこういう女からは離れた方がいい。
近付いても近づきすぎてはいけない。
彼女もきっと世の中とのブレに苦しんでいる。
精神的に孤立している。
主人公がだらしないけど、好感はもてるので、物語はサクサク読める。
死にたくなったら電話して。