初七日

初七日の夜が訪れた。

O住職に、49日までの七日区切りの日はあちら側で故人の今後についての審議が行われるから、なるべく故人を忍ぶ話をたくさんして、応援してあげてくださいという話が心に残っていた。

その日は両親と妹家族、そして弟がいてくれて、一緒にご飯を食べた。

父は美味しいお酒を準備し、みんなに勧める。母は得意の料理を一生懸命作り続ける。妹は私のそばを離れないように寄り添う。弟はいつものムードメーカーの役割を必要以上に張り切って場の雰囲気を和ませようとする。

何を食べても、何を飲んでも身体は何も感じなかった。さらに身体を鈍化させるように、食べ物とお酒を詰め込むように取り入れた。

お酒が回った弟の調子が上がってきて、夫の思い出話をしながらみんなの笑いをとる。

私はこんなにも早く笑っていいのか戸惑いながら、笑顔がこぼれた。

夫は私の実家とも仲良くしてくれていて、いつも母の料理に舌鼓を打ち、父の晩酌に付き合い、私の妹や弟にとっては頼りになるお兄ちゃんをやってくれていた。

一度笑顔がこぼれ始めると、子供たちも含めてみんながみんな夫の話をしだし、そこら中に笑いが広がった。

死んでからも、夫は人を笑顔にできる人なんだ。

そう思うと笑うことへの罪悪感が少し消えた。O住職からの言葉を思い出し、その日は思い切り夫の話をして、思い切り笑おうと腹を括った。

夜が更けるにつれ、食卓をあたたかな光が包んでいるような気がした。

夫は会食が盛り上がってくると、いつも一階の床下収納に隠し持っているとっておきのワインを取り出して、満足気に階段を上がって、食卓に持ってくる。

ふと、彼が階段を上がってくる音がしたように思って、階段の方をみたが、みんなを楽しませようとワクワクしながらお気に入りのワインを持った彼は現れなかった。

私は、笑いながら泣いた。

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