出棺
身体の中で渦巻いていたものを吐き出すと、少し落ち着きを取り戻した。
リビングに戻って謝ったり謝られたりするのも嫌だったので、妹と弟に、両親と義理の両親には少し黙っていてほしいこと、とりあえず出棺までの時間を静かに過ごしたいこと、を伝えてもらう。
気まずくリビングに戻ると、
「で、お花とお香典の件だけど、」と義父が話しかけてきた。
一瞬思考が停止したが、もう全て吐き切った私は義父に対して同情のような哀れみのような感情を抱いた。義父がロボットのように見えた。強烈な哀しみを処理しきれず、自分がしなければいけないことだけに集中することでしか自分を保てないのだろう。
「はい、リストを作っておきます。」と伝えた。
時間はもう13:30を回っていた。葬儀業者が出棺の準備を粛々と進めている。私はしがみつくように彼の身体のそばに座り、彼を見つめた。
気づくと出棺の時間になっていた。