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ポーギーとベスより/G.ガーシュウィン

『ポーギーとベス』は、アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937)が死の2年前にあたる1935年に作曲した3幕9場からなるオペラである。様式から言うとミュージカルの先駆的な存在である。

サウスカロライナ州チャールストンの小説家、エドワード・デュボーズ・ヘイワード(1885-1940)は1925年、自身の住むチャールストンを舞台にした小説『ポーギー』を発表し、1927年に舞台化した。ガーシュウィンは、兄のアイラ、作者のヘイワードと共にこの作品のオペラ化に取り組んだ。作曲するにあたりガーシュウィンは実際にチャールストンに赴いて黒人音楽を研究し、その語法を取り込んだ。ガーシュウィン自身はこの作品を“アメリカのフォーク・オペラ”と評している。


G.ガーシュウィン


物語は1920年代初頭の南部の町に住む貧しい黒人の生活を描いており、ジャズや黒人音楽のイディオムを用いて作曲されている。登場人物は1名の白人を除き全て黒人である。沖仲士(船の荷物運び)クラウンの情婦で麻薬中毒のベスが足の不自由な物乞いポーギーの愛でいったん更生するが、結局愛よりも麻薬を選んでしまうという全然ハッピーでないお話。賭博、喧嘩、裏切り、殺人といった豪華な内容とともに非常にダークな物語を形成されている。(絶望的な現実、足を引きずってでも小さな夢を信じて向かっていくポーギーの姿とも読み取れます。)

伝統的なヨーロッパのオペラとは一線を画しているが、現在では20世紀を代表するオペラ作品としてその地位を確立しており、管弦楽での抜粋や、ジャズアレンジにより演奏されている。特に、第1幕第1場で歌われる「サマータイム」は多くのミュージシャンにより、ジャンルの垣根を超えて取り上げられている。

本日はその中より、以下2曲をお届けする。
〜My Man's Gone Now『うちの人は逝ってしまった』〜
酒に酔ったクラウンに殺されたロビンズの妻セリーナの嘆きの歌です。

セリーヌ役を演じる



〜It Ain' Necessarily So『いつもそうとはかぎらない』〜
麻薬売人のスポーティング・ライフはピクニックで酔っ払っている人々を前に、聖書を茶化してユーモラスに歌う。

スポーティング役を演じる


今回は、歴史的ヴァイオリン奏者ヤッシャ・ハイフェッツによるヴァイオリンとピアノ用に出版された楽譜を元に演奏する。

歴史的ヴァイオリン名手 ヤッシャ・ハイフェッツ

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